4話

 鉄格子で囲まれた地下牢の中には、痩せ細り、生きる気力もなくした人々がいた。

 モモちゃんが鉄格子に触れると、ビリッと電流が走る。

「いっ―――」

「大丈夫?」

 シアンが心配したように聞く。

「大丈夫よ、大した痛みじゃない。……これは結界ね」

「結界?」

「外部から入れないようにしているのよ」

「じゃあ、どうやってこの人達を助けるんだ?」

「結界を解くのよ。そういう呪文もある」

「便利だな」

「この邪悪なる結界を解きたまえ。我が神の元に命ず」

 光が鉄格子を包み込み、爆発する。

「うわっ」

 捕らえられた人々の目に光が灯った。

「あなた達、この人達と逃げなさい」

「な、何で?」

「早く行きなさい……。さあ早く!」

 モモちゃんは牢屋から人々を出した。

「ロザリオを肌身離さず身に着けておいて。それがあなた達を守るから」

「うん、頑張る!」


「出て来なさいよ、そこにいるんでしょう」

 黒いマントに身を包んだ人物が姿を現した。

「ほほう、我を見つけるとは大した奴じゃ」

 女の声だった。顔はマントに隠れていて分からない。

「あなた、魔力を消してたみたいだけど、私には無駄。どんな微量な魔力でも感じ取ることが出来るわ。……それで、あなたは何者?」

「我は影。あの方を支える者」

「私はなるべく早く上に行きたいの。通してもらうわよ」

「ほう、お主に我が倒せると……。冗談も程々にするのじゃな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る