モンスターハウス

1話

森の中。少し古ぼけた洋館が建っていた。

「『宿泊、大歓迎!』だって! 今日はここに泊まらせてもらおうよ」

「そうだな」

「今日は野宿じゃなくて良かった」

 シアンが、ほっとしたように言う。

 何処かで「アォーン」と遠吠えが聞こえた。

「狼か?」

「早く入ろうぜ」

 ロッソが洋館の扉を開きかけながら言う。

「おう」

 扉を開けると、洋館の中は暗く古臭く、陰気な雰囲気が漂っていた。

 モモちゃんが身震いして言った。

「ここ、妖気を感じるわ」

「妖気?」

「妖怪から発せられる気のことよ」

「ここに妖怪がいるってこと?」

「ええ、恐らくは」

「どうする? 泊まるの止める?」

「まあ妖怪は、けっこう無害なのも多いから」

「座敷童とか?」

「この洋館には似つかわしくないけど、そんなものかもしれないわね」


「やあやあ、ご宿泊ですかな」

 暗闇の中から、ホテルの支配人と思われる者が現れた。

「あ、はい。5人で」

「はいはい。部屋割りはどうされます?」

「男と女で分けてくれ」

「はい、承りました。一万円になります」

 ※本当は異世界の通貨があるのだが、分かりやすく日本円で表現しています。

「お部屋にご案内致します」

 ノイン達、男三人は201号室、葉月とモモちゃんは隣の202号室になった。

「お食事の準備が出来ましたら、お呼びいたします」


 食事が出来たので、案内されて食堂まで行く。

「久しぶりのちゃんとした食事だ」

「うん」

 食いしん坊のロッソとシアンは大喜びだった。大皿料理もぺろりと平らげてしまう。

「おかわり!」

「俺も」

「二人ともいっぱい食べるね」

 ノインが支配人を呼んで、おかわりしても値段が変わらないかを聞いている。

「ええ、大丈夫ですよ。好きなだけお食べ下さい」

「それは良かった」


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