第34話 蜘蛛との決闘の行方

パンツ一丁の少年と、カラフルオネェ蜘蛛のガチンコ対決なのだが、


〈殺さない〉という匙加減がむずかしい…


タンク付き便器ぐらいのサイズの胴体に倍以上の長さの足がワサワサと動いている蜘蛛が、


俺のフルパワーを耐えれるのか…


音爆弾は効きそうにないので、


衝撃波を強化するインパクト〈仮〉しか対抗手段がない…


ポー君はアナがショーソードで糸を切り、救出してくれている…


ポー君が、


「オルナス兄ちゃん、こっちは大丈夫だから戦いに集中して。」


と言っているが、


〈自分勝手な妖精小僧など気にしてやるもんか!〉


と、軽く呪っておく…


蜘蛛が待ちかねた様にワサワサと足を動かして襲いかかってきた。


突きを放つ足を〈身体能力強化〉を使って防御力を上げた腕でガードしたり、叩いて軌道をずらして耐える…


〈ズルい、ズルい、俺は、二本なのに敵は何本一斉に攻撃できるんだよ!〉


と、悪態をつきながら、


頭の片隅で、


〈カンフー映画で、丸太に棒の生えた人形をこんな感じでガードしたり叩いて打ち返すヤツが有ったよな…〉


と考えている…


暫く耐えていると、


〈おっ、馴れてきたなかな?余裕が出てきたよ…〉


と感じたので、


蜘蛛の鋭い足を掻い潜り、懐に飛び込み〈一撃〉を食らわそうとすると、


蜘蛛は足を地面に突き立てて体を持ち上げ、尻から糸を〈ブシャァ〉と凄い勢いで吹き付ける…


〈しまった!〉と焦ると同時に、


〈何だか汚された〉気分にもなる…



近くの大木まで吹き飛ばされ〈ビチャリ〉と張り付けられた俺は、


アイテムボックスから脇差しを出してネバつく糸を切って脱出しようともがく。


しかし、


蜘蛛はもがく俺に、


〈頂きまぁ~す〉とばかりに飛びかかり〈マヒ毒〉を打ち込もうと牙を見せている…


ネバネバの糸に苦戦しながらも対抗策を頭をフル回転させて考える。


〈頑張れ、負けたら性的なサービスだぞ!?


どうする…一瞬でいい…一瞬だけの隙が出来れば…〉


両手は糸の対処に追われ、


両足は宙ぶらりんで力にならない…


迫りくる鋭い足と毒の牙…


〈え~い、何とかなれぇ~〉


と、覚悟を決めて俺の履いている神様パンツの〈誰得機能〉を使う。


「くらえ!パンツフラァァァッシュ!!」


と叫びパンツに意識を集中させると、


股関の辺りが眩く光り始め、蜘蛛の8つの眼を眩ませる閃光を放つ。


空中の蜘蛛は咄嗟の事で狙いを狂わせ、


俺への大ダメージは入る事は無かった。


しかし、かすった牙の毒をくらい糸から解放された俺は、今度はマヒしていく体と戦っていた。


蜘蛛は徐々に視界が戻ったのか、俺を探し始めている…


俺は、脇差しをアイテムボックスにしまって、


〈フルパワー〉状態になり内臓に〈身体能力強化〉をかけると、


毒の分解が始まり感覚がクリアに成ってくる。


しかし、


先に復活したのは蜘蛛の方だった。


〈なんだよ、8つも有るからダメージ少ない目玉が有ったみたいだな…〉


と、文句を良いながらも、


解毒に集中する。


ポー君が、


「えっと、


〈見~つけた、今度は逃がさないんだから、アタイの魅力でシビレさせてあげる〉


と言っています。

オルナス兄ちゃん逃げて!」


と慌てているが、


〈これが、お前の望んだ世界なんだぜ…ポーよ…〉


俺は、


「来るなら来やがれ!」


と挑発しながらも、


〈蜘蛛がリアクションするならば時間が稼げるかも…〉


と甘い期待を少ししていた。


しかし、


そんなに世の中は甘くない…


蜘蛛は完全に俺を仕留めに再び飛びかかる…


しかし、ヤツは知らない…


〈裸一貫〉の能力で〈マヒ毒〉が軽減されていることを…


俺は、足に〈身体能力強化〉を集めて離脱し、


スピードを保ったままヤツの側面に潜りこみ、蜘蛛の腹に斜め下から突き上げる様に〈掌底打ち〉を入れて、同時に衝撃波に強化を乗せる。


打ち込んだ衝撃がヤツの奥の奥へと染み込む様なイメージで…


〈ドゴン!〉


という衝突音と共に蜘蛛は斜め上を目指して弾き飛ばされ、大木に打ち付けられてズルズルと根元にずり落ちながら、尻から糸ニュルニュルと出している。


俺は、


「ポー君、ヤツは降参してるか?」


と聞くと、


ポー君は、


「今は、


〈スッゴい…中がスッゴいのぉぉぉぉ

あぁぁぁぁ、勝手に出ちゃう、〉


と言ってますよオルナス兄ちゃん!」


と、教えてくれた。


俺は、思わず、


「ポー君、〈糸〉の話しだよね…それ?」


と、確認するが、


「だと…思うけど…?」


と、自信無さげなポー君…


アナが走ってきて、


「オルナスが裸で吊るされてイヤらしい事されて〈目覚め〉てしまうんじゃ無いかと…アタシ怖かった。」


と、抱きついている。


〈俺も一瞬ヒャッとしたけど、黙っておこう…〉



蜘蛛は、糸漏らし絶頂ノックアウト判定にて、俺の勝利で決闘の幕を降ろした。



さて、変態オネェのシルクスパイダーはポー君の手下に成ったのだが、


今回の暴走のツケはポー君に払って貰わなければ…


俺が可哀想だ…

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