第6話
冒険者ギルドを後にし、待ちに待ったお買い物です!
王都は庶民にまで噂が広がる前に出るということで、お買い物は今日しか時間がないんだって!
そのあとは辺境伯領をのんびり目指すらしい……きっと両親はよくない噂で私が傷つかないようにって考えてくれてるんだろうなぁ。
買い物へ行く前にお母さんの気配が薄くなって記憶に残りにくい魔法をかけてもらった。これは隠蔽魔法の応用らしいけど、また違うものらしい。念には念をってことだね!
「俺は色々と準備があるからふたりで楽しんできな」
「わかった!」
「ええ」
「変なやつについていくなよー」
「はーい」
「迷子になったらその場を動くなよー」
「わかったー」
「じゃ、行こっか」
「うん!」
早速、行きがけにあきらめた串焼きを食べ比べしたり……オーク肉や兎肉、ボア肉を楽しんだ。味もタレ、塩、ハーブなど様々。時々野性が強い味もあったけど、美味しいものが多かった。お母さんと半分ずつ食べることでいろいろな種類を食べられて満足。
「ティア!これなら私にも真似できるかもしれないわね!串に刺して塩かけて焼けばいいんだものっ」
「うーん、いや……どうかなー?お父さんに任せるほうが……」
いいんじゃないかなー?たぶん。
「そうなのよねー……なんであの人の方が料理上手いのかしら」
「ねー……私もこの機会に習ってみようかな?」
「うーん……食材を無駄にしないようにね」
「う、うん……」
ちょっと自信ないなー。
そのまま人の流れに任せて進むと何やら行列の出来てる屋台があった。
「なんか香ばしい匂いがする……」
「美味しいそうだわ。並んでみましょう!」
「うん!」
だんだんと列が短くなってわかったのはこの屋台が揚げもの屋さんだってこと。
いくつか鍋にわかれていて芋や肉を揚げている鍋、さらには揚げパンやドーナツもあるみたい。
男のひとはお肉を買う人が多くて、女のひとや子供には揚げパンやドーナツが人気なようだ……じゅるり。
「とりあえず全種類頼んでみる?」
「そうね!まだまだ食べられるものっ」
自分達の番が来たので早速全種類頼んだ。ちょっと驚かれたけど問題ない。串焼きの屋台でもやったから!
近くのベンチに座ってお母さんと分けて全種類に挑戦!
「熱っ……火傷しないように気をつけなさい」
「はーい」
念のためふーふーしてから……ぱくっ。
「うわぁっ……美味しいっ!」
肉汁がじゅわぁって!お芋はほくほくしてるし!
「揚げものってほんとに美味しいわねー。食べ過ぎると太るらしいけどね……」
「でも食べ過ぎる気持ちわかっちゃうよ」
「そうね。その分動けば問題ないわよね」
揚げパンにも思わずかぶりついてしまった……こっちも美味しい。
ドーナツも思ったより油っぽくなく、いくつでも食べられそう。
「ねぇ……ドーナツだったら少しは日持ちするかな?」
「美味しかったし多めに買っとこうか?」
「うん!」
もう1度並んでドーナツを多めに買った。ふふっ、満足っ!
揚げもので喉が渇いたからと私が並んでいる間にお母さんが近くの屋台で飲み物を購入してきてくれたんだけどすっきりして美味しかった……あとでお茶っ葉も買おうかな?
ポーション用の薬草を混ぜたオリジナル茶葉(自作)があるんだけどそれ以外の茶葉もいいかも……
オリジナル茶葉の作り方は簡単できれいにした薬草を乾燥させて千切っただけど。ブレンドはその時々の勘で。今のところ失敗はない……不思議と。
味はちょっと変わった風味がするんだけど、飲むとなんだか元気になるんだよね。疲れもとれるし魔力も満ちあふれる気がして……ポーションにするにはちょっと質の悪いものを利用してよく作ったなぁ。なぜか神殿の皆さんには不人気だったけど。
その他もなんだかんだと美味しそうなものをついつい多めに買ってしまったけど、あまったらお父さんへのお土産にするから大丈夫だってさ。
食べ歩きをしながらフラフラしていたらいつの間にか大通り出ていた。この通りはあまり屋台は出ていない。その分馬車が多い感じかな……
服屋さんがあったので入ってみる……
「いらっしゃい!」
「こんにちはー」
店内には中古の古着がたくさん置いてあり、店の一角には試着ができるスペースもある。
この辺りのお店はオーダーメイドとかはない庶民的な向けらしい。オーダーメイドで作りたかったら貴族街に近いお店に行くかんだって。でも、中には新品の服や数度しか着てなさそうな質の良い服やもあるみたい……
どうやらお祭りに合わせて安売りコーナーもあるみたい。チェックしなくちゃ!
お母さんの商品を見る目がギラギラしてる……ご飯だけじゃなくて、服にもこだわりがあるんだね。
「んー、これとこれ。あとはこっちの茶色か濃紺のパンツはどう?」
「えっと、旅に向いてるならなんでも……」
「なんでもじゃダメよっ!さわり心地とか耐久性も重要だし、ティアの好みだってあるでしょう!」
「そ、そうだね……」
確かに着心地は重要かも……歩いている最中ずっとチクチクしてたら嫌だし。それにすぐに破れて使えなくなっても困る……
でも、好みかぁ……あんまり考えたことなかったかも。うーん……
「はぁ……しょーがない。手伝ってあげるわ。この花柄の刺繍が入ったシャツとボタンが多く付いてるシャツならどっちが好き?」
「えっと、花柄の刺繍が入ったシャツかな」
「じゃあ、この薄緑のチュニックときなりのチュニックなら?」
「んー……薄緑のチュニックかなぁ?」
「ほら、こうすれば少しは好みもわかるでしょ?」
「うん」
その後もシャツやチュニック、パンツを数着選んでいった。
パンツは汚れが目立たないような暗めな色で枝とかに引っ掛けても破れずらい生地でさわり心地のいいものにした……だって、好みとかの前に色以外どう違うのかわからなかったからさ……なんかボタンがどうとか、太さがどうとか丈感が……とかね。
靴下や下着は新品があるとのことで着心地重視で購入を決めた。
安売りコーナーには普段着として着れそうなシャツやベスト、スカートがあったので着回せるよう組み合わせて何着か購入した。これはなんとか自分ひとりで選んでみた。似たような組み合わせになっちゃったけど、店員さんも太鼓判押してくれたから多分大丈夫。
これでしばらくは服に困ることはなさそうだ……あとは冬前にコートなりマントを買い足せば問題ないだろう。
お母さんは自分の買い物に集中しちゃったから終わるのをゆっくり待つかな。
お母さんもようやく決まったらしく、お会計。気づけば結構な量になってしまった……
どうするのかなー?配達でも頼むのかなぁって思ってたら支払いを終えたお母さんが自分のマジックバッグにササっと入れてしまった。
私にはそもそもがマジックバッグだとわからないように背負い袋も持った方がいいかもしれない。くれぐれも気をつけろって言われていたけど、お母さんの場合はSランク冒険者のマジックバッグを狙うような身の程知らずはほとんどいないから問題ないんだって……
「ふふっ、もし狙ってくる奴がいたら氷像が増えるだけよ!」
こわぁー……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます