3−2

「よい、その願い聞き届けよう。………はぁ、疲れた。柄にもないことをやるもんじゃないね。ねぇみんな?」


 フォスとアンバーの嘆願については元々受け入れるつもりでったけど、何と言えばいいのかなこの2人は元が王族だったせいか目上の者に対しての態度はいいとして人に物事を頼む態度や何かを他人の力によって叶えてもらう時の基本がなってない、

 2人をアンデットにした時にミネルスがアンデットになった2人と道を違えることになる可能性すらある私への忠誠を誓うという行為を行ったのに、この2人は何も私に払わずに同じようなことを頼んできたよいうことを怒っていたのもあるだろう

 でも、柄じゃないな〜。こういうことは


『何が柄にもないですか‼︎あの威圧感プレッシャー、そこらのただ力を持つだけの存在とは違う屈服してしまいたくなるような本物の強者のものですよ』

「ははは、私がそんな強者なわけないじゃんね、ミール」

『はぁ、そういうことにしておきましょう』

「それじゃあ彼女を結晶の中から解放しましょう、と、いきたいところですがぶっちゃけ今の私じゃあこの結晶の中から彼女を救い出すことができません」

『そんなっ⁉︎』

「鑑定結果にも書いてあったけど今彼女の魂は文字通り生と死の狭間はざまにいるんだよ。そこにあって見えて触れられるけど彼女は現世ここにいないかといって死んではないから死霊魔術も使えない。そもそもここまで高純度な魔力の結晶、しかも上位生物ドラゴンの魔力の塊だ魔力操作で干渉しようとしても弾かれてしまう。ほら」


 結晶に触れている指先から魔力を出し結晶の表面を覆おうとする


“バチッ”


「イテッ」


 手のひら程魔力を広げた途端に結晶内部から溢れ出した魔力が私の魔力を跳ね返す


「この通り今の私じゃどうしようもない。あそこまでしてくれたのにごめんね」

『いえ、聞き届けてくださっただけで十分です』

『姉様の言う通りだ。それにマスターは“”って言ったよな?つまり解決できる方法がもう思いついてるんだろう?』

「そりゃあね、できないことを約束するつもりからさ」


 そんなこんなで戦利品やアインゼの建物などの被害状況を確認し終わり


「さて、最後に残った一番厄介な場所に向かいますか」

『『本当に行くんですか?』』

「そこのフォスとミール見るからに嫌な雰囲気出さないの!絶対にめんどくさいことになるのは目に見えてるけど先送りするには不安材料として大きすぎるって2人とも言ってたでしょ」


 そう、これから行くのは絶対に碌でもないのが待っているであろう場所なのだ


「ミネルス監視ご苦労様。何か反応はあったかい?」

『見ての通りです、私たちアンデットのような負の者を浄化する領域が展開されています』

「蟻たちの方は?」

『地上、地中、上空、どこから侵入しようとしても領域内に入った途端どこからともなく落ちる雷で即死です。幸いにも魂ごと消滅するようなほどの攻撃ではなかったようで死に戻ってくるのが確認できました』


 ミネルスの報告を聞いたので噂の領域内に手を入れる


“バチッ‼︎ゴロロロロロロロ‼︎”


 確かに空は雲一つない晴天なのに何処からともなく青雷が私の手に落ちる


「うん、魔術ではないね。どちらかというとスーちゃんの祝福魔法みたいにこの領域何に敵が入ったら雷が当たるのが当然みたいな理不尽だ」

『自分で確かめるバカがどこにいますか‼︎貴方は王なのですよ‼︎』

「でも魂ごと消滅しないのは確認できてるし、実際大丈夫だったでしょ」

『『はぁ』』


 ミールとフォスがため息をついたように見えたけど多分気のせいでしょ


「私の大いなる魔術の王の玉座アンテ マニオル レクス マギアでこの領域相殺できるかな?」


 とりあえず発動しようっと


大いなる魔術の王の玉座アンテ マニオル レクス マギア展開”


