最終章 妖怪大決戦

第21話「星影、死の宣告」

西洋妖怪を倒し平和を取り戻した小十郎達はゴールデンウイーク後半を満喫していた。

「いや〜遂に手に入れたでござる!スマホ!」

「ははっ……良かったわね……」

小十郎はとうとうスマホを購入した。

「おお〜色々出来るのぉ……」

「小十郎、まず色々設定しなくちゃ!」

雪菜に使い方を教わり少しずつスマホをいじって行く小十郎。

「雪菜ー、小十郎君!そろそろ出発するぞー」

敏也が声を掛ける。

この日は前々から予定していた門倉家の家族旅行の日だった。

「はーい!小十郎行くよ!使い方は後で教えてあげるから!」

「そうでござるか。では参るでござる」

雪菜と小十郎は敏也の方へ向う。


「小十郎君、すっかり現代に慣れたよなぁ」

「でしょ?いつの間にか」


敏也は車を走らせ旅行に出発。

「所で何処に行くでござる?」

「パパ、何処だっけ?」

「ん?えっとな、静岡にある温泉だ。そこには富士山が見える露天風呂もあるんだぞ」

「おおー!富士山良いでござるな!!」

「だろ?今年は小十郎君も居るし、小十郎君も楽しめそうな所にしたんだ」

「お父上殿……感激でござる!!」

「オーバーだな……」


小十郎達が静岡に向かっている頃、橘兄妹は病院に居た。

診察室から美桜が出てくる。

「ありがとうございました」

「美桜、どうだった?」

「ん?じゃーん!」

美桜は包帯の取れた腕を見せた。

「おお!!包帯取れたのか!良かったな!!」

「うん!でも、病院位1人で来れるからワザワザ付いて来なくても良かったのに」

「何言ってんだ?腕怪我してるのに転んだりしたら大変だろ」

「子どもじゃないんだから!もう!兄さんシスコンか!!」

「誰がシスコンだ!!」


3時間程車を走らせ静岡県に入った小十郎達。

「さて、そろそろお昼にしたいね」

「そうね、どっか良いお店が無いか調べてみるわ」

「なら拙者がやってみるでござる!」

「え?大丈夫?」

「へいsiri、近くの美味しい店を教えて欲しいでござる」

「侍がヘイsiriって……」

《こちらが検索結果です》

siriが答えいくつかの店の情報が表示される。

「おっ!出来たでござる!色々あるでござるなぁ」

「どれどれ?」


「小十郎君、本当現代に馴染んで来たな……」

「不思議な光景ね……」


小十郎が調べた店の中から1番近い所を選びその店に向かった。

その店は鰻屋で静岡の中でも人気の店だった。


丁度お昼時でもあり店の中はかなり混んでいた。

「ちょっと待ちそうだな……名前だけ書いて車の中で待つか」

そう言って敏也は名前を書きに行く。


「!……妖気!」

「え?」

小十郎は妖気を感じた。


「ゆきぴょん殿、ちょっと行ってくるでござる!」

小十郎は妖気を感じた方へ走って行く。

「ちょっと!小十郎!」

雪菜も小十郎を追い掛ける。


小十郎が妖気を辿り現場に着くと。

「よう!星影」

そこには鬼童丸が待ち構えていた。


「鬼童丸……」

「良い事を教えてやる。もう直ぐ百鬼夜行が始まる。だが、その前にお前に死の宣告をしてやる」

「百鬼夜行だと!?くっ……あの惨劇をまた繰り返す気か……」

「ねぇ、小十郎、百鬼夜行って何?」

「数多くの妖怪達が一斉に人間に襲い掛かる恐ろしい悲劇じゃ」

「ああ、300年前、お前も体験したよな?だが安心しろ。今度は百鬼夜行の前にお前を殺す」

鬼童丸は襲い掛かって来た。

「星影-变化」

小十郎は星影に変身し鬼童丸と戦う。

鬼童丸は最初から腰の刀『妖刀·鬼牙』を使い戦う。

星影も『星影丸』で応戦するが、鬼童丸の怒涛の攻撃に圧倒される。

「星影……お前は強い!それは認めてやるよ……だがな!!」

鬼童丸は星影の星影丸を弾き飛ばす。

「くっ……」

「俺の方が上って事だ!!」

鬼童丸は『鬼牙』を振り上げ星影を斬り裂く。

「ぐわぁぁぁぁ……!?」

「小十郎!?」

「くっ……お……おのれ……」

「安心しろ星影……直ぐに死にはせん……鬼牙で斬られた者は鬼の呪いによってゆっくり……ゆっくりと死の恐怖を感じながら徐々に弱り死んで行くのだ……」

