天使と山賊

1話

「異世界にもスーパーマーケットがあるなんてびっくり!」

「この世界は地域差も大きいけど、葉月のいた世界とほぼ変わらない文明レベルになっている場所も沢山あるわ」

「缶詰とかレトルトもあるんだ!」

「いや、バカにしてんのか。ケータイも存在するわ、俺は持ってないけど」

「私のエンジェルフォン、見る?」

「おっ、これがスマホってやつか。ボタンが一つしかねえ!」

「こうやってタップしていくんだよ」

「お~、すげえ」


 国境付近の森の中。

 ナップサックの中からガスストーブと深鍋を取り出し、先ほど店で買った食材を並べ料理の準備を始める。

「俺みたいな流浪人は基本野宿だから、料理も外でするしかないんだよ」

 ガスストーブの上に水道水を入れた深鍋を置き、レトルトハンバーグを三つ煮込む。

「そういえば、モモちゃんは貯金があるとか言ってたよね?」

「ええ」

「今回、支払い全部、俺だったけど」

「それが?」

「え、何、モモちゃんは貯金を俺のために使ってくれるとかはない訳? 葉月もこの前のヒュドラ退治で報奨金もらってたじゃん」

「あっ、そうだね。私も出した方がいい?」

「いえ、今回はノインのおごりで」

「俺の守護天使なのに」と、ノインはボヤく。


 飯を食べ終え、片付けをする。

「この紙のお皿、どうするの?」

「焚火の燃料にするか、土に埋める、再生紙だから大丈夫」

「へえ、エコだね」


 そろそろ寝る時間になった。

「俺、寝袋があるけど、お前らどうする?」

「葉月、アイテムアプリを見て」

「うん」

「テントがあるでしょう」

「あっ、うん」

「出して」

「ジャーン、エンジェルテント!」

 テントが組み立てられた状態で現れる。

「豪華でいいな。雨の日は俺も入れてくれ」

「女子だけの花園よ」

「ねえ、君ら、本当に俺の守護天使?」


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