2話

「ここが魔法の書があるロックガード遺跡よ」

 遺跡の前には先客がいた。

 考古学者のウィリアムである。

「あなたも魔法の書を?」

「ええ」

「私達には魔法の書が必要なんです」

 そう言うと、足早に遺跡の中に入っていった。

「どうする?」

「あの人よりも先に見つけないと」

「だったら競争だね」


 遺跡の中は石壁で出来た迷宮になっていた。

「私、羽があるから飛べるよね!」

「今更だな」

 葉月が「とう!」とジャンプしてみると、身体が浮いた。地面から数cm程。

「あれ?」

 背中に、ちょこんと生えた羽がバサバサしているが、やはり少し浮いているだけだった。

「それだけ?」

「仕方ないわね、見習いなら、それくらいよ」

「葉月、元気出せ。そのうち空も飛べるはず」

「今回は私が空からナビゲートするわ」


「そこを右、次は左」

 モモちゃんが飛んでいる上から、ウィリアム達が乗ったヘリコプターが見えた。

「ヘリなんてずるい!」

「ヘリ持ちってことは、かなりの金持ちだな」

 ヘリはどんどん先を進んでいく。モモちゃんは葉月達をナビゲートしながら歯がゆい思いでヘリを見送った。

「そこ行き止まり、一旦戻って左」

 迷路の中腹に差しかかった所だった。

「何よ、あれ」

 大きな石が動いていた。

 言うなれば、石の巨人。

 それが腕を振り回し、ヘリを墜落させたのだ。

「モモちゃん、どうしたの?」

「ヘリが落とされたわ。この先、石の巨人がいる!」

「魔法の書を守るボスだね!」

「何だ、それ! 強そう!」

「次はそんなのと戦うのか。葉月は弓、俺は剣、ロッソとシアンは何か武器持ってるか?」

 シアンが腰にかけている短剣を見せる。

「お揃いで持ってる」

「そうか。石の巨人に効くかは知らねえが」

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