第31話 ポー君と新しい仲魔?


「完成ぃ~!」


と叫ぶポー君だが、


何が〈完成〉したのか全く解らない…



ポー君は鼻歌交じりで、


「ルンルルン」と楽しそうに鍋の液体を使い羊用紙に何かを書いている…


〈魔方陣?〉


益々何を…というか、俺もアナも、〈嫌な感じしかしていない…〉


ポー君は、


「ヨシ!」


と言ってから、


愛おしそうに〈チーちゃん〉を抱き起こし、


服を脱がせ始めた。


アナは、


「ポー君が何か〈おスケベ〉な事を始めた…」


と、俺を掴みブンブンとゆする。


俺は、


「アナ、落ち着こう…酔っちゃうから…」


とアナにお願いしながらも、ポー君から目を離せずにいる。


ポー君は、


〈チーちゃん〉の背中に鍋の液体を羽ペンを使い何かを書き込み、魔力を流して、


また、愛おしそうに服を着せる…


そして、チーちゃんと、箱に入ったカラー卵鳥と羊用紙を中庭に置いて、


少し離れてから、


ポー君はブツブツと何かを唱え出した…


そして、羊用紙から光りが溢れ、


箱の中から「ボン」と破裂音が聴こえた。


〈うわぁ!卵鳥ちゃんが…〉


と思うが、儀式は続く。


ポー君は


「この命を〈生け贄〉として、我の願いを叶えよ…いでよデーモンっ!!」


って、〈何にしれっとヤバいモンを呼び出してるんだよ!! 〉


と、俺はツッコミつつ、


「ポー君!」


と、呼び掛けると、


ポー君は、


「大丈夫、低級の悪魔召喚です。」


と…


「大丈ば無いよ!悪魔でしょ!!」


と焦る俺、


そんなやり取りをよそに


魔方陣から煙が上がり、二メートル以上のヤバそうなオッサンが現れた…


オッサンは


「我は〈アバドン〉奈落の王ナリ…

願いを言え…」


と言っている…


〈おい、おい!どこが低級悪魔だよ!〉


俺は、怒り気味に


「ほら、ポー君!


大丈ば無いでしょっ!〈アバドン〉さん出てきたよ!!


〈奈落の王さま〉らしいよ?!」


どうすんの! 」


というと、


ポー君は、


「あれれぇ~」


と、どこぞの少年探偵みたいな返事をしてる…


すると、奈落の王が、


「これこれ、そんなに責めてやるな…


悪いのは我なのだ…少々長くなるが…聞いて欲しい…」


と、今回の召喚についての説明を始めた…



長い話を整理すると、〈アバドン〉さんはその昔、他の世界に呼び出された時に、一緒に召喚された上司の悪魔、〈サタン〉さんを罠にはめて、力や地位を奪って好き勝手したらしいが、


最近になり〈サタン〉さんが復活して、

魔界で、それはもう…ボッコボコにされたあげく、魂を数千の欠片に封印されて、


「1つ誰かの願いを叶えたら、欠片を1つ返してやる。」


と言われて、渋々各所の悪魔召喚に無理やり割って入り、現在300程の欠片を回収できたらしい…


しかし、


話しを聞いたが…〈アバドン〉さん…

あんたが悪い…


〈サタン〉さんは相当お怒りの様で、悪魔召喚された先で、〈呪い〉や〈暗殺〉や〈都市破壊〉に手を貸せば振り出しに戻るらしい…


そして、ポー君の今回の召喚は、


〈チーちゃん〉を〈依り代〉にした悪魔の使役らしい…


〈益々怖ぇぇぇ、思考だな…〉


しかし、アバドンさんは、


「それは困った…我は次の召喚に赴き、早く完全体に戻りたいのだ…


よし、百年程度で良いのならば、我が家のメイドを一名貸しだそう!」


と言って、


綺麗なお姉さんを呼び出して、


「我の代理として、この妖精の少年に仕えよ。」


とアバドンさんに指示されると、


「御意のままに…」


と答えてお姉さんはチーちゃんに入ってしまった…


〈凄くエッチな服装だったのに…〉


と残念がっていると、


アナに爪先をグリッっと踏まれた。


〈超痛かった…〉


アバドンさんは、


「ウチのメイドは、なかなか強いので、大概の事はこなせるが、魔物の狩りなら良いが、くれぐれも〈暗殺〉や〈呪い〉は勘弁してくれ…


アバドンとの約束だぞ!


あぁ、どうしてもなら強い魔物の体を依り代にしたら〈子供〉も作れるから…


でも、命令で無理やりは…止めてやって欲しい…


愛さえあれば大丈夫だからね。


これは、アバドンからのお願い。」


とポー君に説明したあと、


チーちゃんに、


では、長期休暇ぐらいに思って気楽に妖精の主人に仕えよ。」


と言ってアバドンさんは帰って行った…


そして、


残されたチーちゃんは、


「お初にお目にかかります。


〈悪魔人形〉の〈チーちゃん〉です。


今後とも宜しく。」


と優雅にスカートを摘まみお辞儀をした…


〈邪教系の館で合体したのかな?〉みたいな挨拶を聞いたあと、


ポー君は、


「ぼ、僕はポーです。


第一印象から決めてました…」


と手を差し出している…


〈チョッと待ったぁ~ってやったら盛り上がりそうだが…アナにまた爪先を踏まれそうだから我慢する。〉


チーちゃんは、


「はい、末永く宜しくお願いします。


マスター。」


と…ポー君の手をソッと包みこんだ。


幸せそうなポー君だが、


チーちゃんは〈悪魔人形〉らしいよ


なんか、怖い響きの種族だよ?…大丈夫かな…


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