令和五年如月より令和五年文月まで

如月


朝焼けを 背に粉雪が 舞い荒ぶ 名のみの春の 風は冷たく


弥生


剥がれては 埋める壁紙 後残し 手を入れる程 悪化するなり

本年も 呼ばずとも来る 杉花粉 薬頼みで 日々を乗り切る

人気ない 夜道に見ゆる 夜桜に 見入るは花か その散り様か


卯月


雨を得て 何処からとなく 鳴く蛙 いずこへ潜み 鳴いているやら


皐月


東雲の 空に浮き立つ 鉛雲 夜空の色は 雲が吸いけむ

払暁の 前にさざめく 朝鳥の 声を聴きつつ 日の出を眺む

夜明け前 地に降り歩むは 烏共 影の姿は 竜の裔なり


水無月


薄紅の 朝焼けに鳴く 鳥一羽 夜通し鳴いた 蛙は何処へ

遠雷の 音を掻き消す 雨の音 降り尽きるのは いつになるやら


文月


一年の 半ば過ぎ越す 日に思う 時の速さは 恐るべき哉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る