復讐する人形

1話

天界、コノハの部屋。

「今回の任務は動く人形の回収だ」

「動く人形?」

「まあ、そのまんまの意味なんだが……。大事にされてた人形があってな、そいつの持ち主が自殺して寂しさのあまり、持ち主を死に追い込んだ奴を殺したんだよ」

「うわ、ヘビーだね」

「んじゃ、いってこい!」

「いつも通り簡潔な説明ね」

「俺は現場主義なんでね。実際見た方が早いだろ」

「そうだね! いってきます!」


「ただいま!」

「おう、おかえり。カレー出来てるぞ」

 今日の野宿飯はノインお手製のカレーだった。

 ロッソとシアンは、もう先に食べている。

「あ~、ずるい!」

「へっへー、おかわりもしちゃうもんね」

「ノインのカレー、美味しい」

 双子がバクバクとカレーを食べている。

「で、今回の任務はどんなやつなんだ?」

「動く人形の回収だって」

 葉月がカレーを食べながら答えた。

「ぜんまい仕掛けなら普通に動くだろ」

「違うわ。普通の人形に魂が宿って、動くのよ」

 モモちゃんが資料を見ながら答えた。

「ああ、勝手に髪が伸びるみたいなやつ」

「そんな可愛いもんじゃないわよ。この人形は殺人を犯しているの?」

「やべえな。何で?」

「この人形の所有者はヘイリーという男性。幼い頃からメアリーと名付けた人形を大事にしてきたわ。大人になってからも、毎日メアリーに話しかけていた」

「彼女とかいなさそうだな」

「そうね。ヘイリーには親しい友達はいなかったそうよ。だから、メアリーに愛情を注いだ。それでメアリーに魂が宿ったのよ」

「俺達も道具を大事にすれば魂が宿るのか?」

 ロッソが本日3杯目のカレーを、もう飲んでいるといってもいい速さで口に入れながら聞いた。

「付喪神的なものはあるかもしれないわね」

「この短剣、昔から使ってる」

 いつの間にか4杯目のカレーをペロリと平らげていたシアンが言った。

「何その刀●乱舞」

「で、その頃、ヘイリーは仕事で毎日てんてこ舞だった。メアリーに仕事の愚痴をこぼしていた。そして、過労が原因でヘイリーは自殺した」

「最近流行りのブラック企業ってやつか」

「この世界でも流行ってるんだ……」

「葉月の世界でもあるのか。嫌なものだな」

「ヘイリーから詳細な事情を聞いていたメアリーは、ヘイリーを自殺に追い込んだ人物を殺した。今の所、二人殺されているわ」

「人形に殺されるって、何か間抜けじゃねえか? どうやったんだよ」

「寝てる間に包丁でメッタ刺し」

「ああ、抵抗できねえな、それは」

「それで、今から次に殺されるであろう標的の護衛に向かうわ」

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