3−4
まず、予知でみた私たちを消滅させた攻撃は雷霆と威光の神の分体が今作っているという巨大な青雷なのだろう
そしてその雷はきっと魔法、いや、神が扱う力なのだから権能と呼んだほうがいいか、雷は権能を纏っているかもしくは権能そのものだと考えるのが自然だ
分体の領域の雲から落ちる雷は魔力も感じないのでただの雷だとわかっていたがそれでも私の手首から上を消し飛ばした威力を持っていたのはスーの祝福魔法のように近くの雷も強化されていたからだろうね
そしてその権能を全力で使うには一度自分の周りに雷を集めなければいけないと考えるのが妥当だろうか、それが元々なのか分体だからなのかは分からないが
「今は悠長に考察している場合じゃないね、よしっ!新魔術も完成してるし、雷霆破り行ってみますか」
初お披露目は盛大に行きましょう
「変ッ身!!」
全身の魔力を虚属性魔力に変換、周囲の魔力を操作し虚属性魔力との対消滅を抑制
「変身完了ッ‼︎メルト・オルタ、見ッ参ッ!!」
虚属性は虚構と幻想の神の祝福を授かった時から扱おうとしてきたが最初は付与魔法を試したが発動せず、属性魔術に勝手に付与されているのかとも思ったがそれでもなかった
そして、祝福を授かってから10日ほど経ち何気なく自分の魔力に向かって『虚属性になれ!』と思ったところ全身を構成する魔力から何からが虚属性魔力となった
そして、虚属性とはこの世にあって無いもの、つまり、マイナスや反というべき属性すべてが裏返った属性であった
そして
「初級虚魔術“
私のすべての魔力を虚属性にして初めて使える虚魔術
そして、今有一使えるのが、初級虚魔術“
だが、今はそれで十分。なぜなら雷も電子で構成されているから反物質で対消滅できる、はず
「うわっ、何あのエネルギーの塊!あれがこっちに来るのかナッ!!」
魔力視でみたものは今まで見たこともないほどのエネルギーの塊だった
“——— バシュッ カッ! ジュワァァァァ ———”
反物質に分体の雷霆が触れた瞬間、今まで虚魔術の魔術式と虚属性の魔力で安定していた反物質が雷と対消滅を起こしていく
だが、流石は神の権能、概念の域にある雷、未知のエネルギーだけで構成された雷が突破しようとしてくる
だが、私の虚属性は虚構と幻想の神に与えられた祝福、つまり、多分なんとかできるはず、できなかったら絶対に文句言ってやる
体を構成している魔力もすべて使って虚属性魔力を圧縮していく、幸いエネルギーの雷は反物質を突破するのに苦戦しているしこれを作るぐらいの時間はあるはず
「おら、私の体を構成する魔力も持っていけ!!」
そう、手の中にある一粒の木の種に全魔力を注いでいく
“パキッ”
「やっとか、おはようお寝坊さん、早速だけど今まで私の魔力を吸ってた分働いてもらうよ」
種を持っていた手を構成していた魔力ですら吸い込んだ種は殻を破り芽を出すと急速に成長し杖のような捻れた樹木のような奇妙なすがをとった
“鑑定”、ふむ、君とんだわがままっ子だね
「今日はとんだお披露目祭りだ。行くよ!私の武器“
名をつけてあげると同時に杖上部の捻れた木が作っていた蕾が二つに開き中の虚構が花開いた
「“並列詠唱”初級虚魔術“
これで防げるでしょ!
“バキッ!!”
“バキッ!”
“バキッ”
“パキッ”
“パキッ”
“パキ”
一番最初の反物質を超えたエネルギーの雷が5つの反物質の壁に当たる、が、2つの反物質を砕き、さらに2つの反物質を貫き、最後の反物質にヒビを入れ消滅した
「やったー!!、生き残れた〜」
『メルト様お見事でした』
「うむ、くるしゅうない。私頑張ったからみんないっぱい褒めて〜」
完全に集中力使い切った。あの予知からたった数秒でよくここまでできたよ私、次同じことやれって言われても絶対に無理
今は威厳がある姿とか無理無理、それに、
ちなみにもう虚属性化は切ってます。あれ虚属性の魔力を制御しないと勝手に周囲の魔力と対消滅起こして消えちゃうんだもの
『あるじー、よくあれ防げたね?スーでも無傷で防ぐの大変そうだったのに』
「スーちゃん、分体はどうしたの」
『おっきな雷をあるじたちの方に投げたら体がくずれっちゃった』
あ〜、分体だと権能を使った雷を使い続けると体がもたないって言ってたね
『それー、私の種とか使って作ってたやつ?』
「そうそう、前に世界樹天魔鋼で作ってやつ」
『やっと芽出したんだー』
これが、芽!?
