2−9

『主よ、森で薄汚れた服を着た獣人らしきものを発見したとの報告が』

「多分初心者さんだよね?」

わたくしに聞かれましてもわからないとしか言いようがありませんよ』

「ごめん、ごめん」

『それで如何様いかように』

暗殺者アサシンビーで眠らせて、そうだね入り口近くの使ってない倉庫部屋に運んできてもらえる?」

『はっ!』



「ばぅ…もう…おなかぁいっひゃい…」

「何ともまたベタな寝言を」


 連れてきてもらった娘は確かに人外の耳と尻尾を持っていた、ただそれ以外にも翼と耳の上から後ろ向きに生えている角、極めつきは鱗…これ絶対獣人じゃないよね?


『とりあえず起こそうぜ』


 今回は新人の子が虫ダメだった場合を考えてフォスちゃんとアンバーちゃんに立ち会ってもらってます


「そうだね、精神魔法“アウェイク”」

「…………。ふっふがっ‼︎う、う〜ん…えっウチいつの間にか寝ちゃってた‼︎」


 あら思ったより陽な人っぽいですね

 寝ている姿は綺麗な金髪の麗人みたいな雰囲気だったんだけど、ね


「ふふっおはよう、可愛い寝顔だったけどよだれ、垂れてるよ」


 まだ寝ぼけてるのかな?ボーっとしたまだ焦点があってない目で見つめてくるけど…さ、流石にここまで見つめられると恥ずかしいかな


「恥、恥ずかしい///ちょっと待っててください……よし」

「うん綺麗になったね。それで君は今日このゲームを始めたプレイヤーで合ってるよね?」

「はっはい、一応そうですけ、ど、今ってどういった状況か理解できてなくて」


 そうだよねいきなり半透明の男装した私とガッチガチの全身鎧のアンバーがいたらびっくりするよね


「うんいいよ、好きなだけ悩んでくれたまえ」



 ………プレイヤーネームを教えてもらおうとしたら本名を知りそうになったり、種族の確認方法がわからなかったみたいだからメニューの使い方から教えてあげてたりしたけど獣人ではなかったね、まぁ大体予想はしてたけどドラゴン関係の種族だったか〜


「フォス説明よろ」

『はぁしょうがありませんね、初めましてスパロさん私の名前はフォスフォフィライト、気軽にフォスとお呼びください』


 フォスの念話に最初は驚いていたっぽいけどすぐ慣れて普通に話聞いてるから順応能力高いねこの娘


『それでは、ドラゴノイドについて説明しますね』

「よろしくお願いします」

『まず大前提としてこの世界にはドラゴンと言う種がいます。ドラゴンとは生まれながらに一つの属性と一つの使命を持ち世界を調停する者と言われています』


 属性っていうことはあれかな、ファイヤードラゴンとかサンダードラゴンとかいるのかな?


「はい」

『メルト様どうしましたか?』

「属性って火とか水とかのこと?」

『そのとうりです。ドラゴンはその生まれ持った属性のブレスを扱います』

「はい!」

『はい、スパロさん』

「使命とはなんですか?」

『私自身詳しくは知りませんが私の知り合いであったドラゴンは使命とは力を持って生まれたドラゴンという種に創造の神が託した願いだと言っていました』


 あ〜そんな感じなのねドラゴンって、てっきり邪智暴虐とまではいかないでも「俺たちは強いからえらいんだぞ〜」とかやってんのかと思ってた


「?????」

「要するに神様が自分は直接この世界で起こった問題は解決できないから力を持ったドラゴンたちに代わりに解決してもらうことにしたってこと」

『そのような認識で構いません、それでは次にドラゴンとドラゴノイドの違いについて説明いたします。最も大きな違いは人型であるかどうかです。大半のドラゴンは大小問わず4本の足と1対以上の羽、尾と鱗、そして角を持っています』


 おぉ〜そこは想像通りのドラゴンなんだ。ちゃんとスパロちゃんは全部の特徴に当てはまってるからドラゴンなんだね


『そのうち1つでも該当していないけれど体がドラゴンに似ている存在を亜竜ワイバーンと言います。では話を戻して結論を言うとドラゴノイドとは人型のドラゴンのことを言います」


 前足が翼だったり翼がなかったり鱗がなかったりしたら全部ワイバーンなんだ、もしかして狼っぽい雷を使うワイバーンとか亜空間を操って当たり判定を大きくする魚っぽいワイバーンもいるのかな?


