第19話「最強!大将軍!」

小十郎が見た師匠の夢によって思い出した星光丸とは一体……。


小十郎は星光丸について皆に話した。

「そんな物が……一体どこに?」

「分からん……探そうにも今の東京の街は江戸と変わりすぎてしまっとる……」

「そっか……江戸時代の建物とは全然違うもんね」

「その星光丸が封印されてた場所さえ分かればまだ調べようがあるんだがな……」

「確か……拙者が師匠と修行に使っていた早雲寺と言う寺の蔵に封印してた様な……」

「早雲寺?ちょっと待て!寺ならまだあるかも知れないぞ」

「何?本当でござるか?」

「ちょっと調べて来てやるよ。美桜も雪菜ちゃんもそろそろ学校だろ」

「あっ!そうだった!?学校行かなくちゃ!?」

「そうね、急ごう!」

美桜と雪菜は大急ぎで学校に向かった。

「美桜〜転ぶなよ〜」

「兄さん子ども扱いしないで!!」


「さてと、小十郎、俺はその早雲寺って寺を調べて来る。お前は大人しくしとけよ」

そう言って来人も病室を出ていく。

「皆……すまぬ……」


その頃、妖怪達は……。

「そうか……サタンの野郎に深手の傷を負わせたか!良くやったぞ九尾!」

「はっ!勿体なきお言葉」

鬼童丸は久々に上機嫌だった。

「俺もそろそろ復活出来る。次こそ西洋妖怪の最後だ……」


そして、西洋妖怪は……。

「クソッ!日本妖怪め……」

「サタン様!ドラキュラやゴーレムの仇はこの俺が必ず!」

「ああ、だが決して油断はするな……奴らの術を私も少々甘く見ていた」

「もちろんです!次こそは叩き潰してやりますよ!」


妖怪達はそれぞれ次の戦いに向けて士気を高めていた。


その頃、雪菜達は学校で……。

「ねぇ、ゆきぴょん。りりぴょんと何かあった?」

まなぴょんが雪菜に話し掛けて来た。

「うん……ちょっとね……」

雪菜はまなぴょんにりりぴょんが彼氏と喧嘩し、雪菜に八つ当たりして来た事を話した。

「え〜!?何それ!?それりりぴょんの彼氏が悪いっしょ」

「しーっ!まなぴょん声大きいよ!」

「あっ、ごめん……でもこうなったらウチに任せて!2人の仲直り大作戦立ててあげる!」

「まなぴょん……ありがとう」

「ゴールデンウイークの後半が勝負ね……」

「ねぇ、その話、私にも協力させて」

美桜も話に乗ってきた。

「勿論!じゃあ、え〜っとねぇ……」


来人は自宅に帰りパソコンで早雲寺について調べていた。

「!やっぱり……今もあるじゃん!」

しかし、早雲寺の事を更に調べると第二次世界大戦中に爆破され焼失。

一度建て直されてる事が分かった。

焼失しているのなら『星光丸』も無事かどうかは分からない。

「行って確かめるしか無いか……」

そう呟くと来人は早雲寺周辺の地図をプリントアウトし、パソコンをシャットダウン。

早速出掛ける。

「父さん、ちょっと出掛けて来る。車貸して」

「ん?お前が車なんて珍しいな。良いぞ。鍵は玄関にあるから」

「サンキュー」


来人は早速出発。

地図に書いてある住所をナビに入れる。

「さて、ちょっと遠いし、刀持って電車って訳にも行かないからな」

来人は車を走らせる。


その頃、小十郎は退屈し病院内をウロウロしていた。

「はぁ……暇でござるな……」

待合室にあるテレビではドラマの再放送がやって居た。

ふと小十郎がテレビに目をやると、CMに入り今夜放送する番組の宣伝をしていた。

その番組は世の中のミステリーに迫る人気番組で今夜は江戸時代に居たとされる伝説の侍の謎に迫るらしい。

その侍の名がテロップに出る。

「伝説の侍、妙齋院龍玄」と。

「なっ!?何ぃー!?お…お師匠様!!」

小十郎はテレビにかじりつく。

「おいおい、なんだよ……邪魔だよー」

周りの人達からブーイングが来る。


小十郎は急いで公衆電話を探す。

そして、雪菜に電話をする。

だが、雪菜は授業中。

出れる訳がない。

「はぁ〜そうか、ゆきぴょん殿は学校であったな……そうじゃ!」

小十郎は今度は雪菜の家に電話する。

しかし、小十郎はいつの間に電話の掛け方を覚えたのか……。

それは少し前に遡るが、何かあった時に困るだろうと雪菜が電話の掛け方を小十郎に猛特訓し教え込んでいた。


恵子が電話に出る。

「はい?あっ、小十郎君?雪菜から話は聞いたわよ。大丈夫なの?」

「そ……そんな事より母上殿!お頼み申したいでござる!」

「え?」

