2話

寝る時間になった頃だった。

「シッ、静かに」

 モモちゃんが何か気配を察知したようだ。

 草陰に隠れ、様子を伺う。

 どうやら山賊のようだった。その数、20人ほど。

「山賊には関わらない方がいい。気付かれる前に立ち去るぞ」

 葉月は、山賊の中に、自分と同じ年頃の双子の少年を見つける。

「あの子達も山賊の仲間?」

「例え、子どもだろうと、盗みをしてきた悪党だ。連れ出してやろうなんて思うな」

「あの子達だって好きで山賊になった訳ないよ。助けてあげないと……」

 そこへ盗賊に捕まった人らが連れられて来た。

「お前らも、そろそろ殺しを覚えてもいい頃だ。ほら、この剣で、こいつらを殺してみろ」

「ひ、人殺しなんて、無理だよ」

「何だと、俺様の命令が聞けねえってのか! ああん?」

「葉月、早く行くぞ」

「葉月?」

 ノインは嫌な予感がした。面倒事が起こりそうな予感だ。

「葉月、待っ」

「子どもに無理やり人を殺させるなんて許さない!」

 葉月が山賊達の目の前に飛び出していた。

「そこの捕まってる人と、双子の男の子を解放しなさい! さもなくば……」

「さもなくば?」

「私が斬る!」

 ノインは頭を抱えていた。この天使は無駄に正義感が強いのだった。

「誰だ、お前?」

「私は見習い天使、天間葉月だよ!」

「はあ? テンマあ?」

「エンジェルアロー!」

 葉月は武器を出し、射る構えを見せる。

「いや、武器、弓かーい」

 山賊の親分、ノリツッコミ。

「えい!」

 葉月が射った矢は、あらぬ方向に刺さった。

「あ、あれぇ……?」

「何だ、こいつ、弱えじゃないか!」

「やっちまえ!」

「ふえーん」

 葉月に向かって剣を振るう山賊達。

「全く、世話焼かせるぜ」

 ノインが仕方ねえとばかりに、自身の刀を抜いて応戦する。

「ノイン! ありがとう!」

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