りんねと快斗の初任務!
1話
「俺、お前と同じ学校だから」
天使になった日、快斗から別れ際に言われた。
「えっ」
「だからといって、そこまで仲良くしなくていいから。普通に接してくれ」
「わ、分かった」
ある日のこと。
「今回の任務だが、学校に出没した幽霊を」
「えっ」
話の途中で苦虫を噛み潰したような声がした。
「え、どうかしたか?」
「な、何でもないっ!」
「ならいいけど。…学校のトイレに出没した幽霊、まあ言ってしまえばトイレの花子さん的な幽霊を成仏させる仕事なんだけど。難易度もそんな高くないし、初めての任務なら丁度いいところだろ」
「そうね、余裕よ、余裕!」
りんねの声は若干震えており、強がっているように見えた。
全ての明かりが消え、夜の闇に包まれた学校は独特の雰囲気を醸し出していた。しかし、快斗にとってはもう慣れたもので、気にせずにスタスタと入っていく。
「どうした? さっさと来いよ」
「え、あ、うーん…」
パートナーのユキ(オコジョ)はりんねの顔を肩越しに窺う。
「りんねさん、大丈夫ですか?」
「へ⁉ だ、だだだいじょうぶよ?」
りんねは顔面蒼白で声が裏返っている。明らかに学校で見る姿とは違っており、快斗もさすがに不審に思った。
「お前、もしかして…」
「実はオバケ怖ぇーんじゃね?」
快斗が言い淀んだ言葉をパートナーのハリ太郎(ハリネズミ)がさらっと口に出してしまう。
「そうなのですか、りんねさん?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「ていうか、幽霊が見える癖に怖がりって、今までどうやり過ごしてたんだよ」
「必死で見ないフリをしてたの! 目を合わさなければ大丈夫!」
「幽霊見えるって知ってた人は? 親とか」
「私が幽霊見えるって知っているのはお母さんだけ。葉月は知らない」
確かに、葉月はそんなこと言ってなかったなと、快斗は思った。
「そう、こんなこと知られちゃダメなの。あの子にとって私は、強くて格好良い存在じゃなきゃいけないんだから」
それは、目の前の快斗ではなく、自分に言い聞かせているように聞こえた。
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