第18話 厄介事の大セール

はぁ~、面倒臭い…


アナお嬢様がお腹がペコペコなので無理を言って先にディナーを頂き、


その間に、目を覚ました妖怪決闘小僧一味からの事情聴取を済ませて、


改めて、食後にお詫びとなり、


全ての話のすり合わせの結果、


アナを好きで、つけ回していたタダノ坊っちゃんは、


挨拶する関係でも幸せだったのだが、


俺が出て来てアナを奪われたと感じ…


〈って、お前は挨拶するだけの関係だろ?〉


タダノ坊っちゃんは親父に相談すると、


「男ならば戦って勝ち取れ!」的な事を言って焚き付けたらしい…


「周りを巻き込み〈決闘〉だと騒げば如何に〈卑怯な相手〉でも逃げられなくなる。」


というアイデアも親父の案らしいし…


親父も有罪ではあるが…


そもそもの〈恋敵〉の時点でストーカー息子の妄想が大爆発している…


ストーカー息子には、どこか良い病院をまず受診して欲しい。


プンスカ怒っている〈イスタ伯爵様〉と司祭様が、


小さく成っているモーブス親子とジャイルとスネイルに、


「罰は後日伝える!


家で大人しくしておけ!!」


と謹慎を申し付けていた…


ちなみにアナは、お腹もいっぱいになり、もうお眠だ…


〈自由だな…〉


うつら、うつらしているアナを見ていると、


イスタ伯爵様が、


「採集依頼から帰って来た所を待ち構えられて休み無しだったので、疲れておるだろう…


館に泊まってゆくか?」


と提案されたが、


アナの帰りをプリシラさんも待っているだろうし、

俺も、貴族さんなど〈厄介〉だから帰りたい…


イスタ伯爵様に、


「アナの保護者が心配しますし、明日も仕事に向かいますので、大変有難いお申し出ですが、


帰りたいと思います。」


と伝えて、馬車を出して貰うことに成った。


司祭様は、


「こんな事が無いように、護衛に教会の僧兵をつけましょうか?」


と提案してくれたが、


丁重にお断りした…



もう、クタクタになり宿屋に戻ると、


〈アナが馬車で連れて行かれた〉と聞いたプリシラさんが、冒険者ギルドの前を行ったり来たりを繰り返していたらしく、


馬車が停まり、寝ボケ半分のアナがフラフラと出てきたのを見かけると、


「アナちゃん!」と駆け寄り抱きついていた…


そして、プリシラさんは、


「オルナス君、いくらアナちゃんの彼氏でも、決闘の商品に彼女を賭けるなんて…見損なったわ!!」


と叱ってくるが…


〈彼氏でも、彼女でもないし、色々な情報が、ねじ曲がって伝わっていますよ。〉


とは、思うが、説明するのも辛気臭い…


俺が、困りながらも説明しようとすると、


騎士団の方が、


「オルナス様、後は私が説明致しますので、宿にお戻り下さい…」


と言ってくれたのだが、


プリシラさんは、


「あっ、オルナス!逃げるのか!!


そんなヤツにはアナを嫁がせられないなぁ!」


とご立腹だが…


〈別に嫁に貰う予定はない…

あえていうなら、仲だ…〉


俺は、ペコリと頭を下げて宿屋に引っ込んだ。


説明して尚、プリシラさんがご立腹ならば、


もう、街を出て他の街に行こうかな…?


等と考えながら部屋に戻り、


精神的に疲れきり…眠りについた…



ー 翌朝 ー


まだ、気分が乗らないが、


寝ていてもシンドイので、宿を出る事にした。


宿屋を出ると、大層ご立腹のアナと、〈シュン〉と成っているプリシラさんが出待ちをしていた…


「もう、プリシラお姉さんが変な言ったのが悪いんでしょ!


ちゃんとオルナスに謝らないとダメ!!」


と…


プリシラさんは


「え~っと、オルナス君…そのぉ…


昨日は大変失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした!」


と、頭をさげるが、


同じ宿屋で寝泊まりしている、プリシラさん贔屓の冒険者達が、玄関先で頭を下げている彼女を見て、


「おうおう!

俺らのプリシラちゃんに何かイチャモンでもつけているのか?!」


と集まってくる…


プリシラさんは、


「皆さん、私が悪いんです!」


と涙目で訴える…


〈いや、プリシラさん…多分それ…逆効果だから…〉


と思うが、既に手遅れで、


「てめぇ、何プリシラちゃんを泣かせてるんだ!


ちょっと顔貸せや!!」


と、数名の血の気の多そうな冒険者に絡まれた…


〈もう、勘弁してよ…〉


と呆れる俺に、


「朝から何をモメてるの?!」


と、どこかで聞いたことのある声がしたかと思えば、


次の瞬間、


「えっ?オルナス!?」


と、名前を呼ばれて宿屋の方を見ると、


一年半前に村を出た〈エリス姉さん〉が同い年の村人パーティーと共に現れた。


俺は、「エリス姉ぇ?!」


と驚くが、


血の気の多そうな冒険者達も、


「エリスの姉さん!?」


と言っている…


あねさん?〉と思っている俺に、


エリス姉ぇの後ろから、


「おっマジで、オルナスじゃん」


「オルナス君、お久ぁ!」


「オルナス君、元気だったかい?」


と、村の年上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが、声をかける…


彼らはエリス姉ぇのパーティーメンバーで、


農家の次男のパリスさんと、

雑貨屋のメープル婆さんの孫娘のチルさん、


そして、猟師の三男で、エリス姉ぇの彼氏のハーツ兄ちゃん、


なのだが…


血の気の多そうな冒険者が、ハーツ兄ちゃんを


「リーダー!」と呼んでいる…


もう、整理が大変なので、いっぺんに色々変なイベントのフラグが立たないで欲しい…

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