閑話2−1

《welcome to world of myths》


「はえーこれが第7世代VRのグラフィックか〜」


 このゲームがおにぃから送られてきたのでせっかくだからインストールしてみたけどこの巨大な木、質感も凹凸も全く違和感ないし森の香りも地面を照らしているほんの少しの木漏れ日の揺れも自然すぎてゲームに思えない


「そういえばおにぃからの手紙には手当たり次第応募したら2つ当選したからって書いてあったけどお兄とは会えるのかな?」


 ウチ自身VRゲーム以前に大人数でやるオンラインゲーム自体が初めてだったからよくわからないけどこのゲームのクオリティがすごいのは分かる


「自分のキャラクターの作り方も分からなかったから最初の白い部屋にいたAIの人に色々決めてもらったけどみんなこんな森の中から始まるのかな?」


 木の上の方で光ってるランタン?に沿って歩いてるけど一向に森の出口が見えてこないし前後左右似たような景色だから同じ場所を歩き続けているような気がして怖くなってきた


「ギチチ、ギチッ」

「何ぃ⁉︎」


 何かが擦れるような音がしたから音が鳴った方を見ても何もいない


「ブブブブブ」

「今度は上⁉︎」


 今度こそと思い上を見てもやっぱり何もいない


「プシュッ」

「ヘァ〜zzz」



「ふっふがっ‼︎う、う〜ん…えっウチいつの間にか寝ちゃってた‼︎」

「ふふっおはよう、可愛い寝顔だったけどよだれ、垂れてるよ」


 そう寝起きのウチに話しかけてきたのはオシャレなヨーロッパの貴族が来ているような服をきた半透明の美人だった。うわ〜顔ちっちゃ〜まつ毛長〜って


「恥、恥ずかしい///ちょっと待っててください……よし」

「うん綺麗になったね。それで君は今日このゲームを始めたプレイヤーで合ってるよね?」

「はっはい、一応そうですけ、ど、今ってどういった状況か理解できてなくて」

「うんいいよ、好きなだけ悩んでくれたまえ」


 まずここはどこ?暗くてよくわからないけど地面が石っぽいし洞窟?それにあの美人は誰?なんで半透明なの?それに今美人さんと話してるように見えるあの鎧の人は誰?


「どう少しは落ち着いたかな?私の名前はメルトよろしく」

「こちらこそよろしくお願いします。疑問は尽きませんけど落ち着きはしました」

「それじゃぁごめんね、いきなり眠らせてここまで運んじゃって」


 一応いい人っぽいのかな?後ろの鎧の人も腰の剣でいきなり切り掛かってはこなさそうだし


「えっとまずなんでウチは眠らされたんですか?」

「あのまま森の中で彷徨っていたら野生のゴブリンとかオーク、はたまたクマなんかに殺されてたからねここまで運ぶ時に暴れないように先に寝てもらったという訳」

「ゴブリンってあの背が小さくて緑の肌のバケモノの?」

「そう、それ。この森にはそんな怪物がまあまあいるからね、君みたいなこのゲームを始めたての初心者にはちょっときつい場所なんだよ」


 メルトさんの様子を見るに嘘じゃないっぽい、それに後ろにいる鎧さんぐらいちゃんとした装備がないと死んじゃうぐらい強いのだろう


「それは、助けてくださってありがとうございました」

「うんうん、感謝できてえらいね。それと君の名前と種族を教えてもらってもいいかい?」

「名前は小鳥遊「本名じゃなくてキャラクターの名前」あぁそっちですか、えーっと確か“スパロ”です」

「雀?」

「はい、雀です」

「それで種族は分かる?」

「それってどうやったら分かるんですか?」

「チュートリアルで教えてもらったと思うけど頭の中で“メニュー”と唱えて出てきた項目から一番上のステータスを開いて種族という欄に書いてあるはずだよ」


 えーっとメニュー、ステータス、種族、種族、これかな?


「ドラゴ、ノイド?」

「フォス説明よろ」

『はぁしょうがありませんね、初めましてスパロさん私の名前はフォスフォフィライト、気軽にフォスとお呼びください』


 後ろで静かにたたづんでいた鎧さんから聞こえてきたのは凛とした透き通るような声だった


「うん?頭に直接聞こえてる?」

『そうでした、私は念話と言うスキルで話すので不思議に思うかもしれませんがご容赦を』


 はえ〜そんなスキルもあるのか便利なのかな?