 おっ!領域の衝突している場所から軽く衝撃波が出てるけどちゃんと私のが押し込んでるね


 そしてついに目的地の入り口まで領域を押し込むことができた


「さてここが教会か」

『場所は私たちが設置した星霊様の神殿と同じなのできっと貴族どもが自分たちの力を見せつけるために建て替えのでしょうね』


 フォスが少し怒った様子で答える


 それにしても見た目はギリシャとかで見る神殿なのに名前が教会っていうのは何だか違和感あるなー

 そうこの教会は白い石でできた柱と三角形の屋根で囲われた中に立っているのだ


「さてさてさ〜て、みんな準備はいい?相手は私と同等かちょっと弱いと思っておいてね」

『『『はっ』』』

「それじゃあ、頼も〜」


“風雷複合魔導 荷電粒子弩矢プラズマボルト


 侵攻時に使用した天罰パニッシュメントはプラズマ化させる一歩手前まで加熱した水を使った熱膨張と熱量を使った超広範囲殲滅用の魔術だったのに対して、この魔術は空気中の気体を風魔術で集めて圧縮しプラズマ化してそこに雷魔術で超高電圧をかけることで核融合を起こすギリギリまで温度を上げるそうして高熱になったプラズマを一方向に開放することで直線上の物体を等しく融解させる魔術である

 ちなみに弩矢ボルトと名前についてはいるが見た目はビームである


『グッ‼︎』

「おっ!何かにあたったっぽい。ラッキー」


 そんなこんなで中央に大穴が空いた石扉を開けてミネルスが先頭で入っていく


「やあ初めまして威光の神の皆さん、あれ?1人だけ?てっきり4、5人ぐらい出張ってくるのかと思ってたのに残念」


 そこにいたのはこの世のものとは思えないほど整った肉体を持つ金髪の美青年が腹に大穴を開けてうずくまっていた


「あそこまで体と顔が整っていると逆に気持ち悪いね」


 誰かが言ったような言ってないような気もするけど過ぎたる美は畏怖しか感じないってね、あれだ、ゾッとするほど美しいってやつだ


「とりあえず君の名前を聞いてもいいかい?神様」

『我、こそ、は、雷霆と威光の神っなり』


 腹に空いた穴が辛いのか掠れた声が聞こえてきた


「あら、思ったよりも大物が釣れたね」

『くっ、貴様が魔術王と言う輩か』

「流石神様その厳格とした態度様になってるわ。でも、あなた今の状況わかっていらっしゃる?自らの領域は押し込まれお腹に大穴を開けられそのうえ敵は大勢、その体が本体だとは思わないけど少しは危機感持ったほうがよろしくて」


 最大限の嘲笑を込めて言う


『貴様らこそこの場が何なのかも知らずによく入ってきた、確かに領域は押し負けこの身の権能では回復できぬ傷を負っているがこの場に我が降り立ったすなわちこの場は我らが神域、威光を知らしめる神聖なる領域である‼︎』


 雷霆と威光の神の分体が力強く言うと今まで押し込んでいた領域がこの建物内の空間だけ私の領域を押し戻してきた



 先ほどまでの美しすぎるがこの世の存在だと思えていた雷霆と威光の神の分体美少年が放った言葉、いや、言霊は確かに神の言葉だった


「はっはは、確かにこれは少し相手のことを舐めてたかもね」


 今この場で完全に地に伏していないのは私、フォスとアンバー、ミールただ4人だけだった

 なぜこうなったかのかはすぐ分かる、文字通り重かったのだ、神の言葉が

 ただ“地に伏せ”といった、ただそれだけどほとんどの味方が地に伏した


「これが神か」

『そうだ、これが神だ。そしてその神の庇護する者達を虐殺しあまつさえ我を敬いもしなかった愚かなる行いを悔いて消えるがいい、光栄に思え我が自ら神罰を下すことを』


 雷霆と威光の神の分体がその手に持つ青雷をこちらに向けて今にも放とうとしている

 やっべー、やらかしたはこれ絶対キャラロストかめちゃくちゃ重いデスペナ喰らうやつじゃん、だからここには手を出したくなかったんだよ


『あるじーそれ私も混ぜてー』

「………えっとどちら様?」


—————————————————————————————————————————


 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 投稿が遅くなり申し訳ございません、3章からは私が描きたいものをバンバン描いていくつもりのため今回のように投稿が遅れたり逆に速くなったりすることが多々あると思います

 そして今回は次回と同じようなシリアスな前半とは一点して後半に威光の神との初邂逅を書かせていただきました。境界竜については当分アーティファクトととして活躍してもらう予定です

 それでは3−3でまたお会いしましょう

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