2-22

『私の大いなる魔術の王の玉座アンテ マニオル レクス マギアが他の領域とぶつかって範囲が相手の後衛こうえいまで届かなくなっちゃったから相手の後方に王がいると想定して動いて』

『了解』

『いきなりだな』


「さあ、神に祝福されし徒人と妖精たちよ神の力を相手にとくと見せてやれ」


「おい、なんでか知らんが魔術が近付かなけりゃ使えるようになってんぞ」

「マジで!それなら汚物は消毒だ〜」


 ッチ!魔術が使えることに気づきやがった


『アーチャービーとキャノンアントで後ろにいる魔術使いを倒して』

『御意』

『飛んでくる魔術は私が対処する』


 地味に初めて使うかもしれないな


『“シャドウハンド”』


 魔手をモデルに作った魔力生命体であるこのシャドウハンドは私の影と一体化していることで本來は私の体に直接当たらないと発動しない種族特性である魔術吸収を遠隔で使うことができる

 “魔力感知”“空間認識”“呪毒”のスキルを付与されており魔術の魔力を感知して半自動で迎撃してくれるし“呪毒”のスキルで触った相手に呪いか毒かまたは両方の状態異常を与えられる優れものだ


「うお、見えざる手だ!」

「あれに魔術が当たったら消えちまったぞ」

「当たったんじゃない、当たりに行ってるぞ」


 私も魔術で攻撃を始めたけど魔術特化のはずの私のステータスから放たれた魔術でワンパンじゃないやつがいる、これが晶結の乙女プリズムメイデンの効果だろうか?


「蟻たちの攻撃が弱くなったか?」

「さっき後ろで教会のジジイがなんかアイテムを発動してたからその効果だと思うぞ」


「さよう、この丨晶結の乙女プリズムメイデンはこちらに害意がある存在を拒絶するのだ。どうだ絶望したであろ?これが神に祝福された種と見放された種の違いだ」


 いやいや、私たちにも神の加護あるわ

 それにしても丨晶結の乙女プリズムメイデンの効果はダメージカット系で確定かな?


『相手の神秘遺物アーティファクトの効果で相手に与える全てのダメージが一定量減ってるからヒットアンドアウェイか相手に攻撃させないほどの物量で攻撃するように』


 付与魔術で強化魔術を大いなる魔術の王の玉座アンテ マニオル レクス マギアに付与する。こうすると範囲内にいる味方に領域が存在する限り強化魔術がかかり続ける

 これ付与するのにめちゃくちゃ魔力を食うし付与し続ける間ずっと魔力消費し続けるから普段は使わないけど今は魔術吸収のお陰で少しはマシかな?


“ゴッ”


 うん?地面がいきなり揺れた


「ごめんな王様、俺はこっちが悪いとは思ってるんだが国に使えてる身だからちょいと死んでくれ」


 後ろから聞こえてくる声にとっさに振り向こうとしたがその瞬間お腹辺りに違和感がはしった


「どうなってんだ、俺は確かに魔術王を切った手応えはあったぞ。だが何で鎧は切れてねえんだ?あれか鎧は鎧で別の生きもんなのかい」

「あれ?」


 下半身の感覚がない?


“死亡しました 最後に訪れた復活地点で復活します”

“復活まで後 9:58”


 え?私死んだの

 マジか、初デスが意味わからんうちにとかカッコ付かないわ〜


「で、このカウントダウンは復活までの時間でよさそうだね」


 初デスで落ち込むかと思っていたけど意外と何の感想も湧かなかった


「それにしても私は何で死んだんだろう?殺したのは声と喚び方からアレンシルだと思うけど、魔力視で見た白銀色の大剣で切られたことは確認できたけど、あの大きさじゃ完全に貫通してたはずなんだよね〜。でも声を聞く限りアンバーは切られなず中にいた私だけ切られたっぽいし・・・う~ん謎だね〜。そういうスキルかそういう効果を持った剣の神秘遺物アーティファクトだとは思うんだけど狙ったものだけを切断するとかの理不尽効果じゃないと思いたいな〜」


 カウントが終わるまでゆっくりこれからどうするか考えていたがカウントが0になると転移時のように視界が一瞬暗くなると次にはよく見慣れた岩の壁が見えた


「やあ、ミール」

『主よ何用でお戻りに』

「死に戻ってきた」

『・・・はぁ?』


 脳の処理が追いつかないのかとぼけ顔で動かなくなっちゃった


『主を殺せるほどの強者があちらにはいるのですか!?』

「完全な不意打ちだったけどね」

『それでも主より強い者はこちらにはスー様以外にいないのですよ』

「でも流石に正面でアンバーとの接近戦になったら相手も勝てるかどうなるか分からないよ」

『と言うと?』

「その人不意打ちのちょっと前に和解を持ちかけようとしたのか少人数で会いに来たけど、その時見た感じだと身体能力こそ高いけど魔力はソーサラーアントのほうが高いし、不意打ちで使ったと思うスキルか神秘遺物アーティファクトでも使わない限りアンバーの私の魔力で魔鋼化したアダマンタイトの体は切れないと思うよ」

『それはそうですが、その主を不意打ちで殺した方法が不明なのでは安心できません』


 確かにあれがバンバン使えちゃう系のスキルとか常時発動系だったら勝ち目は無いね


「でもわざわざ不意打ちっていう手段を取ったっていうことは一撃で終わらせたいってことだと思うし警戒はしても対策までしなくてもいいと思うよ。そもそも対策の仕方も分からないし」

『それもそうですね、では主にこの身代わりサクリファイスビーを付けさせてもらいます』

「何その物騒な名前の蜂?」

『生き物に寄生して生命力を吸う代わりに寄生した生き物が寄生後始めて受けるダメージを一度肩代わりしてくれる蜂です』


 そう言ってミールが呼び寄せたのは現実のミツバチよりは一回り小さいとても小さな蜂だった。それを私の首裏に乗っけるとほんの少しチクッと感じたあとちびちびと魔力が吸われていくが魔力が自然回復する量のほうが多いのか影響はあまりなさそうで安心した

 さてともうそろそろ戦線復帰しますかね


「ミール、死に戻ってきた蟻たちも私と一緒に転移させるから集めて」

『もう招集し終わっております』

「流石仕事が早い」


 それじゃあ、城壁の外当たりに転移っと


「倒したと思ったボスが援軍と一緒に再登場したのを知ったとき討伐隊のみんなはどんな反応をするのかな」


 私の顔は自然と笑みを浮かべていた


—————————————————————————————————————————


 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。

 作者のH2ゾンビと申します。

 まさかまさかのメルトちゃん初デスです

メルトちゃん頃すのムリゲーじゃんと思った方もいると思いますが意外と弱点は大井のです

次回は今回殺されたタネ明かしとアインゼ陥落です

 それでは2−23でまた会いましょう

 下↓の応援♡や⭐︎、レビューなどで応援してくださると励みになります


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る