「これまだ芽なの⁉︎」
『うん、だってまだ子葉が開いたばっかりだよ〜』
はっ、はは。花開いたと思ってたのはただ種の中で折りたたまれてた子葉が開いただけ、
か
『それでメルト様、その杖はどのような物なのでしょうか?』
「そうだね、“鑑定”」
虚構世界杖 トネリコ
世界樹の貴重な素材と天魔の魔力を帯びた金属でできた生体金属の種子が莫大な魔力と虚構と幻想の神の御力を栄養に発芽したもの
まだ芽のため本来の性能よりも格段に落ちている
属性魔術と虚魔術の消費魔力が減り威力が上がる
子葉に魔力を貯蔵できる(95250/100000)
装備条件 種族アストラルマギアまたは虚構と幻想の神の祝福保持者
あんた今までこんなに魔力貯めてたのかい‼︎
それにしても虚魔術の消費魔力が減っても“
元が1つ1000MP 消費だから5%軽減か、それじゃあ威力も5%上がってるのかな
そういう割には私が素で発動させた反物質の方が分体の雷霆を長く防いでたしなんか違うのかな?それとも私のMPを使ったのと杖にためたMPを使ったのの違いかな?
「ま、こんな感じの杖だね。今はフォスの方が属性魔術の補正は高いけど、多分これが幼木、成木とかになったらフォスよりも強くなりそうだね」
『もっしかして私いらない子ですか?』
「そんなことはないよ!大丈夫、フォスがいらなくなることなんて絶対にないから、ね」
『本当ですか?いきなり捨てられたりしませんか?』
「しないって」
『本当に本当ですか?』
「もしかしてだけど…私の反応が面白くてやってる?」
『あれ、バレました?』
「流石にここまでしつこいと疑うしどんどん声明るくなってたよ」
いきなりメンヘラみたいなことを言い出して焦ったが最初以外は悪ふざけであったようだ
「ていうか、誰そんなセリフ教えたの」
『父がアンバーを妊娠、出産して動けなかった母の代わりに母の仕事が溜まらぬようオートマタを作った時に言ってました』
「………」
妖精王さんそれは言われてもしょうがないですよ、子育て中の女というのはメンタルがとてつもなく不安定なんですから代用を作るより自分が君の分も頑張るよぐらい言ってあげないと
『姉上、私が生まれてから1、2年母上が父上にやけにキツく当たっていたというのはそういう理由だったのですか』
アンバーは知らなかったのね
あっ、ミネルスが笑いを堪えるためか顔を逸らした
「さてと教会の件も片付いたけど、あのスーちゃんが生やした大木どうする?」
『どうしましょうかね?』
『切り倒すのも一苦労ですよ』
「だよねー、元々硬い樫の木がスーちゃんの樹魔術でさらに相当硬くなってるはずだし」
『…なぁマスター、街中にある大木が目立つってんならいっそのことここまで樹海を広げれば馴染むんじゃね?』
「アンバーそれ採用」
ということで私たちは今魔術王勢力総動員で樹海からアインゼまでの草原に種を蒔いています
ちなみに指揮は
元々ミールが指揮を取ろうとしていたのですが『そんなんじゃダメだ‼︎』的なこと熱弁されたらしくあまりの凄みに指揮を彼に渡したそうです
え、誰が指揮を取ってるなんてことよりもなぜこんなことをしているのかが知りたいって?
それはね、スーちゃんの祝福魔法は全盛期の姿にするだけでそこに種子も生きた葉もない場所にいきなり木を生やすことはできないのです
つまり、アインゼまで樹海にしたいのならアインゼの街中と樹海とアインゼまでの草原という膨大な範囲に満遍なく木の種を撒かなきゃいけないのです!!
追伸、まじで農作業ナメてた
毎日蟻たちの食料になる野菜と薬の材料の薬草を大量に育ててるファーマーアントさんたちにはご褒美をあげました
『これで最後!!』
ミールが最後の種を撒き終えた
「スーちゃんお願い」
『はーい、祝福魔法発動』
“ズム…ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!”
樹海の入り口からアインゼの北門までがすっぽり入るように範囲を調整して発動された祝福魔法により先ほど植えた樹木の種が一気に大樹になる
え、どれほどの大樹なのかってそりゃぁ一本一本が屋久杉の一回り大きいぐらいだよ
屋久杉は固有種と言ってもただの杉の亜種つまりそこらへんの樹木でも気候条件や栄養条件が整えばあれほど巨大に成長できて大きくなるまでに年月がかかり成長に緩急がある屋久杉が何も悪影響がなく育ったらもっと大きい全盛期の姿になれる、だからすーちゃんの祝福魔法で全盛期の姿になった姿は屋久杉を越える巨木になるのだ
これでアインゼ殲滅戦完全完了!!
侵略開始からここまで約6時間の間の出来事だった
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初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。
今回は週一投稿ギリギリセーフかな?セーフだよね?
と言う訳で前回の予知の攻撃の正体が分かっていた方も多かったでしょうか?
正解は文体が作っていた巨大雷仮称雷霆です。そして2章の途中で仰々しく神の祝福として出てきたくせにここまで全く触れられなかった虚属性付与、今回初解禁になりました
一応見た目も変わっていますがアルトリアとアルトリアオルタみたいに彩度が落ちたダケみたいなあまり大きな変化ではありません、虚属性がもつ“この世にあってないもの”という特性のせいでノイズが走っている感じです
次回からは掲示板回を1回、閑話を数回挟みます
それでは掲示板3−1でまたお会いしましょう
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