口裂け女捕獲作戦

1話

 街はとある噂で持ちきりになっていた。

 長い髪でマスクを付けた女が「あたし綺麗?」と話しかけてくる。正しい答えを言えば何もないが間違った答えを言えば殺される。



「口裂け女じゃん! なっつ!」

「口裂け女って、確か昔の都市伝説だよね」

「そうそう。いや懐かしいわー」

(私のお母さんが子どもの頃に流行ってたらしいけど、モモちゃんって何歳なんだろう)

「口裂け女への正しい返答って何だ?」

「ポマードって三回唱えるといいのよ」

「何故に整髪料」

「口裂け女は整形手術に失敗した女性の妖怪って言われているの。その手術をした外科医からポマードの臭いがしていて、それがトラウマになったからという説があるわ」

「へえ~」

「とにかくコノハに連絡してみるわ」

 モモちゃんはその場でコノハに電話をかけた。

「ええ、ええ、その後は? ……分かったわ。じゃあ」

「コノハさん、何て?」

「捕まえろって」

「へ?」

「口裂け女捕獲作戦よ」


「まずは何をするの?」

「とりあえず目撃情報を当たってみるわ」

「街の人に聞き込みだな!」

「ええ」


 聞き込みの結果、目撃情報がいくつか出て来た。

 幸い、殺されたものはいないようだった。皆、何とか逃げ切れたそうだ。

「確かに、殺されてたら、もっとニュースになるものね」

「口裂け女に出会うのはは夕方から夜にかけて、人通りの少ない道路。若い男が狙われることが多い」

「そこに張り込みをすればいいってことか?」

「ええ、そうしましょう」


「じゃあロッソ、よろしくね」

 口裂け女が目撃された道路でロッソを囮にして、出て来るのを待つ作戦だ。

「おう、口裂け女が来たら、そっちまで誘導すればいいんだな?」

「ああ、頑張れよ」

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