偽イタコ

1話

天界、コノハの部屋。

「葉月、突然だが、お前の先祖を口寄せしてやろう」

「えっ、そんなこと出来るの⁉」

「ああ、天使だからな」

「お前の生年月日と家族構成を、この紙に書いてくれ」

「OK」

「家系図を分かる範囲で書いてくれ」

「は~い」

「じゃあ、この辺の、葉月にとっては曾々祖父さんに当たる人を呼び出すから」

「うん」

「ふんぬらばっ」

 変な掛け声と共に、コノハは天を仰ぐ。

「我が子孫、葉月よ」

「ひいひいおじいちゃん⁉」

「如何にも」

「ひいひいおじいちゃんの好きなことは何ですか?」

「俳句と釣りじゃよ」

「へえ、そうなんだ」

「一句浮かんだ。古池や 蛙飛び込む 水の音」

「すごーい。何か聞いたことあるけどー」

「こら、葉月を揶揄うの、もう止めなさい」

「へ?」

「句も芭蕉丸パクリだし。趣味もテキトーでしょう」

「バレたか」

「え~、嘘だったの?」

「ごめん、嘘だ。で、今回の依頼が、こういう輩をとっちめてほしいってことなんだよ」

「こういう輩?」

「死んだ人の霊を呼び出して、可哀そうな人達から金を巻き上げてる詐欺師だよ」

 コノハは資料を渡す。

「こいつだ」

「わかった!」

 葉月は元気よく天界を飛び出した。


 ノインの元に戻った葉月は、今回の任務のことを話す。

「で、どうやって、そいつを炙り出すんだ?」

 今日の野宿飯はカップ麺だ。

 ロッソとシアンが、ずるずると麺をすすっている。

「ターゲットは自称・伝説のイタコ・ミツルギ。この辺りに住んでるわよ」

「そいつのイカサマを見破ればいいんだな。俺に策がある」

 ノインはニヤリと笑って言った。


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