第7話
「あ、ちょっとそこの雑貨屋さん行きたいな」
「わかったわ」
服屋さんの2軒隣が雑貨屋さんだったのでのぞいてみる。
「らっしゃい」
店内は見渡すかぎり商品がところ狭しと並んでいる……そして、店の奥には小さなカウンターがあり年配の店主さんが座っていた。
とりあえず欲しいと思ってるのはポーション瓶かな。道中でポーションを作るにしても薬草は現地で手に入るけど瓶はたまに捨ててあるくらいだもんね……
早速、ポーション瓶や調合セットなどがおいてあるコーナーを見つけた。あれ、なんか種類がいっぱいあるっ!
「うーん、どれにしたらいいのかなー」
今までは神殿にあるものを使ってたから、ポーション瓶にこんなに種類があるなんて思わなかったんだよね……
「ねぇねぇ、お母さん。ポーションをギルドに売るときってポーションの瓶によって買取価格が変わったりするの?」
「どうかしら?ポーション自体ギルドでそんなに売ったことないからわからないわ。店主はご存じかしら?」
「へい、ポーション瓶は決まった規格があるため内容量はどの瓶を選んでも同じです。ギルドでは内容量と質さえきちんとしてりゃあ、瓶の違いで買取価格が変わることはねぇと思います」
「へぇ……」
「そうなのね」
職人さんによってはポーション瓶に柄がついていたりするみたい。結構凝ってるものもあるなーって眺めていたら……ポーションは封をしてあればそこそこの期間持つので、ポーションを買うときにおしゃれな瓶を選んで家に飾るひともいるため、余裕のある錬金術師は柄つきの瓶を結構買っていくって店主さんが教えてくれた。
そういえば神殿で使っていたポーション瓶、神殿のモチーフがついていたものだった気がする。あれは神殿専用に作ってたものだったかぁ……
「うーん……じゃあ、売れ残ってるポーション瓶をくださいな」
「あ、ありがとうございますっ!……量はいかほどで?」
「えっと、どのくらいありますか?」
「少々、お待ちをっ!確認してまいります!」
「はーい、ごゆっくりー」
店主さんが奥の部屋に確認にいっている間、店内をゆっくり見てみる……ところ狭しと並んでいるとはいえきっちり区分けされているから探しやすい。
おっ、この大きめな桶いいかもしれないな?からだ拭くときにも使えるし、洗濯やポーション作りにも利用できそう。お風呂に入れないときは浄化や生活魔法のクリーンできれいにしてるんだけど、時々はからだ拭いたりしたいんだよね……気分的に。
こっちには旅に便利なものが集められた棚みたい。うーん、冒険者ギルドで買った『内容が豪華すぎる野営セット』に入ってるものはいらないし……あ、これ必要じゃない?聖女として移動するとき使ってたと思うけど。
「お母さん、この魔除け香って必要だよね?冒険者ギルドで買わなかったよね」
「あー、それいらないわ。もっといいの持ってるから」
「そうなんだ」
「そうそう、効果抜群だから安心して」
魔除け香より効果抜群かぁ……ダンジョンで何か見つけたのかな。じゃあ、いらないかー。
「お待たせしましたっ!こちらです」
「ありがとうございます」
店主さんがいくつか木箱を抱えて持ってきていて、木箱に入った瓶を見せてくれる。
「へい。こっちの少し形のいびつな瓶は見習い職人の作でして……」
「もちろん内容量とかの規格はクリアしてるのよね?」
「それは問題ございません。で、こちらがリサイクル瓶ですが……」
「えっと、リサイクル瓶……って何ですか?」
マジックバッグのときに聞いたリサイクルとどう違うんだろ?
「へい。リサイクル瓶とは1度使用された瓶でして……それを洗浄、乾燥したものです」
「へえ……」
「使用後のポーション瓶を買い取ったのかしら?あまり聞いたことがないけど」
「へい。少し前から始まった制度ですが、持ち込まれた瓶のチェックや洗浄、乾燥に手間がかかるもんであんまりやってるとこがねぇんです」
「そうなのね」
「そうなんだ……」
だいたい一般的なポーション瓶が10本セット銅貨8枚で、見習い職人のポーション瓶10本セット銅貨6枚、リサイクルポーション瓶が10本セット銅貨5枚ぐらいで売っているんだって……
安いものは錬金術師の見習いや懐に余裕のない錬金術師くらいしか買わないため売れ残っていたんだとか。
ちなみにポーション瓶は1本からでも売ってるけど割高になるため10本単位で購入するのが基本らしい。
手にとって見せてもらったけど見習い職人さんの瓶は少し形がいびつなだけで問題なさそうだし、リサイクル瓶は形は一般的なもの、柄付きなど様々だ。ひびも傷もないみたいだしちゃんと蓋は新品をつけてくれているから問題ないね。
見習い職人さんのポーション瓶を60本、リサイクル瓶を50本買っていくことにする。数本余ってしまったけど割高だっていうから……ね?
「ありがとうございますっ!瓶は木箱ごとお持ちください」
「はーい」
あと……いくら食べ歩きの旅とはいえ移動時には野営もするし、万一を考え干し肉とナッツ類とパンも買おうかな……お祭りセールだったから思わず手に取ってしまった。
飲み物は魔法で水が出せるけど、水筒っていう魔道具で可愛いものがあったので買っちゃった。
水筒とは入れたものの温度が半日くらい変化しにくいらしい。一瞬、これがあれば日持ちしないものもたくさん買えるかと思ったけど、時間停止する訳じゃないからダメだってさー……ざんねん。
でも、お茶を入れておけばいつでも簡単に温かいまま飲めるっていうからやってみようかな?
お会計を済ませ、こちらもお母さんのマジックバッグに入れてもらった。
大きめの桶やポーション瓶の木箱だけでかなりかさばってたから、少し心配したけど無事に入った。
店主さんは一瞬ギョッとしていたけどお母さんの余計なことは言うなオーラで問題なし。
雑貨屋さんを出るといつの間にかお腹が空いていたのでお昼ごはんにすることになった。
……え?さっきあんなに揚げもの食べたって?だってお腹空いてるんだもんっ。きっと歩き回っている間に消化したんだね!
「私のおすすめのご飯屋に行きましょ!」
「うん、楽しみっ!」
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