第25話 エルフ達の里を目指して
ラッキー!
エルフの集落までの道のりは、
〈人族の奴隷商人の悪行だから、国際問題にならない様に〉と、イスタ伯爵様が、〈人族がご免なさい〉のお手紙と馬車と騎士団までつけてくれた。
エルフさん達も、人質を取られて奴隷商人に〈魔力霧散〉の手枷を付けられていたから抵抗出来なかったが、
魔力さえ戻れば魔法をバンバン撃てる…ただ、力や体力は地球人並みなので、防御力には不安はあるが、遠距離攻撃ならば弓に魔法にと無類の強さを発揮する。
なので、旅は楽勝である…
〈俺が居る意味が…〉
と思わなくもないが、
なんと、イスタ伯爵様が気を利かせて
パーティー名〈神の使徒〉に指名依頼として護衛任務を出してくれた。
馬車に乗って、帰ってくるだけの簡単なお仕事だ…
〈まぁ、ポー君の隠れ里に、ご挨拶に向かう必要はあるけどね。〉
アナとポー君と俺で、馬車に乗り、色々な話をしながら揺られる事三週間…
ようやく、エルフさん達の故郷〈神樹の大樹海〉が見えてきた。
迷ったら一生出て来れなそうな樹海には、エルフさんの集落が点在しており、中心の馬鹿デカい木の根元にはエルフの国があるらしい…
今回は、その国までゴメンなさいの手紙を届けるのが目的のひとつだが、普通ならば、手前の集落にすらたどり着く事は困難だ…
エルフさん達が道案内してくれるので迷う心配は無いが、
問題は、強い魔物もうろついている事だけが不安要素だ。
樹海の入口にて、キャンプを張る半数の騎士団員に見送られ、
十名の騎士団員とエルフさん達と一緒に樹海に入っていく…
アナと俺はドキドキしながら辺りを警戒しているが、
ポー君は気楽な感じでパタパタと飛んでいる…
ポー君は、
「オルナス兄ちゃん、ここら辺の魔物は弱いのしか居ないから大丈夫だよ。」
と、教えてくれた。
…そうです。ポー君には、やっと〈念願の呼び方〉…〈オルナス兄ちゃん〉と呼んで貰うようにお願いできたのだ!
しかし、アナは、〈アナ姉ちゃん〉と呼ばれるのを嫌がり、〈アナちゃん〉と呼ぶことに成っている。
アナは、弓を降ろして、
〈ふぅー〉とため息を漏らしたあとで、
「このままずっと警戒しながらかと思ってたから良かった…」
と言っていた。
エルフ達な何を目印にしているのが解らないが、スイスイと樹海を進んで行く
そして、
一時間ほど歩いてやっと木の上に幾つかのツリーハウスがある集落に到着した。
幾つかのツリーハウスは焼け落ちて、
奴隷商人達の非道な行いの爪痕が残る集落でエルフさん達は、
〈この集落を捨てて引っ越すかどうかを相談している〉
とりあえず、今日はこの集落で泊まり、明日次の集落を目指す予定だ。
翌朝、
エルフの集落にそってエルフの国を目指す事に成った…
もうすぐ出発するのだが、
ポー君の隠れ里も次の集落の近くらしく、隠れ里に帰るのに緊張しているのか、ポー君は落ち着かない様子でウロウロしている…
心配に成って、こっそり後を追いかけると、
ポー君は俺の作った兜をかぶり、レイピア〈銘刀、爪楊枝〉を引き抜き、
「僕の家来になるのだ!」
と、魔物に…と言っても虫魔物に契約を持ちかけている。
ポー君の貰ったスキルは〈テイマー〉と〈意志疎通〉の2つ
テイマーは魔物を仲間にするスキルで、
〈意志疎通〉は魔物は勿論、心があるモノと話せる能力だ。
妖精族の〈召喚能力〉と合わせればリスク無しで従魔を召喚出来る
なので、仲間集めは解るが、
流石に手乗りサイズのポー君はいきなり獣系の仲間は諦めたのだろうが…
なぜ〈カメムシ魔物?〉…
と、不安に思いながらも、成り行きを見守っていると、
ポー君は、
「よし、今日から君は〈激臭カメムシ〉の〈カオル〉君だ!」
と…
〈ポー君…カメムシを従魔にしちゃったよ…
激臭カメムシって…なんて恐ろしい魔物だ…〉
と、少し引いていると、
ポー君は、
「うむ、ついてきて!兄ちゃん達に自慢するんだ…」
と誇らしげにカメムシの〈カオル君〉に話している…
ダッシュでアナのもとに戻り、軽い説明をした後で、
知らないフリを装い、
「オルナス兄ちゃん、アナちゃん…
見ててね。」
と、自信満々でカメムシを召喚するポー君に
「凄いねぇ!…」
と、驚いてみせた…
アナも、後から
「虫魔物でももっと強そうなのいっぱい居るのに…」
と呟いていたが…
〈俺もそう思う…〉
結局、エルフさんのほとんどは引っ越しの為に集落に残り、
タダノお坊ちゃんの一目惚れのお相手、超絶美形のエルフのこの集落の里長〈ガルム〉さんが道案内として、エルフの国を目指して森を進む…
数時間森を進み、ポー君が、
「長老に旅に出る事を伝えるからウチの村に来てよ。」
と、次の村の手前の泉にある妖精族の隠れ里に招待された。
妖精の秘術で守られているので、ご近所のエルフさんでも里に招待されないかぎりなかなか入れないらしい…
〈ガルム〉さんが、
「妖精の村に入れるなんて…私も二回目ですよ…
一回目が十歳だったから…150年前です。」
と、興奮している…
その秘術をこじ開けて悪さをした魔族さんはなんとも…そこまでして竜人族を倒したいのかな?…
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