第20話「西洋妖怪の最後」

小十郎は『星光丸』を手に変身。

星影の最強の姿『星影-大将軍』となった。

その姿は全身を銀色に輝く甲冑で武装したまさに大将軍と言った感じだ。


「くっ……これがサムライの最強形態か……」

流石のサタンも怯む。

「サタン様!!」

狼男が月丸を蹴り飛ばしてサタンの前にやって来る。

「狼男……」

「ここは俺が!サタン様はお下がり下さい!」

「フンッ……なら、任せたぞ」

「行くぞサムライ野郎ー!!」

狼男が星影に襲い掛かる。


だが、星影は『星光丸』の一振りで狼男を斬り裂く。

「ぐわっ!?」

そして必殺技『奥義・流星斬撃』を発動。

『星光丸』が輝きだし、振り上げると光の刃がまさに流星の様に降り注ぎ狼男を貫いて行く。

「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」

狼男は倒された。


「一撃……だと!?」

その威力に月丸も驚く。


「さぁ、次はお前だ。サタン」

星影は星光丸の刃をサタンに向ける。

「くっ……フンッ!次の戦いが楽しみだ……」

サタンは姿を消す。


「凄い!凄いよ小十郎!!」

雪菜が近付いて来る。

「ゆきぴょん殿、まなぴょん殿、怪我は無いでござるか?」

「うん、ウチらは大丈夫!」

「月丸殿はどうでござる?」

「俺も問題無い」

「良かったでござる」

星影は変身を解除。

「さて、もう閉館の時間だ。帰るぞ」

「ちょっと待って!星光丸はどうするの?」

「あっ、そうか。展示品を勝手に持っていく訳にはいかないよね……」

「何が問題でござる?」

「大問題だよ!!!!」

全員にツッコまれる。

「そ、そうでござるか……」

「はぁ……しゃあねぇ……ちょっと交渉して来てやるよ」

来人は頭を掻きながらそう言ってこの美術館の館長に話をしに行った。


美術館としても目玉の展示品を持って行かれては困る。

しかし、早雲寺の、和尚に相談した所、本来の持ち主は星影である為に、展示期間が終了したら星影に返すと約束してくれた。

展示期間の間は美術館に展示するが、必要な時は呼び出して良いと許可をくれた。


「よし、話着いた。帰るぞ」

来人の運転で美術館を去る。

まなぴょんと雪菜は家に送り、小十郎は病院に返された。

「色々世話になったでござる」

「ああ、気にするな」

「兄さん結構小十郎さんと仲良くなったよね」

「バ、バカ!余計な事を言うな!」

「バカとは何よ兄さん!!」

「まぁまぁ、喧嘩は辞めるでござる……」


全ての部下を失ったディボルグは最後の戦いに向けて力を蓄えようと画策していた。

「おのれ……サムライめ……こうなったら……」


そして、九尾はディボルグが全ての部下を失った事を鬼童丸に報告。

「そうか!ようやく奴を倒すチャンスが来たって訳だ!」

「はっ!しかし、星影にも新たな力が……」

「問題ない。西洋妖怪達のお陰で人間共の恐怖のいつの間にかかなり溜まった。これなら百鬼夜行も始められる……」

「なんと!?いつの間に……」


「なら、その恐怖とやら、私が頂こう」

「何っ!?」

九尾が振り向くとそこにはディボルグが立って居た。

「貴様……どうやってここに!?」

「そこのキツネ君の後を付けさせてもらったよ」

「くっ……貴様〜!!」

「俺達が集めた人間共の恐怖をどうするつもりだ?」

鬼童丸が立ち上がりディボルグに迫る。

「フンッ……教えてやろう。お前達の言う恐怖とは人間の負のエネルギーだろ?それを闇の力として取り込めば強大な力を得る事が出来る……」

「なるほど、百鬼夜行に使うつもりの力をお前自身の物にしようって訳か……ふざけんな!!」

鬼童丸は腰の刀を抜いた。

「妖刀、鬼牙(おにきば)……いい刀だが、私には通用しないよ?」

「何っ!?俺の鬼牙を知ってたか……」

「ああ、文字通り鬼の牙で作られた妖刀だろ?それも100の鬼を殺して作られた呪い刀……だが、闇の力を持つ私には効かない……脅しにはならないよ?」

「くっ……」

「安心しろ、少し拝借するだけだ」

ディボルグはサタンの姿に変身。

鬼童丸達が集めていた人間の恐怖を溜めている装置に手を触れ中から恐怖を抽出する。

それを飲みサタンの力はパワーアップ。

「グォぉぉぉ……漲る……漲るぞ……これぞ闇の力だ!!」

「くっ……奴の妖気が高まって行く……」

「少量飲んだだけでこれ程とは……」

「ハァァァァ……礼を言う……」

サタンは姿を消した。


「くっ……鬼童丸様、どうしましょう?」

「放っておけ。俺達は俺達で百鬼夜行の準備をするぞ……」


翌日、それは突然始まった。


よく晴れた天気の良い日だったが、突然空は暗雲に覆われ雷鳴が鳴り始めた。

