4話

「正義は必ず勝ーつっ!」

 ベッドから起き上がった葉月は、そう叫ぶと、ハッとして、周りを見渡した。

「どんな寝言よ、全く」

「モモちゃんっ! 生きてる!」

 葉月は涙目になり、モモちゃんに抱き着いた。

「皆、生きてる! 私も生きてる! 何で⁉ 傷口も塞がってるし……」

「葉月、覚えてないのか?」

 ノインは葉月の大活躍ぶりを話して聞かせた。

「いやー、あれは凄かった」

「全然、覚えてない」

「俺も見たかった」

 シアンが、少し悔しそうに言う。


「そういえば妖怪達は?」

「それなら心配ありません」

 支配人が立っていた。

「これは妖怪学校の実力テストです。弓でちょっと射られたくらい平気ですよ」

「よ、妖怪学校? そんなのがあるの?」

「ええ、存在します。ちなみに私は妖怪の歴史担当です」

「へえ、そうなんだ。……モモちゃんはどうやって石から戻ったの?」

「聖水をかければ戻るわ」

「そういうものなんだ」

「そういうものなのよ」

「テストの割には本気度が違ったけどな」

「いやいや、本当に申し訳ございません。本気でやってもらわないと生徒の本当の実力が測れないものでして……。勿論、本当に死にそうになったら、私が止めていました」

「そういう問題なの?」

「本当に反省していますよ。いやあ、あの時の弓、本当に痺れましたよ」

「う~ん、覚えてないことを褒められても……」

「それよりも、あなた、天使ですよね?」

「うん、そうだよ」

「私の生徒達、天使と戦ったなんて、すごいなぁ。そうだ、皆さん、うちの学校にも、よろしければいらっしゃって下さいよ。歓迎します」

 そう言って、地図と名刺を渡す。

「ど、どうも」


 もう一日、宿泊し、葉月達はモンスターハウスを後にした。


 ノインから葉月の覚醒した話を聞いて、モモちゃんは思った。

(葉月には何か秘められた力があるのかもしれない……)


 また、葉月は思った。

(これから、もっと強い奴と出遭うかもしれない。この楽しい旅が出来なくなってしまうかもしれない。そうならないためには、どうすればいい? あれくらいで泣いちゃダメだ)


「私、強くなるよ!」


 葉月は、そう強く誓ったのだった。

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