3話

「葉月! おい、起きろよ、葉月!」

 妖怪達は気絶した葉月から離れて、ノインの方へ向かって来た。

「よくも葉月を! お前ら絶対許さねえからな!」

 ノインは剣を握りなおす。


「待ちなさい」


 凛と響くような声がした。

 声の主を見た時、皆が自分の目と耳を疑った。あいつはさっき倒れたはずだと。

「葉月、無事だったのか……」

「私があなた達を倒す」

 葉月は弓を持ち直し、狼男に向ける。

「まずは、私に傷を負わせた、あなた」

 弓を引く。避ける間もなく、狼男は倒れる。

「次は、そこの包帯巻きの、あなた」

 弓を引く。ミイラ男も狼男と同様になった。

 ノインは、あることに気付いた。

 先ほどまで痛がっていたのに、何ともないように見える、それに天使の羽も大きくなった気がする。それに、弓が当たっている。

(葉月は、あんなキリッとした目じゃない。

 葉月は、あんな凛とした声じゃない)

「次はマントを着たあなた」

 吸血鬼が倒れる。

(あれは葉月じゃない―――――)

「最後は、頭が蛇の、あなた」

 メデゥーサの目が赤く光り、葉月に向かって、真っすぐに伸びる。

 葉月は、飾ってある鎧から、いつの間にか剣を取り、刀身で光をはね返した。

 光は反射し、メドゥーサが石になった。

「正義は必ず勝」

 正義の味方のお決まりのセリフを言い終わる前に、葉月は倒れた。

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