2話

 一日目は不発だった。

 二日目はシアンを囮にしてやってみたが、口裂け女は現れなかった。

 もう今日は帰ろうかと思った時だった。

「うわああああああ」

 近くから叫び声がした。

「もしかして!」

「行くわよ!」


「うわああああ」

 一人の男が白い服を着た黒髪の女に追いかけられている。

「多分、口裂け女だ!」

 逃げている男も足が速いが、口裂け女も中々だ。

 シアンが銃を出し、口裂け女の足を狙う。

 ダン! 命中した。

 口裂け女は走れなくなり、その場にうずくまる。

「はい、確保」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「喋った!」

「そりゃ人型だから喋りくらいするわよ」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「ちょっと落ち着いて」

「はい、え、わ、わたしは……」

「何で彼を追いかけていたの?」

「私は口裂け女だから、そ、そうしないといけなくて」

「そういうものなんだ」

「体が勝手に人を追いかけてしまって」

「妖怪になった者の定めね。そうしないと、存在自体が危うくなる」

「私、これからどうしたらいいんでしょう」

「そんなあなたには妖怪学校への入学がおススメよ」

「よ、妖怪学校?」

「そのまんまの意味よ。妖怪の通う学校。はい、これパンフレットと願書」

 モモちゃんはエンジェルフォンから、それらを取り出して、渡す。

「こ、こんな場所があるんですね」

「良かったら皆で行ってみる?」

「え? ご一緒してもよろしいのですか?」

「ええ。一度遊びに来てとも言われているし」

「へえ、私達も一緒に行くんだ!」

「そうよ。葉月の良い勉強になると思うわ」


 こうして、口裂け女と葉月達は、少しの間だけ旅を共にすることになったのだった。





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