第20話 初の遠征依頼
鍛治に明け暮れて数日…
出来るだけ街に滞在しないように心がけ、
お貴族やエリス姉ぇになるべく会わないように全力を尽くした。
〈厄介ごとはゴメンだから…〉
おかげで、決闘の賭けで稼いだお金も投入して、アナの装備が完成した。
皮の帽子に鉄板を合わせた鉄帽子に
鉄の胸当てに籠手と足当ての鉄の部分装備セットに、矢筒…それと、
もしもが有るので、鉄の槍と鉄のショートソードも用意した。
槍は共用にして、ショートソードはアナのサブウェポンとしてアナに持たせ、
そして、一番力を入れたのが、鉄の弓だ。
持ち手もアナに合わせて微調整し、あとは実戦の中で癖などを見て調節する事になる…
これでやっと〈討伐依頼〉をこなせる!
早めにランクアップしなくては…この街も住み難く成ってしまった…
〈主にここ数日で…〉
昼に装備が仕上がり、アナに装備してもらい軽く買い物をしながら街を巡り、擦れて痛い所が無いかチェックしつつ、
最後に、
夕方の込み合う時間前に、クエストボードをアナと二人で眺めながら相談する。
「…パーティーだから〈Eランク〉の依頼も受注出来るけど…
どうする?」
と聞く俺に、アナは、
「先ずは簡単なのからにしない…アタシが武器に馴れる必要があるし…
その…初めてだから…ちょっと怖いの…」
と言ってモジモジしている…
〈なんか、その…もっと言い方ありません?〉
と、思っていると、
「オルナス君、少しお話しをしましょうか…」
と、プリシラさんに聞かれて別室へ連れて行かれた…
疑いを晴らすのに、かなり精神力を削られたが、おかげでプリシラさんから、
・となり街の錬金術師にポーション作成機材を届ける〈お使いクエスト〉
・隣街の外れの牧場で、家畜魔物を狙う森狼の群れの〈討伐依頼〉
という依頼をオススメしてもらった。
3日ほど馬車移動だが、乗り合い馬車も出ているので、
馬車移動して、アイテムボックスから荷物を出すだけで、馬車代金と街に入る為の料金を払ってもお釣りが来るし、
狼退治が無事に達成すればお金もそうだが、〈Eランク〉依頼の為にポイントも沢山入る。
今日はゆっくり寝て、明日の朝イチに出発となった。
ー 翌朝 ー
プリシラさんに見送られながら、ギルド前から出る乗り合い馬車に乗って隣街に向かう…
…生まれてこの方、荷馬車に数時間乗ったのが最高記録だったが…連続3日の馬車の旅は…
正直地獄だった…
〈痔主ならば数時間…大痔主ならば、もしかすると秒殺される勢いで弾む…〉
11歳のヤングボディーでもかなりのダメージを負ってしまう…
〈この世界でも痔主になりそう…〉
12になったばかりの〈アナお姉ちゃん〉は、強いヒップをお持ちのようで、
ケロッとしている…
あれだな、ケツの防御力が有っても駄目なんだな…
必要なのは、〈クッション性能〉…そう、あのクッション性抜群そうなお尻が必要なのだ…
倍率で強くなったとはいえ、ダイレクトアタックは微妙なダメージが通るのかもしれない…
と思い、チラリと見たアナが〈どうしたの?〉
と覗き込む…
まさか〈あの日のお尻を思いだしてました。〉
とも言えないので、
「街、まだかな?」
とか、当たり障りの無い会話を投げ掛ける…
顔が赤くなっていたのか、
おでこに手を当てられて、
「熱でも出た?」
と心配されて、更に赤くなってしまった…
〈なんか、ご免なさい…〉
と、心の中で謝りながら、気まずい馬車旅もようやく終了に近づき、
見知らぬ街が見えて来て、ホッとする自分がいた。
隣街の〈イースウッズ〉の街は森の近くに有る、
林業と農業の街である。
薬草の栽培をして効能の高いポーションの研究や、酪農用魔物の品種改良なども手掛ける学者の街の側面もある。
回復魔法もあまり使えない〈人族〉には、魔物と戦う為の要になるポーション研究は、各地で盛んに行われているらしい…
このイースウッズの街は、伯爵領の半分のポーションを生産し、
伯爵領内の創薬系の錬金術師の憧れの〈錬金・薬師ギルド〉の研究施設があり、
今回はその研究施設へのお届け物と、
品種改良用の羊魔物の牧場からの依頼である。
お使い依頼は問題無く終了し、
錬金・薬師ギルド直営店で大銀貨二枚のハイポーションを2本と、小銀貨三枚のポーションを5本購入した。
決闘の時の〈賭けの儲け〉がまだ有ったので、
これから向かう〈討伐依頼〉の為の投資だ…
アイテムボックスに入れておけば劣化しないし、少し多めに購入しておいた。
アナと二人で次の現場に向かう前に、イースウッズの街で、食糧…というか、乳製品を使ったこの街の名物を屋台で買いまくりアイテムボックスにしまって、クエスト中のお弁当にする…
チーズやミルクをふんだんに使用したパンや、卵を沢山使ったオムレツなど…
農業を売りにした街だけ有り、
どれも新鮮で美味しそうだった…薬草園も有るので、ハーブ等を使った香草焼きの肉もあり、かなりの量買ってアイテムボックスにしまってある。
依頼で来ているのを忘れそうになるほど、香草にスパイスなども購入し、アナと、
〈何日か泊まり込みで狼を討伐する予定だから、晩御飯にあの屋台のメニューを真似してみよう〉
とか話しながら、牧場へと向かう。
なんだか、〈冒険者〉しているな…前世では絶対に出来なかった〈冒険〉…
〈元気が有れば何でも出来る〉とは、
本当にそうだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます