第19話 説明するのも面倒だ…

プリシラさん親衛隊のオラオラ系の冒険者は、ハーツ兄ちゃんの子分的な方々みたいで、


昨日の〈決闘〉からの話しを説明して、何とか納得してもらった…


もう、忘れたい一連の流れをまた1から話す事で、改めてダメージを食らうが、


今度は、〈エリス姉ぇ〉と〈ハーツ兄ちゃん〉が、


「ウチの可愛い弟に…!」


と、ヒートアップして、落ち着かせるのにも時間を使った。


そして、〈パリスさん〉と〈チルさん〉のカップルは、アナに興味津々で、


「オルナスとは、どういう関係ですか?」


と、インタビューを開始している…


アナは頬を赤らめながら


「家族です。」


と答える…


〈アナさん、それでは色々誤解が…〉


と思うより早く、


エリス姉ぇが、


「どういう事!?」と食いついてしまい、


振り出しに戻るほど質問責めにされた…


もう、宿屋の玄関口でする話しでもないので、


ギルド酒場に移動して、


エリス姉さん達が旅立った後の出来事を全て話す事にした…


〈転生とスキルの事は伏せてだが…〉


使徒に任命された事や、


プリシラさんが笑いを堪えてプルプルしていたが、


アナの名誉を守る為に、極めて包み隠した内容で、パーティーを組む流を話して、


ストーカーに決闘を申し込まれ、


先ほど話した内容に続く…


ところまで、時間をかけて説明した。


エリス姉ぇが、


「神様パンツを見せろ」


と言っていたが、断固として断った…


酒場でパンツなど披露する趣味はない!


すると、悪い笑みを浮かべたエリス姉ぇが、


部下のプリシラ親衛隊に、何かゴニョゴニョ話している…


ちなみに、プリシラさんは昨日アナを心配して、もしかしてを考えて、〈休暇〉を取っていた為にお休みだ…


一緒に、このワチャワチャに参加している。


そして、〈ニチャァァァァ〉っと笑ったエリス姉さんは、


「オルナス、この四人はウチらの舎弟の〈鉄の拳〉っていうパーティーだよ、


ほら、挨拶して、」


と、いうと、


プリシラ親衛隊改め、〈鉄の拳〉の四人は、


「いつもエリスの姉さんにお世話になっております。


これから宜しくお願い致します。


〈オナ兄ぃ〉さん!」


と、大声で挨拶された…


〈パワーワード〉に、ギルド酒場の注目が俺に集まる…


〈逃げ出したい…〉


すると、朝から酔っ払った冒険者の数人が、


「おっ、昨日の〈今彼〉の兄ちゃんか?!


おかげで朝から飲めてるよ…


え~っと、名前…何だっけ?」


と、聞いてくるので、「オルナス」と答えようとすると、


鉄の拳のアホが、


「オナ兄ぃであります!」


と答える…


すると、酔っ払い達は、


「おう!〈オナ〉の兄ちゃんに、


かんぱぁぁぁいっ!!」


と、酒を掲げる。


〈もう、引っ越したい…〉


エリス姉ぇ…パンツ見せなかったからって、仕返しが酷いよ…


と泣きそうになるのを〈グッ〉と堪えて、


「もう、全部話したから!仕事が有るので失礼します。」


と、頭を下げて酒場を後にした。


後ろで、ハーツ兄ちゃんが、


「エリスぅ、駄目じゃないか?!

ほら、オルナス君が怒っちゃったよ…」


と叱ってくれてる。


少しモヤモヤが晴れたが、やはり昨日からのストレスが凄い…


俺に付き添って酒場を出てきたアナに、


「今日はもう採集しないで、鍛治に専念するよ。」


と伝えると、アナは、


「うん、昨日の賭けで半月ぐらい休んでも大丈夫だよ。」


と言ってニコニコしながらついてくるので、俺は、


「うん、だからアナはプリシラさんとお休みを楽しみなよ。」


と、薦めるが、


アナは、俺のツナギを摘まみながら、


「アタシが一緒に居たいの…駄目?」


と聞いてくる…


〈可愛いじゃねぇか…〉


と思いながら門で手続きをすると、


門兵さんが、


「ありがとよオルナス!

おかげで彼女にプレゼントが買えたよ!」


と、感謝された…


〈コイツも賭けてたのか…〉


と呆れながらも、


「門兵さんならば、普通止めません?

決闘なんて…」


と、俺が恨めしそうにいうと、


門兵さんは、


「いやいや、門兵の仕事は人の出入りのチェックだよ…面白…いや、街の住民の楽しみを奪う権利は残念ながら…」


と、わざとらしく残念そうにしている。


〈ケッ、こいつも敵か…〉


と、思いながら門の外に向かった。



その後は、全てを忘れる様に鍛治に打ち込み、


集中しながら〈トンテンカン〉していく…


おかげでかなりアナの装備が出来上がった。



夕方になり、後は宿屋で革細工等をして胸当てを仕上げるだけだ。


俺は、


「アナ、後は宿屋で五月蝿くない作業をするだけだから帰ろうか…」


と言って街に戻る…


早く装備を整えて、ランク…を上げなくても次の街に向かおうかな…


急に居づらく成ってしまったから…

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