第10話 始まりの街イースナ


さて、逃げる様に村を出たのだが、


正直、別に〈龍を倒したり〉〈拐われた姫を助けたり〉と、旅の目的がある訳ではない…


強いて云えば、


この世界の〈満喫〉だ。


前世では無理だった〈ぶらり旅〉をしながら、あちこちに行く!


その為に、まず〈冒険者ランク〉を上げなければ、街に出入りするにもお金を取られてしまう…


冒険者ランクは〈Gランク〉から〈Sランク〉まで有る


〈Gランク〉

・街に入るのに満額の料金が必要

・門で手続きをすれば〈当日のみ〉無料で外出可能


〈Fランク〉

・街に入るのに満額の料金が必要

・門での手続きで〈1泊2日〉無料で外出可能


〈Eランク〉

・街に入るのに満額の料金が必要

・門での手続きで〈6泊7日〉無料で外出可能


と、大概の街に行けば金を取られ、勿論、国境や関所でも金を取られてしまい、

素材集めや狩りの為に〈壁外〉に出る〈無料期間〉が変わってくる。


そして、やっと〈Dランク〉で、

・街に入る時や関所の通過に〈半額〉の料金が必要となり、

・門での手続きで〈14泊15日〉…つまり半月の期間の出入りが無料で可能になる。


ついに、〈Cランク〉冒険者まで来ると、

街や関所に国境が無料で出入り出来る様になる。


〈冒険者ギルド〉は他国にもあり、同じ基準で運営しているので、世界中で通用するルールらしい…


勿論、登録しているが、数回素材の買い取りをお願いしただけの俺は、


〈Gランク〉のままだ。


〈依頼〉を受けてこなさなければ、ポイントが入らずランクは上がらない…


まずは、ウチの村の所属する〈伯爵領〉の〈領都イースナ〉へ向かい、


そこで何としても〈Dランク〉まで昇格したい…


旅の資金集めも兼ねて、冒険者としてバリバリ働こうと考えている。


オルビス兄さんが追加で作ってくれた〈ツナギ〉も数着…それこそ少し大きいサイズまで複数プレゼントしてくれたので、


破れたり、成長したりしても当分は心配ない…


ただ…〈ツナギ〉の色だが、


虫よけの効果がある〈青〉い生地で作ってあるので、


〈やらないか?〉と聞こえてきそうな見た目に成って居るが…我慢しよう…〈オビ兄ぃ〉の愛の詰まった〈ツナギ〉だから…


アイテムボックスがあるので手ぶらで旅は出来るし、


サンダル、ツナギ、脇差しの三点セットで、パンツはカウントされないから基本ステータスの〈4倍〉で旅が出来る。


神様パンツのおかげで、パンツのままでもフルパワーが出せるし、武器の分の〈弱体化〉分をチャラに出来るので、〈パンツ一丁狩り〉が、以前よりハイパワーで戦える。


魔物を倒したながら旅をすれば、〈イースナ〉に着く頃には、ひと財産出来ているだろう…


しかし、あることに気が付く。


街道を歩きで〈イースナ〉に向かい進むのだが、俺の進むペースがヤバい!


前世よりも3倍ほど強い、こちらの一般人のステータスに、


神様からの追加スキルでステータス補正が有る上に、


今の服装ならば、それの〈4倍〉である…


つまり、追加ステータス補正を無視しても、


3倍のステータスの4倍なので、日本人の12倍の身体能力で移動できる。


〈1馬力〉は大体〈四人力〉らしいから、今の俺は、三馬力相当…スキルで追加ステータス補正が有るので、それ以上になる…


しかも、脇差しも〈アイテムボックス〉に放り込めば、ステータスは〈6倍〉になり、4.5馬力になり、〈身体能力強化〉スキルも発動し、足に力を集めれば、


もう、馬要らずである。


むしろ馬車よりも遥かに早い…


夕方まで走り、街道に転々とあるキャンプポイントで休み、また朝日と共に走り出す。


キャンプポイントに希に居る〈行商人〉から食糧を買ったり、街道に迷い出た魔物を倒してアイテムボックスに放り込んだりしながら、


普通なら10日程馬車で掛かる道のりを半分の5日で走り切った…


後半は〈走る〉事に快感を覚えてしまい、サンダルを二足駄目にした…


そして、サンダルが勿体ないと、裸足になり武器もアイテムボックスにしまい、


ヤケクソで走ると、〈8倍〉のステータスのおかげで足の裏も痛くない上に、風の様に走れた…


〈なぜ、初日から裸足に成らなかったのか…〉


と、後悔しながら、名前すらよく知らない伯爵様の〈領都イースナ〉に到着し、


入り口で手続きをして、小銀貨一枚…約千円を払い〈イースナ〉の街に入る…


そして、この〈ぶらり旅〉の唯一の面倒臭いポイント…新たな街に行くと〈教会〉に寄らなければならない。


流石〈領都〉、馬鹿デカい教会で、司祭様にご挨拶をして、


「冒険者のランクを上げて、旅の準備をするので、当面お世話に成ります。」


というと、司祭様は、


「やったぁ!パンツの使徒様が旅の始まりの地にイースナを選んで下さった。」


と、他の神父様やシスター達と変な踊りで喜びを表したあと、神様の像に祈りを捧げていた。


俺も、神様に祈ると、


〈パンツの履き心地はどう?

なんか困ったら相談してね。〉


と神様の声が頭に響いた…


今回は〈大事〉に成らない様に、神様は七色の光りは無しにしてくれた様だ…



さぁ、頑張って〈ランク〉を上げるぞ!!

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