2−20

 城壁に穴が空いてからは来訪者たちも死に戻ってから城壁外に出てこなくなり城壁に空いた穴から侵入が始まった

 私も高度を下ろして街の外周部に降り立つが住民の避難は完了しているのか蟻が移動する音以外何も聞こえなく静寂が包み込んでいた


「もう入ってきやがったぞ!」

「道が狭いうちに1匹ずつ倒せ!絶対に大通りに出すな!」


 家の中から一気に討伐隊が出てきた

 なるほど、蟻の大きさならこの路地だと2匹並んだりできないから常に1対1で戦えるはずだね。路地しか進まなければだけど


『家の壁を登り脇や後ろから挟み撃ちしろ!冒険者より騎士を狙え来訪者は死んでも戻ってくるから足止めに止めろ』


 ミネルスちゃんもちゃんと指揮できてるし私は後ろから下位魔術でも撃って援護しますか


『ミネルス、生きてる奴らは全て殺しちゃっていいよ。来訪者は殺しても帰ってくるから経験値稼ぎにちょうどいい』


 来訪者たちがゾンビアタックで突っ込んでくるが数の暴力で一瞬にして死に戻っていく

 たった数秒だけど確かに時間稼ぎさせられるのが嫌だなー


 そんなこんなでやっと大通りに出たと思ったら大勢の魔術師が杖や本をこちらに構えていた


「「「“ヴォルケーノ”」」」


 範囲攻撃の中級火魔術“ヴォルケーノ”を撃とうとしたんだろうけどごめんね。私の近くだと魔術スキル発動できないんだ


「発動しなえいぞ!」

「魔術王が近くにいるってことだ、どこにいやがる」

「何呑気なこと言ってやがる、走れ!蟻たちがくるぞ!!」


 魔術使いたちが脱兎の如く逃げていくとその後ろに大通りを塞ぐようにゴツい全身鎧フルプレートを装着し自分と同じくらいの盾を構えた集団がいた


「「「我ら豪鉄騎士!!敵が膨大だろうと強大だろうと我らは崩れぬ」」」


 おぉ、スキルというわけじゃ無いけど余りの覚悟と怒号に圧倒されちゃった

 じゃあ、これは耐えられるかな?


 氷結魔導“絶対零度アブソリュートゼロ”からの中位氷魔術“氷塊アイスフロウ


 豪鉄騎士たちは一瞬で霜に覆われ豪鉄騎士を中心に周りもどんどん凍りついていく、そして上空に生成された巨大な光栄の塊が豪鉄騎士に落ち鎧ごと砕け散った


 氷結魔術は熱を奪う魔術で氷魔術は氷を作って操る魔術だから別物だぞ♪


『おいマスター、さっき高威力魔術一発で終わらせると面白く無いからもうやらないって言ってたよな?』

『いや、さっきのは“絶対零度アブソリュートゼロ”を使ってから“氷塊アイスフロウ”で砕いたから高威力魔術一回で終わらせたわけじゃないよ』

『屁理屈ですね』

『屁理屈だな』


 ぐすん(´•̥ ω •̥` )

 まあ、いいじゃん。高い防御力のせいで突破までに時間を取られるよりはいいじゃんねー


『さてと、この後はこの街の中心にある館までミネルスに全部おめかせするね』

『御意に』


 ミネルスはまずキャノンアントを一番後ろまで下がらせると今まで上空で待機していた弓兵蜂アーチャービーを降下させ攻撃を開始した


「なんだよ敵は地上だけじゃ無いのかよ」

「おい、後衛は何やってるんだよ」

「魔術が使えないんだからしょうがないでしょ、弓だとあっちが避けちゃって当たらないんだって」


 うん、圧倒的だね。あっちの耐空戦力が魔術と弓矢しかないらしく魔術は私がいると使えず弓矢も空を高速で飛んでいるアーチャービーには当たらない


「投擲槍構えー」

「「「構えー!」」」

「投げー」

「「「投げー」」」


 そう思っていたら奥から大勢の同じ軽鎧をきた集団が一糸乱れぬ動きで短槍を構え号令と共に投げてきた

 何あれかっこいい!あの動きどれくらい訓練したんだろうか?しかもほぼ同時に投げているから一面槍の雨がこっちに降り注いでくる


 改造上級風魔術“ワイドサイクロン”


 私たちの周囲に渦巻く風の壁が現れ飛んでくる槍の大半を弾いていく

 元の上級魔術“サイクロン”よりも範囲が大幅に大きくなっているが、その分風が渦巻く速度が遅くなったせいで元々の使い道である相手を吹き飛ばすことができなくなった代わりに飛び道具対策に優秀な魔術になった


『被害は?』

『弓兵が30体強、歩兵が15体、その他3体ほどが戻って行きました』


 まあ、被害は最低レベルまで減らせたかな?


『あれが帝国の歩兵部隊ってことでいいのかな?』

『おそらくですが、あの投擲槍を同時に投げる戦略は私たちが反乱時に苦戦した戦略でもあります』


 確かにあの一面の投擲槍は単純な威力と範囲、そして威圧感はかなりのものだった


『キャノンアント、歩兵部隊に向けて発射』


 キャノンアントから再びオレンジ色の蟻酸の砲弾が発射されたが事前に知っていたようで頭の斜め上で盾を何枚も重ねることで防がれてしまった

 この戦い方あれだ本で読んだことがある古代ギリシャのスパルタの戦術“ファランクス”にめっちゃ似てる


斥候蜂スカウトアントたちよ、砲撃に紛らわせて毒の雨を降らせろ』


 蟻酸の砲撃があまり効果がないと判断したミネルスがとった次の行動は砲撃の中にスカウトビーによる毒の射撃を混ぜることだっただった

 歩兵部隊は先ほどと同様に盾を重ねて防ごうとしたが砲弾よりも粘性が低い毒は盾の間を流れ頭からモロに毒を被ってしまい苦しそうな声をあげた


 うわっ!ミネルスちゃん思ったよりえげつないことするね


 そのまま砲撃と毒の射撃に惑わされた歩兵部隊は甚大な被害を受けたためか退避していった


 あれ?あの少し豪華な装飾の死体がないな。退避していく前にアーチャービーが頭を撃ち抜いたらしくこの部隊のリーダーっぽいから何か持っていないか調べるつもりであったのに空振りに終わった

 なんでだろう?


 街の中心にある大きな2人の男の人のオブジェがあったが掲示板を見る限りこれが来訪者の徒人と妖精にとってのリスポーンポイントらしくこれを壊せばもう来訪者はこのまちで復活できなくなる


『アンバー、よろしく』

『了解』


 天刃流剛剣術“星千斬”


 アンバーが装備しているリビングソードを一本構えて魔力を剣に纏わせると一瞬のうちにオブジェが粉々になった


「これで侵攻の第一段階完了」


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。

 作者のH2ゾンビと申します。

 本格的な戦闘も始まり数対数の戦闘がうまく書けていたら嬉しいです

 それでは2−21でまた会いましょう

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