古城の眠り姫

1話

「あ、もしもし、私、モモちゃんよ」

 モモちゃんがエンジェルフォンで何処かと電話している。

「いいわよね? ええ、ええ、じゃ」

「誰と電話してたの?」

「コノハよ」

「何て?」

「許可が取れたわ」

「何の?」

「元の姿に戻るための許可」

「元の姿? じゃあ今のモモンガの姿は?」

「仮の姿ってところかしらね。じゃ戻るわよ」

 そう言うと、モモちゃんの身体が光った。

 光が消えると、モモンガがいた所に、一人の少女が立っていた。

 桃色の髪をボブカットにした可憐な少女だ。年は葉月より、少し上の高校生くらいに見える。

「わあ、可愛いね!」

「そう、ありがとう」

 モモちゃん(人型バージョン)を見たノイン達は、皆、驚いていた。



「で、今回の任務は眠り姫の救出よ」

「眠り姫、何か童話みたいだね」

「どれくらい眠ってるんだ?」

「もう十年以上眠っているそうよ。姫を眠らせた黒魔導士がいるらしいから、それと戦うことにもなるわ」

「おい、俺達は一般ピープルだぞ」

「魔法とどう戦うんだ?」

「怖い」

 ロッソとシアンが体を震わせて言う。

「こんなこともあろうかと、これを買っておいたのよ」

 モモちゃんは5つのロザリオが付いたネックレスを取り出した。

「何だ、それ」

「ロザリオ、十字架よ」

「吸血鬼が苦手なやつか」

「そうよ。吸血鬼以外にも、悪いものから守ってくれるの。だから、これを身に着けていて」

 皆がネックレスをかけると、モモちゃんは言った。

「あんた達、三人とも全然似合わないわね」

 山賊ルックの双子と、東洋旅人ルックのノインだった。


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