『それでは、ドラゴノイドについて説明しますね』

「よろしくお願いします」

『まず大前提としてこの世界にはドラゴンと言う種がいます。ドラゴンとは生まれながらに一つの属性と一つの使命を持ち世界を調停する者と言われています』

「はい」

『メルト様どうしましたか?』

「属性って火とか水とかのこと?」

『その通りです。ドラゴンはその生まれ持った属性のブレスを扱います』

「はい!」

『はい、スパロさん』

「使命とはなんですか?」

『私自身詳しくは知りませんが私の知り合いであったドラゴンは使命とは力を持って生まれたドラゴンという種に創造の神が託した願いだと言っていました』

「?????」

「要するに神様が自分は直接この世界で起こった問題は解決できないから力を持ったドラゴンたちに代わりに解決してもらうことにしたってこと」

『そのような認識で構いません、それでは次にドラゴンとドラゴノイドの違いについて説明いたします。最も大きな違いは人型であるかどうかです。大半のドラゴンは大小問わず4本の足と1対以上の羽、尾と鱗、そして角を持っています』


 ウチもちゃんと両手両足あるし肩甲骨と腰のちょっと上あたりから合計4枚も羽が生えてるし尻尾もあるし腕とか足とかに鱗も生えてる

 うん♪ちゃんと条件に当てはまってる


『そのうち1つでも該当していないけれど体がドラゴンに似ている存在を亜竜ワイバーンと言います。では話を戻して結論を言うとドラゴノイドとは人型のドラゴンのことを言います」

「はい‼︎」

『はい、スパロさん』

「属性とか使命とかはどうやったら分かりますか?」

「それは私が教えよう。先ほどのようにステータスを開いてもらって種族特性と言う欄に自分が持っている得意な属性が何らかの形で書いてあるはずだよ」


 種族特性は冥人竜と竜王血、冥廊の使命の3つで


「詳しい内容が知りたいときは長押しすれば簡単な効果がわかるよ、鑑定って言うスキルがあればもっと詳しく分かるから持ってるなら使うのをおすすめするね」

「鑑定ですか?確か持ってたと思います」


 冥人竜 冥属性 冥吐息 竜鱗 飛翔 状態異常耐性 竜体化 

 竜王血 眷属化(竜・亜竜) 吐息強化 竜体時超強化 状態異常耐性

 冥廊の使命 アンデッド特攻 眷属化(竜・亜竜アンデッド) 呪い無効 浄化


「冥属性で使命は冥廊の使命だそうです。あと竜王血とか言うなんかすごそうなのもありました」

「…スパロちゃんちょーっとステータス見せてもらってもいいかい?」

「?いいですよ」



 メルトさんもフォスさんもどうしたんだろう?私のステータスを見てからウチに背を向けて話し合ってるしなんかヤバいのかなぁこのステータス


「放って置いちゃってごめんね、それと一つ忠告というか気を付けて置いて欲しいことだけどそのステータスは聞かれたからと言って無闇に見せちゃダメだ」


あっなんかガチっぽい


「それと多分君が徒人や魔人側に行ったら君はあらゆる人から勧誘やそのステータスについて聞かれるだろう。悪い場合だと脅迫まがいの勧誘やしつこいストーキング、または嫉妬によるデマも考えられる」


えっ⁉︎そんなにこのステータスはヤバいものなの、ネットだから悪い人もいるのは分かってるけどそんなことほんとに起きるのかな?


「実感が湧いてないようだからはっきりと言うよ、君は多分今現在唯一のドラゴンのプレイヤーでしかも竜王血と言うブッ壊れ特性を持っている、つまり君はどうしようもなく目立ってしまうしみんなが君の強さを味方にしたいと思うだろう。そう、あらゆる手段を使ってでも」


な、な、何でこんなことになっちゃったの〜


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 初めましての方は初めまして、前から読んでくださっている方は続けて読んでくださりありがとうございます。作者のH2ゾンビと申します。

 新キャラのスパロちゃん登場です。そう竜っ娘ですよ、竜っ娘‼︎(大事なことなので二回言いました)

 人外娘が大好きなのですが特に竜っ娘とアラクネ、ケモ度ちょい高めの獣人が大好きなのでここで竜っ娘を出せて大満足です

 次回はメルトちゃん視点からのスパロちゃんとの出会いです

 それでは2-9でまたお会いしましょう

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