第5話
「おう、待たせたな!質はいいけど高くて売れ残ってんのとか微妙に使いづらいけど質は確かなもんいろいろと集めてきたぜ!」
「おつかれー」
「じゃあ、早速見せてちょうだい」
「おう」
ギルマスがマジックバッグから取り出したのは……
その1『内容が豪華すぎる野営セット』
テント、毛布、ランプ、結界石、石鹸、タオル数枚、水袋、火打石、ロープ数本、ランプ、簡易コンロ、鍋や食器、携行食、調味料セットが背負い袋に入ったもの。
初心者には手が出ない価格だけど、中堅はすでに買い集めたものと被ったりして不人気で売れ残ってたって。
水袋や火打石は魔力節約や魔力切れしたときのために持つんだとか……うーん、こう見えて結構魔力あるしわりと回復も早い方なんだけど、セットだっていうし、逆にひとつひとつ買い集めるよりは断然お得らしい。買えるだけのお金があれば問題ないセットだね。
ただ、携行食は早めに食べた方がいいと言われた……それだけ売れ残ってた時間が長いってことかな。
幸い調味料セットは新しいものに交換したばかりらしいからしばらくは大丈夫だって!
その2『討伐証明を入れるには凝っている布袋』
血まみれの討伐証明部位を入れるにはずた袋で十分なのに、微妙に凝ったつくり(袋の所々に魔物の素材が使われているものやワッペンがついていたり)をしていてもったいないと感じて買う人が少ないらしい。
布袋として考えた場合、その値段なら雑貨屋でもうすこし質の良いものが買える。
うん、薬草採取に使おうかな……そういう袋が山ほどあるんだけど売れ残りすぎでは?サイズ別に数枚ずつもらうことにする。
その3『解体用なのに無駄に宝石がついたナイフ』
そもそも宝石がついたナイフを買うようなひとは解体しない。なんなら荷物持ちを雇ってギルドの解体所に持ち込むか荷物持ちに解体を任せるし、宝石がついているものがほしいなら解体用ナイフではなく剣を買う。
しかし、飾っておくほどのものでもない。無骨なナイフにキラキラした宝石がくっついてる。だったら宝石がついてないナイフの方が安いし使いやすいよねってことで不人気なんだって。
そうだなぁ……こちらは薬草採取用のナイフとして使おうかな?あ、ケースもキラキラしてるんだ。
結論。両親もギルマスさんもおすすめするし、私のお金じゃないから大人しく従っておこう。
実はもうしばらく売れずに残っていた場合、倉庫を圧迫しているので……と値下げされて売店に並ぶ予定だったらしい。それでも売れるかは微妙だったみたい。
ギルドとしては在庫処分ができた上、定価での購入だったので万々歳なんだって。
「こっちは訳ありでもなんでもない。おすすめ装備だ。あとこれ、ギルド宛に届いてたぞ?」
「あ!これちょうどいいわ!」
お母さんがギルマスさんから受け取った包みを開けると……そこから出てきたのは薄紫色のローブでした。
「おー!これ前にアラクネ大量発生仕掛けてたやつ倒したとき糸がいっぱい手に入ったからっつって職人に頼んだやつだな!」
「そうそう。ドレスはすぐにできたんだけどローブは付与もしてもらって時間かかったのよねー」
え?あのドレス、アラクネの糸から出来てたんだ……ローブには物理耐性と魔法耐性、状態異常耐性の付与がついているらしい。フードや袖口、裾にある刺繍を媒介としてあるらしい。これらの刺繍がほつれたり破れてしまうと効果が低くなったりなくなったりするって……
でもこのローブ破れにくくて軽いし火にも強いとか……絶対、初心者冒険者は持ってないよね。
「じゃ、ローブはこれでいいな」
「あとは念のため胸当てくらいしとく?」
「だなー」
次は胸当てを買うらしい……でもあんまり種類多くないみたい。
「すまん。サイズを考えるとこれくらいしかなくてな」
「そうなんですね」
「んー……あら、これがいいんじゃない?」
「おー、ブラックリザードの胸当てか。これが1番耐久ありそうだな……アルティア、ちょっと着けてみて」