「今日の夜にやる世界ミステリーハンターと言う番組を録画して頂きたいでござる!」

「え?あっ、はいはい録画ね。分かったわ」

恵子は番組名のメモを取り電話を切る。

「小十郎君、大分現代に馴染んで来たわね……」

恵子の言う通り小十郎は雪菜達と暮らす内にすっかり現代の生活に馴染んでいた。


来人は早雲寺に到着。

「ここか……」

長い階段を登り境内に到着すると……。

九尾が待って居た。

「九尾!?何故貴様がここに!?」

「やぁ、月丸……待って居たよ。ここに来る事も分かっていた。星影のもう1本の刀だろ?」

「何故それを知っている……」

「西洋妖怪を倒す為に必要なんだろう?だが、ここには無い」

「何だと!?」

「今はこの場所に移されてるよ」

そう言うと九尾は来人に一枚の紙を渡した。

「何故俺に?」

「西洋妖怪を倒す為さ……利用出来る物は何でも利用するよ」

そう言って九尾は姿を消した。


来人が九尾から渡された紙を見ているとそれは美術館のチラシだった。

どうやら一時的に展示品として美術館に貸し出されている様だ。

「仕方ない。戻るか」

来人は一度病院に戻る。


その日の夕方、来人と小十郎が話していると雪菜と美桜がまなぴょんも連れてやって来た。

「小十郎さんお見舞いに来たよ〜!」

「まなぴょん殿!来てくれたでござるか!」

「ねぇ、小十郎あんたもしかして電話した?」

「ああ、したでござるよ。まぁ、用件はゆきぴょん殿の御母上にお願いしたから大丈夫でござるが」

「ふ〜ん。何だったの?」

「今夜やるテレビの録画でござる!」

「小十郎さんめっちゃ現代に馴染んで来たわね……」

まなぴょんにも言われる。


「それより俺達はこれから美術館に行くつもりなんだが、皆も来るか?」

「美術館?何で?」

「どうも星影の星光丸は今美術館にあるらしくてな。早雲寺の和尚にも聞いたから間違い無い。んで、今から行ってみようって話てたんだ」

「ふ〜ん……まぁ、ウチは行くけど。まなぴょんはどうする?」

「行く行く!」

「この人数ならギリギリ車にも乗れるしな。じゃあ行くか」

「でも、小十郎怪我してるのに大丈夫なの?」

「ああ、一応先生にも許可は取った大丈夫だろう」


来人の運転で5人は美術館に向かった。

美術館に着いたのは入館終了時刻の間際だった。


「ギリギリだな……急ぐぞ」

車を降りて中へ入る。

閉館の30分前に入った為、あまり時間は無い。

急いで『星光丸』を探す。

「あった!こっち!」

雪菜が見つけて皆を呼ぶ。

雪菜の方に集まると確かにそこには『星光丸』があった。

「これでござる!間違い無い!」

「しかし……どうやって取り返す?」

5人が考えていると突然非常ベルが鳴り響いた。

「お客様!直ぐに避難して下さい!ぐはっ!?」

避難を呼び掛けた警備員は殺害された。

「フッフッフッフッ……こんな所で何をやってんだ?サムライ共……」

「何っ!?お前はサタン!」

そう、美術館を襲撃したのは西洋妖怪達だった。


「ここにお前達が来るって聞いてな……決着を着けに来たんだよ」

「何だと!?くっ……罠か……」

来人は九尾の仕組んだ罠だったと気付いた。

そして、その九尾は……。


「利用出来る物は何でも利用するよ……それが例え敵でもね……」

九尾は美術館の外で高みの見物をしていた。


「仕方ねぇ……皆下がってろ!」

来人は『忍装』

月丸の変身した。

「やれ!」

サタンの命令で狼男が月丸に襲い掛かる。


月丸も狼男と戦う。

「拙者も……」

小十郎は『星影丸』を構える。

「ダメだ……お前はまだ傷が治ってないだろ!ここは俺が……」

「来人殿……」

『星影丸』と展示されている『星光丸』がお互いに共鳴し合う。

「これは……?星光丸が呼んでいるのか……」

「小十郎……」

「星光丸よ……拙者に力を貸してくれ!!」

小十郎の呼び掛けに答える様に『星光丸』は輝きを放ち展示ケースを突き破って出てくる。


「これって……初めて小十郎と会った時に似てる……」

雪菜はそう思い出しながら見ている。

小十郎は『星光丸』を掴む。

「星影-大变化」

小十郎の体は光に包まれ星影最強の姿『星影-大将軍』に変身した。

「星影……参る!!」


続く……。

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