第17話「月丸の新たな力」

九尾が編み出した究極の術により九尾と橘の術により召喚されるスサノオが合体した姿の巨大な九尾の力の前に星影は大ダメージを受けて倒れた。


小十郎はそのまま救急車で病院まで運ばれた。

「小十郎……」

雪菜は小十郎を心配する。

だが、りりなの彼氏の拓馬は……。

「ったく、何であんな訳の分からない奴のせいで俺達が巻き込まれなきゃいけねぇんだよ!!」

「ちょっと拓馬!そんな事言わないでよ!」

「うるさい!……俺は普通に大学に行って普通の社会人になって安定した生活をしたいんだ!これ以上俺を巻き込まないでくれ!」

拓馬は怒って帰ってしまった。

落ち込むりりぴょん。

「りりぴょん……ごめん……」

「ねぇ何で?何でウチが拓馬に文句言われなきゃ行けないの??意味分かんないんだけど……」

りりぴょんもそう言って怒って帰ってしまった。


夕方になり辺りも暗くなって来た頃、雪菜は病室で小十郎が目を覚ますのを待っていた。

そこに病室のドアをノックする音が……。

「はい」

雪菜が返事をすると横開きのドアがスライドし入って来たのは雪菜の母、恵子だった。

「雪菜、帰って来ないから心配したのよ」

「お母さん……ごめん……」

「小十郎君、どうなの?」

「大丈夫。大した事ないみたい」

「そう、じゃあ雪菜も帰って来たら?」

「うん、そうだね」

雪菜は立ち上がり恵子と共に家に帰る事にした。


その頃、修行を続けていた来人は……。

「はぁ……はぁ……や……やった!」

「ほぉ1日でここまでコツを掴むとは……」

「もう少しだ……もう少しで完成する……」

修行の成果を感じていた。

そこへ美桜がやって来た。

「兄さん、今日はもう辞めたら?」

「美桜!そうだな……お前こそまだ病み上がりなんだから無理するなよ」

「うん。戻ろ!」

「ああ……」

「じゃあ、帰るか」

「はい」


来人もこの日の修行を終え叔父の家に戻って行った。


相変わらず病室で眠っている小十郎は夢を見ていた。


暗闇の中をひたすら走る小十郎。

誰かが小十郎を呼ぶ声が聞こえていた。

小十郎はその声の主を知っている気がしていた。

段々と声のする方に近付いて行くと暗闇の中から一点の光が見えた。

この声はその光の方から聞こえてる様だ。

小十郎は必死に走る。

必死に光を追い掛けた。

すると光の中から人影が現れた。

「待っていたぞ小十郎」

「あなたは……お師匠様!」

現れたのは妙斎院 竜玄(みょうさいいん りゅうげん)その昔小十郎に剣術の稽古をつけ星影丸を託した人物だ。

「お師匠様、お会いしとうございました」

「小十郎よ。お前はまだこちらに来てはならぬ。妖怪達は更に力を高めお前に襲い掛かって来るであろう。だが、お前は負けてはならぬ。人々の希望であり続けるのじゃ」

そう言い残し竜玄は消えて行った。

「お師匠様ー!お師匠様ー!!」


小十郎は自分の叫び声で目を覚ました。

「お師匠様……何故……お師匠様の夢を……」

小十郎は起き上がる。

「ここは……どこじゃ?」

小十郎は辺りを見回してみるが見知らぬ景色に困惑する。

「ゆきぴょん殿?何処でござる?」

すると、ベッドの横の棚に雪菜の置き手紙がある事に気付いた。

置き手紙には家に帰って来ると書かれていて明日着替も持ってくると書いてあった。


時刻は既に夜遅く、病院は消灯時間を過ぎていた。

だがその頃、奴らは動き出した。


「日本妖怪共め……我ら西洋妖怪をコケにしやがって……」

ディボルグが手下達の方を振り向く。

「これより、我ら西洋妖怪は日本壊滅の為の最後の攻撃を仕掛ける!暴れろ!壊せ!恐怖を植え付けて来い!」

「おおー!!」

ディボルグの掛け声で西洋妖怪達は街を襲い始めた。

ドラキュラや狼男は人々を襲いゴーレムは建物を破壊し始めた。


「妖気!……この妖気は西洋妖怪か……」

小十郎は病室を抜け出す。


橘兄妹も西洋妖怪の妖気を感じ外へ出る。

「なんて妖気だ……こりゃ半端ない数居やがるな……」

「兄さん、行きましょ!」

「ああ!」

橘兄妹も東京に向う。


「チッ!西洋妖怪め……まだ好き勝手暴れるか……」

鬼童丸も苛立っていた。

「鬼童丸様、我々も向かいましょう」

「ダメだ……俺の妖気がまだ回復しきってねