応募作品への感想
前夜/nou への簡単な感想
応募作品について、主催者フィンディルから簡単な感想を置いています。全ての作品に必ず感想を書くというわけではありませんのでご注意ください。
指摘については基本的に「作者の宣言方角と、フィンディルの解釈方角の違い」を軸に書くつもりです。
そんなに深い内容ではないので、軽い気持ちで受け止めてくださればと思います。
またネタバレへの配慮はしていませんのでご了承ください。
前夜/nou
https://kakuyomu.jp/works/16817330653215032312
フィンディルの解釈では、本作の方角は真北です。
作品規模がコンパクトでストーリーが卑近で心理描写の割合が多いことなどから、作者および読者は西を感じているのだろうと想像しますが、フィンディルの解釈としては真北掌編です。
本作は「些細なことで妹と仲違いした姉が、バレンタインをきっかけに仲直りする」ストーリーのうち、「妹と仲違いする」「妹と仲直りする」場面を省いたものであると思います。「バレンタインをきっかけに妹と仲直りしようかと考える」場面を切り抜いたともいえますね。
仮に本場面のまえに「妹と仲違いする」場面を、本場面のあとに「妹と仲直りする」場面を入れて想像してみると、途端にほっこり真北ストーリーが想像できるんじゃないかなあと思います。
前後のストーリーを落として一場面だけを見せるのは、掌編としてはオーソドックスなアプローチです。これは文字数に関わるアプローチであって、方角に関わるアプローチではないと考えます。ストーリーから場面を抜粋するタイプの掌編作品はどれも西なのかというと、決してそんなことはないでしょう。
また作品サイズ的に「仲違いする→仲直りする」というエンタメ構成が組めない代わりに、本作は「チョコを贈る対象は妹だった」という事実開示によって作品をまとめています。これは短編サイズのエンタメが施せない代わりに掌編サイズのエンタメを施した、というものなのでやはり真北を示すだろうと思います。
心理描写の割合が多いのも何ということはなく、そのストーリーにおいて心理描写が多い場面を切り抜いているからと考えられます。心理描写の内容もほっこり真北ストーリーから逸脱するものではないでしょう。状況を整理して読むと「姉妹兄弟ならではの微妙な関係性のなかであれこれ悩む姉」という一般的なほっこり共感を示せるそれです。そもそも心理描写が多ければ西、というわけでもないですけどね。
また文章において焦点の定まらないブレがいくつか確認できます。確かに西向き作品ではブレを表現に用いることは珍しくありません。
ただ「優柔不断」「吟味」が一文中にあるなど本作に確認できるブレは、方角に関するブレではなく品質に関するブレであるとフィンディルは判断します。
ですので文章の洗練と情報の取捨選択ができるようになると、本作は真北掌編らしい真北掌編に見えてくるんじゃないかなと期待します。
受験を控えてピリピリしている妹のためにバレンタインにキットカットを買ってあげる姉。ほっこりするエピソードですね。
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