3−5

 現実


「あれ、メールが来てる。今日は何も仕事入れてないはずなんだけどね、何か急な案件でもあるのかな?」


『宛先 盟友

 件名 何面白そうなことやってんだよ!!

 内容 おい、お前もworld of mythsやってたのかよ

    そして何面白そうなことやってんだよ!!

    アインゼ潰したのお前だろ?

    懐かしい奴らと樹海に突撃するから首洗ってもてなす準備してろよな』


「これまた騒がしくなりそうだ」



《welcome to world of myths》


「やぁ、みんな今日も集まってくれてありがとう。今日は一つみんなにやってもらいたいことがあって集まってもらいました」

『やけにテンションが高いですね』

「ふっふっふ、私たちの樹海に初めて客を招くんですものそりゃテンションも高くなるわよ」


 客と聞いた瞬間みんなは互いの顔を見合い一拍置いて驚いたり呆れたりし始めた

 驚くのはいいとして呆れるのは酷くない?アインゼ落としてから私あまりやらかして無いよね?


『して王よその客とは一体誰なのです?』

「私と同じ来訪者だよ。現実あっちで昔やんちゃしてた頃の友達が私のところに遊びに来たいらしくてねそのおもてなしをしてほしいんだ」

『ふむ、王よそれでは我々を全員呼んだ理由がわかりませぬ。ただ歓迎するだけなら給仕などを行う蟻たちの女王であるミール様だけでいいと思えるのですが?』


 ミネルスのその言葉にアンバーも頷く


「おもてなしって言ってもここに招いてお茶会をするわけじゃないよ」

『と言いますと』

「何簡単さ!全力で迎撃するんだよ‼︎」


 あれ?そんなに不思議だったかなみんな黙っちゃった


『ある程度予想はできていましたがそこまで嬉しそうに友を迎撃すると言うとは思いませんでしたね』

『ハッハッハ、さすが私の契約者だ』

「あら、デカラビアじゃない久しぶりね」

『アインゼという街で契約者が威光の神と戦っていた時も草原に眷属総出で種を蒔いている時もずっとおそばにおりましたぞ』

「そうだっけ?」

『えぇ、私の意思疎通の仕方である流体金属が視界の端にうつり続けて鬱陶しいと言われた時はさすがの私でも落ち込んだのですぞ』

「へぇ〜、でも視界に黒い文字が浮かんでたら鬱陶しかったんだもん」

『私魔神⁉︎それなりに偉い存在なのだぞ⁉︎』


 久々に出てきたなと思ってたら、ただ単に今まで魔神としてかなりいい待遇を受けてきたのに私にぞんざいに扱われて落ち込んんでいただけって


「あなたなんかより上位の存在がいるんだからしょうがないじゃない」

『えぇ、世界樹が契約者の眷属にいるにはわかっていましたが契約者自身が原初の神の祝福を授かっていてしかも授けた神が2柱などと思わないでしょう⁉︎』


 ほらそこの首飾りと女王蟻蜂と骨騎士うんうんって頷かないの

 そしてそこの魔神体の液体金属を器用に使って泣くふりしないの魔神君たちに悲しいなんて感情ないでしょ

 まぁ無視されてショックを受けるぐらいのプライドはあるようだけど


「それと迎撃と言っても相手はまだこの世界に降り立って2ヶ月ちょいしか経ってないから最下級と下級のみんなでやってもらおうと思います」

『そういえばそうでしたね。来訪者の方々がこの地に降り立ってからまだ2ヶ月しか経っていないのですね』

『それなのにうちのマスターは2回進化して王になり、超越種を眷属にし都市を一つ攻め落とし、魔神を呼び出し神の分体の全力の一撃を防ぐほどの力を手にしたと』

「え⁉︎それってどんな化け物の話?」

『『『『『あなたのことですよ!!』』』』』

「そ、そんな怒らなくていいじゃんか、ねぇ」


 あれなんでみんな一斉に各々の仕事再開してんの?

 歓迎の準備はちゃんとやってくれてるっぽいからいいけど私の渾身のボケそんなに酷かったかな?


『契約者が何故こうも眷属に雑な扱いをされているのかがよく分かった』

「え、デカラビアもう泣いたふりしてなくていいの?」

『そういうところだぞ契約者よ』

『そういうところですよあるじ』


 そんな、スーちゃんまで…


 そんなこんなで私が1人落ち込んでいるうちに歓迎の準備が終わったようで


『王よ、迎撃の準備が終わりました』

「う、うん。そうみたいだね」


 魔力察知で樹海の中を見るに表層には歩兵ソルジャー4匹と指揮官リーダー1匹のパーティーが地表を歩いて偵察スカウトが上空を飛んで警戒

 中層では歩兵ソルジャー3匹と剣兵セイバー槍兵ランサー魔術兵ソーサラーのうち1匹と指揮官リーダーのパーティーが地表を歩いて弓兵アーチャー偵察スカウトが上空で警戒

 深層ではゾンビが徘徊し剣兵セイバー槍兵ランサー魔術兵ソーサラーが1匹に盾兵シールダー騎士ナイトが1匹の計4匹のパーティーが地表を歩き中層と同じ弓兵アーチャー偵察スカウトが上空で警戒


 ちなみに歩兵ソルジャー偵察スカウト指揮官リーダーが最下級昆虫種で剣兵セイバー槍兵ランサー弓兵アーチャー魔術兵ソーサラー盾兵シールダー騎士ナイトが下級昆虫種である

 ちなみに最下級は工兵エンジニアも含め4種類しかいないが最も“卵産み”のスキルでのコストが少なく成長が早いためいまだに重宝している

 最下級種のコストが1だとすると下級種種だと5で、成長速度は最下級種が3日で成体になるのに対し下級種は5日かかる


『配置はこのようになっていますがよろしいでしょうか?』

「まぁ普段よりちょっと弱めぐらいの難易度だけど大丈夫だよ」

『樹海に入ってくる来訪者の強さを見ると少し難易度が高いように感じますが?』

「大丈夫だよ。他の来訪者よりも私の友人たちは超えてきた死戦の数が違うから」

『なんだ!マスターの友人っていうのはそんなに猛者ばかりなのか!』

「う〜ん、そうだね。味方が死んでいくのを見て気が引けたり逃げ出すような他の来訪者たちと比べるとだいぶ猛者ばかりだね」

『それは楽しみだ!』

「楽しみにしてくれるのは嬉しいけどアンバーはこの巣穴の中で待機しててよね」

『オレはマスターの鎧にして剣だからなマスターを守るという使命をおろそかにする気はない』

「ありがとね私の剣」

『む、それはずるいぞマスター』


 やっぱりアンバーを揶揄うのは楽しいね


「あー!メルトさんおはようございます」

「スパロちゃんもおはよう。どうしたの?私を探してたようだけど」

「今日ログインしたらやけに巣の中の蟻たちが忙しなく動いてたから何かあるのかなって」

「そういえばまだスパロちゃんには伝えてなかったわね。今日私の現実リアルの友達がここにあそぶに来るんだよ、それの歓迎準備をみんなに頼んでたんだ」


 廊下から勢いよく飛び込んできたのは種族がドラゴノイドの新人プレイヤーのスパロちゃんだ


「だからか〜、って歓迎の準備ならなんで続々と兵隊蟻さんたちが外に出ていってるの?」

「自分たちの力で私がいるところまで辿り着きたいって言ってたから突破できるかギリギリの強さで迎撃お出迎えしてあげようかなって」

「うん?なんか私が考えてるお出迎えと違うような気がするんだけど」

「全員揃ったら紹介するからスパロちゃんはいつものようにしてていいよ」

「は〜い、それじゃあ今日はレイちゃんのところで一緒に鉱石掘ってきまーす」


 そう言ってスパロちゃんは大きく手を振りながら部屋を出ていった


「あれミールは、さっきまでいたよね」

『ミールなら何か用事があるのか自分の部屋に戻ったぞ』

「用事があるんならいいけど指揮は大丈夫なの?

『私が指揮しますので大丈夫です』


 あの侵攻時からやけにミネルスが蟻たちの指揮を取ることに熱中している


『ミネルスのやつは元々戦略家を志望してたんだがオレの姉弟子で槍術が優秀だったせいでオレの騎士団の副団長に任命されちまってな戦略家になれなかったんだよ。だから大軍を率いたりすんのに憧れてたんだよな』


 なるほどねー、それにしても生き生きしてるね、アンデットだけど

 さて、最初にここに辿り着くのは一体誰でしょうね


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。

 作者のH2ゾンビと申します。

 なんと次回は新キャラ登場ラッシュです

 え?まだ出てきてからあまり深掘りされてないキャラがいるのに新キャラを追加していいのかって

 大丈夫だ問題ない

 それではでまた3−6で会いましょう

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