閑話3−1
ウラドside
「ウラドよ、何か面白い話はないか?」
どうも、バレンタイン女王国特務師団来訪者小隊団長に任命されたウラドです
ただいま絶賛パワハラを受けています
「バレンタイン様、書類整理が嫌なのは分かりますがわざわざ訓練中の私を呼び出しといて面白い話をしろはないと思いますよ」
「バレンタイン様じゃなくてレンリで良いと言っているだろうに」
「そう言われてもあなたがよくても私が嫌なんですよ。前に公の場で『レンリって呼んでと言ったじゃろうが』と言われた時周りにいた大臣たちが全員鬼の形相で私を睨んできたんですよ」
「それはすまんともうしたじゃろうに」
先ほどから私にパワハラをするのはバレンタイン女王国の国家元首にしてこの大陸にいる吸血鬼の始祖レンリネス・ルージュ・バレンタイン女王陛下なのである
「それで、何か面白おかしい話はないのか?来訪者たちは長距離で話したり情報を共有することができるのじゃろう?」
「そうですね…最近ですと、帝国にあるコロシアムで起きた珍事なんかでしょうか」
「おっ!おもしろそうではないか。はよう、聞かせい」
「え〜っと確か………」
「てな感じで一時期魔術使いが近接職に接近されたら金的を狙うのが流行っていたようですね」
「はぇ〜、来訪者とはまこと面白い者の集まりじゃのぅ」
「それでは面白い話も終わったので私は今日の業務にもどりますね」
「嫌じゃー、今日はもう書類整理はしたくない!そうじゃ、ウラドよ妾になんでも一つ質問をしてみよ、なんでも答えてやるぞ」
「そこまで書類整理をしたくないんですね」
「書類整理が辛いわけではない、ただ単に数百年もやっていると飽きるのじゃ」
数百年も数字や嘆願の文章と睨めっこしていれば飽きるか
てか、よく数百年間毎日十数時間もやってられるな私なんて8時間のデスクワークでも飽きてくるのに
「そうですね、せっかくなら一つ質問させてもらいましょう」
「本当になんでも良いぞ、来訪者風に言えばNGなしじゃ」
誰にそんな言葉を教えてもらったんですか?
おや?バレンタイン様の後ろに立っているメイドさんが口パクで『カ・ル・ミ・ラ』……
あ゛!?この後あったら訓練もうワンセット追加だ
「どうした妾の後ろなんか見てメイドと窓から見える空しかないじゃろうに」
「いえなんでも、バレンタイン様に話せる面白い話が一つ増えそうかもしれないだけですので」
「おぉそれはいいことだ」
「それで質問なのですが、バレンタイン様は第5始祖と仰っていましたが第5ということは他にも始祖はいるのですか?」
「ふむ、そんなことか。その話をするにはまず吸血鬼という種族について説明しないといけぬな」
そういったバレンタイン様が指を鳴らすと後ろにいたメイドさんが一瞬で消え少しするとキャスター付きの黒板を持って扉から入ってきた
このゲーム基本的に文明レベルは中世から産業革命前あたりなのに何故かキャスターみたいなのはちゃっかりあるのよね
「メイド、書記を。ふむ、それではまず吸血鬼という種族の括りを説明しよう」
そう言って始まった吸血鬼の始祖による吸血鬼解説講座の要点をまとめるとこうなる
吸血鬼の定義
① 他種族の体液などから生気を吸収することができる
② 明確な弱点が存在する
③ 各吸血鬼に必ず始祖がいる
ということらしい
「これらの条件が全て当てはまる種族の総称が吸血鬼というわけじゃな」
「それで始祖というのは?」
「それはじゃな………」
始祖とは上記の条件に当てはまる既存の吸血鬼とは違う種族の中で初めて上記の吸血鬼の条件に当てはまり吸血鬼として初めて独立した存在のことを言うらしい
「ちなみに妾の親は魔人じゃ、魔人の中で妾が日光に弱く、初めて血を消化できるようになり、魔人から独立した種族として吸血鬼の第5始祖となったことで、第5始祖の系譜の吸血鬼が誕生したというわけじゃな」
