3話

20対2はさすがに不利で、二人はジリジリと追い詰められていく。

 ファンファンファン

 パトカーのサイレンの音が聞こえた。

「やべえ、サツだ!」

「ズラかるぞ」

 山賊は逃げ出した。

 双子も一緒に逃げようとしたが、葉月が手を掴んで引き戻す。

「あなた達の居場所は、こっち」

「え?」

 他の山賊が全て逃げたところで、捕まっていた人も元の場所へ逃がした。

「ふー、警察がこんな所まで見回りに来てるとはな」

「ああ、あれは私なの」とモモちゃんは言う。

「え?」

「エンジェルフォンの音アプリから警察の音を流したのよ」

「はあ、便利なもんだなあ」

 葉月は山賊の二人の手を握ったままだ。

「おい、そいつら、どうするんだよ」

「えっと、仲間にしよう!」

「はあ、山賊だった奴が仲間あ?」

「そんな、俺は戻るよ」

「…………」

「君達は、好きで山賊と一緒にいるの?」

「そんな訳ない、けど」

「仕方なかった」

「だったら、私達と一緒に来ない?」

「でも……」

「…………」

「おい、葉月」

「私は葉月の好きにしたらいいと思うわよ」

「行くとこないんなら、一緒に旅しよう」

「「……………」」

「きっと今まで見たことない景色が見れるよ」

 葉月が笑顔で言う。

「……俺、行ってみたい」

「俺も」

「わーい、旅の仲間が増えたよ! 私は葉月!」

「モモちゃんよ」

「……ノインだ」

「ロッソ」

「シアン」

「ロッソとシアン、よろしく!」

 ぐ~~~~

 ロッソとシアンのお腹が鳴った。

「ご飯食べよっか」

「「うん」」

 

 後日談。

ロッソとシアンがけっこう大食いだったので、食費がかさむ。

「食費、俺持ちかよ!」

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