「はーい」
お母さんに手伝ってもらって着けてみる……おおー、革柔らかいね。それなのに耐久あるんだ。
「うん、いい感じね。重さはどう?ちょっと動いてみて」
「うん」
その場で立ったりしゃがんだりジャンプしてみる。
「これくらいなら平気だと思う」
「じゃ、これでー」
「はいよ」
その後も両親にすすめられた手袋、ベルト、ブーツを決めた。
基本的に高そうな素材ばかりだったけど、ベテランの言うことに間違いはないはず……というか私には良し悪しがわからないからお任せするしかないよね。
あとはなにも持ってないのはよりかあった方がいいかなってことで杖を買うことになった。
何故かギルドの売店にある最高レベルのエルダートレントの杖に決まった。これもベテランのおすすめである。
持ってないのはよりかあった方がいいかなってことはなくても問題ないのに最高レベルとか……陛下、請求みて驚くんじゃないかな……
エルダートレントの杖は1メートルくらいあり、杖の上部に魔石をはめ込むことで魔法効率や威力が上がるらしい。どれくらい威力が上がるかは魔石の質次第だとか。
あとは耐久性も高いのでいざというときは杖で殴りつけても大丈夫だって!
「とりあえず、この魔石でもはめとけ」
「はーい」
「おいそれ、Aランクの魔石だろう……」
「いーんだよ!娘の安全にかえられねぇだろ」
「そうよ、そうよ!」
言われるがまま渡された深緑の魔石を杖にはめ込むと一瞬魔石が光った。これで設置できたみたい。
杖を使う練習しないと……街の外で周りに人がいないときにやってみよーっと。
これ全部装備したら、成金冒険者(お金かけた装備をつけている初心者のこと)って呼ばれそう……ま、その通りだけど。
ギルマス曰く……服はあんまりないとのこと。
というか服自体を売ってはいるがほとんどサイズが合わないそう。
サイズが合うものは見習いの子どもぐらいしか買わないから質がよくないらしい。
それならば街の服屋で探して買った方がいいんだって……お母さんは『これならアラクネの糸もっと集めておくんだったわ』って……服まで作ろうとしてる?
「はあ。じゃ、これは全部王宮に請求していいんだな」
「ええ、よろしくー」
早速、購入したものをポシェットに入れて……ローブだけ着ていくことにした。
さすがに全部は入らないかなーって思ってたんだけど、ポシェットに余裕で入っちゃったよ……野営セットの背負い袋をポシェットがマジックバッグと分からないようの目くらましに使うことにしたけど何を入れればいいんだろう。毛布でも入れとけば膨らんでなにか入ってる風になるのかな?
「あ、そうだ!これ出してもらえますか?」
「手紙か?依頼を出せば大丈夫だぞ?」
依頼を出して、料金も預けておく。両親のアドバイスに従ってCランク以上の冒険者限定にさせてもらった。
配達や護衛を専門にしている冒険者もいるそうだから、7割くらいの確率で無事に届くらしい。
手紙の相手は婚約者(仮)のグレッグ・パーゼル辺境伯だ。
婚約者になったご挨拶とのんびり向かいますのでこちらのことはお気遣いなくって。返事が不要とも。だって移動するから受け取れないと思うし。
私だって両親や陛下と王妃様のようにお互いを想いあう夫婦に憧れがないわけではありません。だから出来れば仲良くできるといいなというか気持ちも込めてお手紙を書きました。
あ、旅の途中で珍しい魔物とか発掘品見つけてお土産にしたら喜んでくれるかも?
7割くらいの確率で届くっていう話だから、街を移動したら報告がてら手紙出したほうがいいかなー?
「じゃ、俺らは行くなー」
「助かったわ、ベルガー!」
「おう、くれぐれも気をつけてなっ!」
「いろいろとありがとうございました!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます