第26話 妖精の隠れ里にて

妖精族の里に来たのだが…


何とかバニアのようなお家から羽根の生えた小人が出てくる。


そして、里の広場で集まった妖精達に、


ポー君は滅茶苦茶叱られている…


〈可哀想に神様にも叱られたのに、里に戻っても叱られるとは…気の毒だ〉


ポー君は、


「神様と、お話することが出来たんです…


ここにいるオルナス兄ちゃん…いえ、パンツの使徒オルナス様の旅のお供に選ばれたのです…


長様…どうか、正式に旅に出る許可を!」


と頭を下げているポー君…


すると長は、俺に、


「神の使徒たる証をみせよ。」


と言ってくる…


〈えっ?


神の使徒たる証…パンツですか…?〉


俺は、渋々ツナギを脱ぎ捨て、


〈パンツ一丁〉になると、


長達は、


「おぉ、確かに神器…神の波動を感じる…」


と言っている…一緒に来た騎士団員達は、


「あれが噂の神様パンツかぁ」


「縞々模様のパンツが王都で人気らしいが、その本物だな…」


とか言っている…


〈恥ずい…〉


妖精の長が、


「使徒様、神器に意識を集中させてみて下さい。」


というので、


パンツに集中すると、


パンツの股間のあたりから光りが溢れだし、神を示す教会のマークが空中に浮かぶ…


〈なんだよ、この恥ずかしい機能は…神の印を示す股間フラッシュ…〉


恥ずかしいので、ソソクサとツナギを着るが、まだ股間の辺りが光っている…


〈消えろ!消えてくれ!頼む…〉


と、願うとゆっくりと光りは弱くなり…消えた。


〈ふぅ~〉と、ひと息きついて、


妖精の長に、


「私は神様から、世界を見てまわる使命を賜っております。


ポー君も、世界を見て回りたいと神様に願って、


神様もその願いを聞き届け、スキルを授けて、私の旅の仲間に指名されました。


どうか、ポー君の旅をお許しください。」


と頭をさげた。



妖精の長は、


「我が隠れ里の問題児ですが、使徒様の旅に連れて行ってくださいまし…」


と、俺に頭をさげる。


そして、ポーに向けて、


「ポー、神様から言われていると思うが、我々妖精族の召喚の能力は使い方を間違えれば、大変な災害を招く力だ…


生け贄を捧げれば魔王さえも呼び出せてしまう…


くれぐれも、悪意有る者に手を貸さぬ様に…」


と言って、自分の身につけていた指輪をポー君に渡した。


まぁ、許して貰ったみたいだからヨシとして、


流石に、なんちゃらバニアなお家に泊めてもらう訳にもいかずに、次のエルフの集落をめざした。



エルフの里をたどり5日目…


あの馬鹿デカい木の近くまで来れたのだが…凄く困った事がある…


エルフの強力な魔物避けの香を使っても、樹海の中心部には、魔物避けさえもモノともしない強い魔物が居る…


強敵のエリアには魔物避けの香の匂いで逃げ出す弱い魔物すら居なくなるので、


やたら森が静かになれば、引き返したり、迂回しなければならず、真っ直ぐ目的地を目指せなくなる…エルフの街の強力な魔物避けの結界までたどり着ければ良いのだが、


迂回した先にも強い魔物が待ち構える場合があり


戦闘が避けられない場合もある…


今が正にそれだ…


この樹海の強い魔物の中でも比較的に〈弱い〉とされている巨大な熊の魔物…


そう、エリス姉ぇ達が8人で倒した魔物、〈ビックベア〉の上位種…〈ジャイアントベア〉なのだが…


厄介な事に成っている…


ポー君曰く、


「さぁ、小さき者よここを無事に通りたければ我と戦い、力を示せ!」


と言っているらしい…


〈Cランク〉の魔物の上位種と力比べ…考えたくもない


しかし、別に一対一とかの制限はないので、


騎士団十人とエルフの里長にアナの弓に…ポー君は何をするんだろう…


まぁ、俺がパンツ一丁になれば、ワンパンで…


倒される事は無い…はず…


エルフの〈ガルム〉さんの風魔法が熊にヒットし少しのダメージを与え、怒った熊の咆哮が戦いの合図に成った。


アナと騎士団三名の弓による攻撃も〈ジャイアントベア〉の皮膚には通らない様子、


二人の大盾持ちの騎士の後ろから二人槍持ちが腕を狙い、攻撃を止めた隙に隊長を含めた三名の騎士が剣を構えて突っ込む、


しかし、熊は腕を振り抜き騎士団員をぶっ飛ばす…


俺は、アイテムボックスからポーションを全て出して、


「アナ!手当てをお願い。」


と言って、服を脱ぎ始める。


ポー君が


「〈期待はずれだな〉


っていってますオルナス兄ちゃん。」


と通訳してくれる。


俺が、


「ポー君、あのデカいのに、


〈サシで勝負だ〉って言ってやって。」


と言って、パンツ一丁に成った…


〈ジャイアントベア〉と対話をしたらしいポー君が、


「〈良いぜ、喰われる準備が万端な様だから特別にサシで戦ってやる…


安心しろ、お前に免じて他の奴は見逃してやろう〉


と言っています。」


と、通訳してくれた。


〈嬉しいじゃないか…だが、喰われる気は更々ない!〉


子供の自分のステータスの10倍でアイツに勝てるが解らないが、


アイツも武人としての礼を尽くしてくれたので、俺も全力で応えるだけだ…

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