第7話 宇宙開拓時代の到来
宇宙開拓時代の到来
私の思い付きから、AIアンドロイドと、全身義体を纏った者達を使った、宇宙開拓がはじまった。
手始めに月に基地が建設され、宇宙空間を漂って居る鉱石小惑星の採掘がはじまり、大型宇宙船が作り出された。
良く、宇宙船に上下があるが、どう決めているのだろうと言う素朴な疑問がある人は少なく無いのでは無いだろうか。
あれは、母星の重力圏の位置を下と定義して居る。
と言うか、私がそうした。
当然宇宙ステーションやコロニー等のドック、宇宙港も、所属母星の重力圏の位置を下と定義している。地球圏の船や地球圏の宇宙港なら地球が基準、他の星ならその重力圏が基準と言う事だ。
ちなみにこの頃になると、私を崇める者と、私を魔王さながらに敵視する者に二分されるようになる。
その為、強化装甲を実装した世界警察が設立。
世界警察機構にはインターネットの使用が許可され、迅速な反乱分子鎮圧が可能となったのだ。
そんなさ中、私の研究は新たな段階へと進みだした。
それは、いくらAIアンドロイドと全身義体の部隊が宇宙開拓へと乗り出したとは言え、それは何十年も、それこそ百年以上は覚悟する程度にはかかると言う事に他ならなかったのだ。
つまり、新たな移住可能惑星を見つけに旅立った者達は、全身義体とアンドロイド、コールドスリープを利用した人々で構成される為、全身義体者も凡そ寿命からはある程度開放されて居る分、どうと言う事は無くとも、地球に残って居る者達にとってはそれは膨大な時間である事に違いは無いのだ。
初めは、ロケットエンジンの高効率化を目指して居たが、それでは限界があった。
その上化石燃料の消費量が大きすぎて、現在の地球の化石燃料埋蔵量では、直ぐに枯渇してしまう事は目に見えて居たのだ。
私は、最新型の原子炉を積んで発電し、イオンクラフトで推進力を得る方法を突き詰め、ついに亜光速で進む宇宙船を開発するに至る。
この頃になると、もはや私に敵対しようとする輩は、ほぼ居なくなった為に、AIの私に対する保護と言う名目の拘束は緩み、ようやく多少の自由を得る事が出来るようになった。
世界は私を神のように崇め、本気で神としようとする連中によって教会すら建てられた。
迷惑この上なかった。
あまり激しく信仰する者達は、カルト教団として弾圧する事となった。
だけど、信仰するのは軒並み神では無く、私だったので心情的には微妙だ。
悪い気だけはしないのだが面倒だからと言う理由で弾圧して居るのだから仕方の無い事ではあるが。
全身義体の信者達も少なくは無いので、当然取り締まる側の警察組織や制圧軍は、強化装甲に搭乗する事に成る。
そしてその強化装甲も、年月が経つ毎に様々に強化されて行く。
この間にも、私は様々な物を開発し続けていた。
全身義体の集団のみで構成された教団なんぞと言う物までが登場し始め、大頭した時代には、もはや強化装甲だけで対応が利かなくなって来た為に、光学迷彩を搭載した完全ステルス型戦闘機、ヘリ、それに、どんな地形にも対応する事が出来る多脚戦車迄作り出した。
これまで開発した物のフィードバックから開発にこぎつけた亜空間航行もその一つだ。
これによって飛躍的に宇宙開拓は加速した。
様々な大きさの惑星に、人々は移住し、移住出来る程の資産を持たない者達も、コロニーへの移住を開始し始めた。
地球は既に、限界だった。
緑化で一時は寿命を延ばして居たが、地球はついに、重力異常が起こり始めて居たのだ。
そして、世は宇宙大航海時代へとその背景を移していく。
有る者は、全身義体を纏い、火星へ。
有る者は、AIアンドロイドに操船を委託し、コールドスリープで太陽系を飛び出し、新たなる惑星へと。
大船団を構成して大掛かりな移住ツアーを計画する旅行会社や不動産、建築会社迄が現れた。
エリーの建築した揚陸艦は、移住する為の施設を建設する為の様々な重機の役割も果たせるように、複数のブロックに分裂し、移住者たちが目覚める迄にある程度の居住区や食料の確保、危険厳重生物の排除等を行うようプログラミングされて居る。
エリーブランドの移民揚陸艦は、相当数が就航する事に成ったのだった。
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