そう言い残し鬼童丸は去って行く。


星影の変身は解け小十郎が悶え苦しむ。

「小十郎!しっかりして!小十郎!!」

雪菜が必死に呼び掛けるが小十郎は苦しみ続ける。

だが、しばらく苦しんだ後、小十郎は落ち着きを取り戻した。

「ゆきぴょん殿……すまん心配掛けたな……大分楽になった」

「本当?」

「ああ、鬼童丸はああ言っておったが、300年封印されてる間に妖力が弱ったのだろう。もう大丈夫でござる。さっ、お父上とお母上が待っておる。帰ろう」

「うん……でも、本当に大丈夫?」

「ああ!問題無いでござる!」


小十郎と雪菜は車に戻る。

「雪菜、小十郎君何処に行ってたんだ?心配したぞ」

「ごめん、ちょっと……」

「でも間に合って良かったわ。そろそろ順番が来るわよ」

その後は何事もなく昼食の鰻を食べ旅館にも到着し旅行を楽しんだ。


小十郎達は一通り観光を楽しんだ後、旅館に戻って来た。

「さぁ、いよいよ温泉だ!小十郎君、露天風呂行くぞ!」

「はいでござる!」

敏也と小十郎は露天風呂へ行く。

「じゃあ、私達も行くわよ」

「うん」

恵子と雪菜も温泉へ……。


だが、小十郎は体に少し違和感を感じていた。

「うっ……」

そして、小十郎はまるで心臓を締め付けられる様な痛みを感じ倒れ込んだ。

「小十郎君!?どうした!?小十郎君!!」

敏也は小十郎を必死に呼び掛けるが……。

「ぐはっ!?ぐぅぅぅぅ……」

小十郎は苦しむ一方だった。


「フッフッフッフッ……もうじき星影は死ぬ……雪女、九尾、俺達は百鬼夜行を始めるぞ」

九尾と雪女は揃って……。

「御意!!」


とりあえず部屋に運ばれた小十郎はまだ苦しんでいた。

「小十郎君……一体どうしたんだ?」

「小十郎……」

(まさか……鬼童丸が言ってた呪い?)

雪菜は気になり美桜に連絡した。


連絡を受けた美桜は直ぐに来人に相談し来てくれる事に。

早速車に乗り込む来人と美桜。

「兄さん急いで!」

「分かってる……しかし……雪菜ちゃんが言ってた事は本当なのか?」

「うん多分……」

「鬼童丸の呪いか……厄介だな……」

来人はエンジンを入れ車を走らせる。


だがその頃、またしても空に暗雲が……。

「何だ?またか!?」


突然大量の妖怪達が現れ人々を襲い始めた。

遂に百鬼夜行が始まったのだ。

「ハッハッハッハッ!!やっぱり百鬼夜行は夜じゃなきゃな!!闇が妖怪達に力を与える……さぁ、暴れろ!妖怪共!!」

鬼童丸が配下の妖怪達を煽り暴れさせる。


「クソッ……こんな時に……美桜、行くぞ!」

「でも、小十郎さんは?」

「そんな事言ってる場合か!俺達の使命は妖怪達から人々を守る事だろ……」

そう言って来人は車を降りて妖怪達の元へ向かって行く。

「兄さん……そうだよね……」

美桜も車を降りて来人を追う。


様々な妖怪達が暴れる中、九尾と雪女も指揮を取っていた。

「フッフッフッフッ……人間共……恐怖をもっと増幅させろ」

「ん?九尾、橘の忍が来た様だぞ」


来人と美桜が妖怪から人々を助ける。

「ここは危ない、早く離れろ」

「さっ、こっちへ」


「来たな。しばらくは様子を見よう」


「美桜、行くぞ!」

「ええ!」

来人と美桜は『忍装』

月丸と光姫に変身した。

妖怪達は攻撃の目標を月丸と光姫に切り替え襲い掛かった。

月丸と光姫は数多くの妖怪を相手に大乱闘に参加する。

月丸は次々に妖怪達を倒して行く。

光姫は手裏剣やクナイを使い距離を取って戦っている。


その頃、小十郎はまだ苦しんでいた。

「ぐあぁぁぁぁっ!?」

「小十郎!小十郎!」

雪菜は必死に呼び掛け続けた。

しかし、小十郎は苦しむ一方……。

鬼の呪いによって小十郎に死が刻一刻と迫っていた。

果たして小十郎は鬼の呪いを払い除け勝利する事が出来るのか?

そして、百鬼夜行が始まった日本の運命は!?


続く……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る