「と言うことは、来訪者以外のこの大陸にいる吸血鬼は全てバレンタイン様の子孫ってことですか?」
「そこがちとややこしいんじゃが、妾が第5始祖になったことでこの世界に新しく魔人が元の吸血鬼という種族の枠組みができたのじゃ。それから魔人の中から血を消化でき日光に弱い魔人つまり第5始祖の系譜の吸血鬼が生まれるようになったのじゃ」
「え〜っと、つまり第5始祖の系譜の吸血鬼は分類的には魔人の亜種ってことですか?」
「細かくいうと違うのじゃがその認識で概ね構わん」
あ〜なんかややこしくなってきたぞ、こういうのは私じゃなくてカルミラが担当だからな〜
「ここまで説明してやっとお主の質問に答えられる。第5始祖以外に始祖がいるという質問の答えとしては“いる”が回答じゃ」
「なんなのですかその含みのある答えは」
「妾も伊達に長くは生きておらぬ、妾の系譜以外の吸血鬼も何度か見たことがあるがその者たちの始祖にあったことはない」
「はぁ」
「つまりだな…、妾が言いたいのは始祖はいるがどれだかいるのかどこにいるのか分からないってことじゃ」
「なるほど、それと会ったことがあるのは第何始祖の系譜の吸血鬼だったんですか?」
「第3と第6じゃな」
「どんな吸血鬼だったんですか?」
「第3始祖の系譜は悪魔が元の吸血鬼であった。始祖含め系譜全てが女で男の性から生気を奪っていると言っていた」
えっ⁉︎それってまごうことなき
「サキュバスじゃん‼︎」
「おぉ、よく知っておるな。その者たちは自らのことをサキュバスと名乗っておったぞ」
勢い余って心の声出ちゃった
っていうか、本当にサキュバスだったの⁉︎
「ちなみに妾があったサキュバスたちの子孫がこの王都に住んでおるから気になったら会いに行ってみるといい。あそこのオイルマッサージは最高じゃぞ」
メイドさんもウンウンみたいに頷いてるけどそれちゃんと健全ですよね?いやこのゲーム自体全年齢対象だからきっと大丈夫なんでしょうね
「それで第6始祖の系譜の吸血鬼じゃが、こやつらはよう分からん。何故か生気が薄い死体の汁ばかり啜り、その見た目も肉食獣が人のように取り憑くおっているようにしか見えんかった」
「狼男…?」
「そう、まるで狼が二足歩行しているようであったな、人語も返さずただ唸っているだけであった」
「どうやって第6始祖の系譜とわかったのですか?」
「何簡単なことじゃ、死体を鑑定したのじゃよ」
「死体?」
「其奴は東の海岸に瀕死の状態で流れ着いておったのじゃ。最初は獣人かと思い保護していたが肉を出しても食べなくての、いっそのこと食糧庫に連れて行って自ら食べる物を選んでもらおうとしたのじゃが腐りかけの肉から出ている汁を啜り出した時は度肝を抜いたぞ。まぁその後衰弱死してしまったがな」
なんか狼男とグールの中間みたいな感じっぽいね
「さて、これで質問は終わりじゃな」
「そうですね、それでは書類整理の続き頑張ってください」
そう言って私はさっさとバレンタイン様の執務室をでる
後ろから『いやじゃぁぁァァ〜〜〜』という叫び声が聞こえるが気にせず
というか見た目はおっとり系のナイスボディのお姉さんなのに中身は基本のじゃロリなの勿体無いというか残念というか最初の謁見時の威厳に満ちた雰囲気はどこに行ったのだろう
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初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。
作者のH2ゾンビと申します。
ウラドさんの方は平和そうでいいですねー^ ^
それにしてもバレンタイン様のキャラはどうしてこうなったのでしょうか?
私にもわかりません(お前が作者だろ
それではでまた閑話3−2で会いましょう
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