2-18

「都市周辺に着いたら迎撃してくるだろう城壁の上にいる弓兵や魔術使いを殲滅後、包囲し誰も出てこられないようにしてね」

『了解です。王よ』


 天罰パニッシュメントの余韻から冷めた後私はミネルスたちが都市を包囲していく様を鑑賞しながら魔力の回復ついでに話していた


『メルト様、宣戦布告として高威力魔術を放つのは了承していていましたが流石に天罰あれはありませんよ』

「え〜、一回あれ撃ってみたかったんだもーん」

『宣戦布告っていうのはなあマスター、相手に事前警告として最後通牒を送りそれでも相手と交渉が決裂した時にオレと相手は話し合いで解決しようとしたけど無理だったので開戦しますっていう、戦争を戦争たらしめるもんなんだよ』

「でもあっちは布告もなしにいきなり攻めてきたんだからこっちが最後通牒パニッシュメント撃っても撃たなくても戦争にはなってたでしょう?」

『そりゃあそうだがなー』

「それに私たちは今魔物なんだよ、布告とかそんなの気にしないでただ敵を倒すってことでいいじゃない」

『ま、それもそうか』

『アンバー、あいつらは忠告も何もなしに謀反を起こし国を自分たちの欲望のために破壊した者たちの末裔ですよ、こちらが礼儀をわきまえる必要がないでしょう。それに私は天罰あれでは相手に私たちが攻めてきたと知らせる者が残らないことに文句をいっているのです』

「そこは大丈夫、冒険者の大半は来訪者だからね。きっと大地を埋め尽くす黒い軍団と天から降り注いだ天災についてそれは大袈裟に報告してくれると思うよ」


 あいも変わらず辛辣だねー、それにしても最初はおてんばに見えたアンバーが思ったより真面目なんだよねー。逆にフォスがたまーにとんでもないことを口走ったりするからこの姉妹のギャップがとっても可愛い


『おっ?包囲が終わったようだぜマスター』

『ついに、ですね』

「ははは。そうだね、私には帝国や他の国への恨みは一片たりともないんだけど蹂躙させてもらうね。恨むんだったら余りにも愚かだった自分たちの祖先を恨むことだ」



 アンサーside


 それは余りにも唐突だった

 魔術王が出てきてから樹海を主に狩場にしていた冒険者と樹海の調査をしていたアインゼの守護兵に帝国兵の合計2500名が先行部隊として樹海の偵察に向かってしばらく経った時にそれは起こった


「お、おい!なんだよあれ!!」


 先頭にいた1人の来訪者の冒険者が何かに気付いたのか叫んだ


「どうした?」

「遠くで何かが光ったから遠見のスキルで確認したらこっちに向かって黒い装備を着たスケルトンの軍団が歩いてくるのが見えたんだよ」


 なんだって!


「社畜!?」

「わかってるって、“鷹のイーグルアイ”……うわっほんとだかなり遠くに大量のスケルトンとその後ろにいる黒い何かがこっちに向かってきてる」

「騎士さんよ、これはどうする?」


 名無しの虎が社畜の鏡に確認をとるとちゃんといるらしい


「ふむ、今回は偵察が主な任務だがその魔物の軍勢が魔術王の配下だとしたら強さを確認して置きたい、できるか?」

「この偵察隊のリーダーはあなただ俺たち来訪者は支持してくれたら戦えるぞ」

「ならばスケルトンを数体倒すか5人以上死んだら撤退する」

「了解」


 騎士さんが命令を下すとすぐに目の前にクエストの受注画面が開きYESをおす


「おっしゃぁ、魔術王討伐の前に雑魚狩りするぞー」

「虎よ〜、今は敵の強さを確認するだけだってさっき言われただろうが、先走りすぎるなよ」


 軍勢に向かっていく来訪者たちの進むスピードが目に見えて早くなりスキルがなくても魔物の軍勢がうっすら見えてきた


「え、思ったより多くね魔物」

「これは想像以上ね」

「レイド戦どころの話ではないな、数えるのも嫌になるほどの数だ」

「あのスケルトンの後ろにいるのって樹海でよく見る雑魚蟻じゃない?」

「はあー単体なら驚くほど弱いけど群れると死ぬほどめんどくさいあいつがあの黒いやつ全部とか言わないでしょ」

「あれが全部雑魚蟻ってことはないだろう、だが弓兵蟻や魔術蟻などの上位種もごまんといるだろうな」


 、その言葉が誰もの脳裏によぎった


「おっしゃー、やってやらー。アンサー行くぞ俺たちがここにいる来訪者の中で一番強いんだから俺たちが真っ先に突っ込むぞ」

「おい、社畜、いってもただ死ぬだけだぞ」

「そんなこと言ってたら後ろにいるNPCの騎士たちごと物量で殺されちまうだろ、ならさっさと強さの偵察をこの中で一番強い俺たちが出れば一瞬で終わるだろ?この部隊の中の1パーティーじゃ絶対に叶わないって」


 社畜が叫びみんなが覚悟をきめ貴重品などのロストしたら困る物を騎士の人に預かってもらい突貫しようとした瞬間さらなる絶望が俺たちの視界に現れた


「お、おい、今度は何が始まるんだってんだよ」


 空に赤色の巨大な魔法陣みたいな物が展開されたかと思えば次々に青、緑、黄色の同じく巨大な魔法陣みたいのが展開され重なり合っていく


「見ろ、魔法陣の中心に誰か飛んでるぞ!!」


 絶望しか浮かばない魔法陣の中心にいたのは黒く輝く禍々しくそして美しい流線的なフォルムの鎧を着た誰かがいた


「だ、誰だ⁉︎」

「生物鑑定持ち、鑑定しろ」

「今やってるわ!!」


 何もかもを見下すようで何も思っていないような冷徹な目でこっちを見ているように俺はその人物を見て思った


「鑑定結果でたぞ!!」

「なんだって?」

「称号の1箇所しか見えなかったけど“魔術王”って、書いてあった」


 あ、あれが魔術王…。なんて存在感なのだろうか、スキルだと思うけどこっちを見ているとわかった時から足がすくんで動こうとしても動けない


「……… 愚かにも賢王を騙し殺した愚者たちへのを」


「“地水火風複合魔導 天罰パニッシュメント”」


 魔術王がそう呟いた瞬間、魔法陣から光の雫がこちらに向かい落ちてくる

 多くの人は防御しようと盾や防御魔術を構えるが俺は本能的にこれは防御しようと意味がないと悟った


シュゥッ…ゴッ———


光の雫が弾けたのが見えたと思った瞬間俺が死んだことが書かれた画面が目の前に出てきた


「は、はは。あれが魔術王、飛んだ負けイベントじゃないか。だけど俺はあれを越えなくちゃこの世界で頂点になれない…。いいぞ、燃えてきたじゃねえか!!」


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。

 作者のH2ゾンビと申します。

 今回は主に討伐隊側の視点、つまりアンサーくんサイドでのプロローグの場面でした

 これから何回かこのような閑話以外でのメルト以外の視点で進む場合がありますが基本はメルト視点で物語は進みます

 次回からは都市アインゼ攻略になります。お楽しみに

 それでは2−19でまた会いましょう

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