学校に行っていた雪菜達も授業中に突然暗くなった為、クラスメイト達と騒ぎだし、外の様子を見る。

「おい、みんな大丈夫だから静かにしろ。今、電気点けるからな」

そう言って先生が電気のスイッチを押すと……。

「うわぁぁっ!?」

突然電流が流れ出し先生は感電。

「先生、大丈夫ですか?」

クラスの1人が先生を心配する。

「ああ……大丈夫だ。ちょっと痺れただけだ。しかし……一体何だ?」


バイト中の小十郎もバイトどころでは無かった。

「何だ……この凄まじい妖気は……?」


そして、暗雲の中からサタンが降臨。

「人間共よ、聞け!貴様らの世界は我が支配下となる!どんな抵抗も無駄だ!これより暗黒の時代が始まるのだ!!」


サタンの降臨に街の人々は恐怖を感じ騒ぎ出す。

そして、サタンが集めた電気エネルギーを使い雷撃を放つと人々は大パニックとなり逃げ惑う。


「くっ……こうしちゃおれん!」

小十郎はコンビニを飛び出しサタンの元へ向う。

「あっ!巽君、どこ行くの!?」

店長が引き止めるが小十郎は構わず走り去る。


そして、学校でも。

「ゆきぴょん、私行って来るから先生には適当に言っておいて」

美桜が小声で雪菜に話し掛ける。

「え?でも、美桜ちゃん怪我してるのに……」

「これぐらい平気よ。お願いね」

美桜はこっそりと教室を抜け出す。


そして、来人も現場に向かっていた。


「フッハッハッハッハッ……良いぞ……更に人間共の恐怖が集まる……サタン達にもこんな利用価値があったとはな……」

鬼童丸も大興奮。


最初に到着したのは来人。

「サタン!テメェ、これ以上好き勝手させねぇからな!!」

「ほぉ……まずはニンジャか……掛かって来なよ。ジャパニーズニンジャ」

「上等だ!!」『忍装』

来人は月丸に変身。

『月光丸』でサタンに斬り掛かる。

だが、サタンは軽くかわす。

「くっ……」

「戦いにくかろう……地上に降りてやる」

そう言ってサタンは地上に降りてきた。

「くっ……余裕かましやがって……」

「今から1分間私は何もしない。好きなだけ攻撃してくるがいい」

「は?余裕こいてんのも今の内だぜ!!」

月丸はサタンに怒涛の攻撃を仕掛ける。

だが、その攻撃はサタンに一切当たらない。

月光丸だけでなく、手裏剣やクナイ等の武器、様々な忍術を使って攻撃するが、サタンはそれを全て避ける。


その頃、小十郎と美桜が同じタイミングで現場に到着。

「来人殿!」

「兄さん!」


「クソッ……何で全然当たらねぇんだ……」

「さっ、後10秒だ」

「クソぉー!!」

「9、8、7、6、5、4、3、2、1、0……時間切れだ」

サタンは反撃。

闇のエネルギーを放出し月丸にダメージを与える。

そのたったの一撃で月丸は大ダメージを受け倒されてしまう。

「兄さん!?」

「来人殿!?」

小十郎と美桜が駆け寄る。

「お前ら……気を付けろ……」

月丸はそう言い残し意識を失った。


「兄さん!兄さん!」

「美桜殿、ここは拙者が……お主は来人殿を連れて下がっておれ」

「小十郎さん……気を付けて……」

「承知」


美桜が月丸を引きずって下がる。


「サタンめ……許さん!星影-变化」

小十郎は星影に変身。

更に……。

『星光丸』を呼び寄せる。

「星影-大变化」

星影は『星影-大将軍』となった。


「お前は……楽しめそうだ……」

星影は『星光丸』を手にサタンに斬り掛かる。

サタンも星影には油断出来ないと思ったのか今度は応戦する。

お互いの攻撃がぶつかり激しい戦いを繰り広げる。

「西洋妖怪め……貴様らの好きにはさせん!!」

「面白い……ならば止めてみろ!サムライ!!」

サタンは鋭い爪で星影を攻撃。

だが、星影は『星光丸』で受け止める。

「チッ……」

星影はサタンを払い除ける。

「トドメじゃ!!」『奥義・流星斬撃』

星影の必殺技が発動し、光の刃がサタンに降り注ぐ。

「ぐっ……だが、狼男の様にはいかんぞ……」

「ならばこれじゃ!!」

星影は更なる必殺技『奥義・星光一閃』を発動。

光輝く刃でサタンを斬り裂く。

「邪鬼……退散!」

「ぐわぁぁぁぁ……おのれ……サムライめ〜!?」

サタンは倒された。


「勝った……」

サタンが消滅した事で暗雲は晴れ青空が戻った。


「ん?……勝ったのか?」

来人が目を覚ました。

「兄さん!うん、小十郎さんがサタンを倒したよ」

「そうか……あいつが……」


サタンを倒した事で西洋妖怪の日本侵略は失敗に終わった。

だが、鬼童丸はいよいよ百鬼夜行を始めようとしていた。

「フンッ……邪魔者は消えた……次は俺達の番だ……待ってろよ星影……」


続く……。

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