「はい‼︎」

『はい、スパロさん』

「属性とか使命とかはどうやったら分かりますか?」

「それは私が教えよう。先ほどのようにステータスを開いてもらって種族特性と言う欄に自分が持っている得意な属性が何らかの形で書いてあるはずだよ。詳しい内容が知りたいときは長押しすれば簡単な効果がわかるよ、鑑定って言うスキルがあればもっと詳しく分かるから持ってるなら使うのをおすすめするね」

「鑑定ですか?確か持ってたと思います」


 少しは先輩プレイヤーっぽいところを見せないとね♪だからねフォスちゃんその『私のセリフを取られた』みたいな感じで圧かけてくるのをやめてくれませんか?


「冥属性で使命は冥廊の使命だそうです。あと竜王血とか言うなんかすごそうなのもありました」


 ⁉︎チョットナニイッテルカワカラナイ


「…スパロちゃんちょーっとステータス見せてもらってもいいかい?」

「?いいですよ」


 冥人竜 冥属性 冥吐息 竜鱗 飛翔 状態異常耐性 竜体化 

 竜王血 眷属化(竜・亜竜) 吐息強化 竜体時超強化 状態異常耐性

 冥廊の使命 アンデッド特攻 眷属化(竜・亜竜アンデッド) 呪い無効 浄化


 わ〜何このぶっ壊れ種族特性。私のエレメント時代でもかなりぶっ壊れの自覚はあったけどあれは特殊派生進化種族だったエレメントに一度進化した上での種族特性だったから納得できたけど、スパロちゃんはまだ進化してないのにこの内容はぶっ壊れとしか言いようがないな〜


『ねぇねぇフォスちゃん、アンバーちゃん』

『何ですかメルト様?』

『私の目には眷属化(竜・亜竜)とか眷属化(竜・亜竜アンデッド)とかが見えるんですけど』

『えぇ私にも見えますよ』

『オレにもそう見えるな』


 ダヨネーソウカイテアルヨネー

 眷属化は種族特性にかいちゃダメでしょっ‼︎

 しかも何!ドラゴンとワイバーンそしてドラゴンアンデッドにワイバーンアンデッドを眷属にできるって強すぎない!私の眷属化はスキルだから対象は幅広いけどその分眷属化する条件が難しくて種族特性の眷属化は対象が限られている代わりに条件が緩いらしい

 ミールの種族特性の女王蟻は子供を配下に置くから屈服判定になって自動的に眷属になってしまうだけでスキルでの眷属化になる

 つまり種族特性の眷属化は同種族に自分を格上や敬うべき存在だと思わせた瞬間眷属化できてしまうのだ

 何言ってるか自分でも理解できてない


「放って置いちゃってごめんね、それと一つ忠告というか気を付けて置いて欲しいことだけどそのステータスは聞かれたからと言って無闇に見せちゃダメだ。それと多分君が徒人や魔人側に行ったら君はあらゆる人から勧誘やそのステータスについて聞かれるだろう。悪い場合だと脅迫まがいの勧誘やしつこいストーキング、または嫉妬によるデマも考えられる」


 ちょっと、いや、かなりキツイ口調だけど大人数のオンラインゲームすら初めてだというスパロちゃんには絶対に怖い思いをさせてはいけない。今までもいくつものオンラインゲームでオンリーワンの装備やスキル、アイテムを手に入れたプレイヤーは大抵の場合勧誘や野次馬、PKなどが常に付き纏うようになる

 それがきっかけでゲームを引退したり精神を病んだり、最悪の場合自殺を選んでしまったという事件がある

 今では法律である程度VR空間内での犯罪まがいの行為の数多くが刑罰の対象になったがいまだにそのようなことをする輩はいるのが現実だ


「実感が湧いてないようだからはっきりと言うよ、君は多分今現在唯一のドラゴンのプレイヤーでしかも竜王血と言うブッ壊れ特性を持っている、つまり君はどうしようもなく目立ってしまうしみんなが君の強さを味方にしたいと思うだろう。そう、あらゆる手段を使ってでも」


 スパロちゃんの顔はさっきまでの未知に対するワクワクした顔から一気に青ざめ恐怖に怯えたような顔になっていた


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 はい、メルトちゃん側からのスパロちゃんとの出会いでした

 いかがでしたか?後半は少しシリアスになりましたが、今現在のようにネット上での誹謗中傷による名誉毀損やネット上でのいじめ問題があるのは事実であり、たった一つのオンリーワンを妬みそれをあわよくば得ようとするのもまた事実だと私自身思っているためこのような話を書かせていただきました

 次回はスパロちゃんがこの話をどう受け止めどのような結論を出すのかお楽しみください

 私生活がこれから少しの間忙しくなるので更新が遅れるかもしれませんが気長にお待ちしてくださるとありがたいです

 それでは2-10でまたお会いしましょう

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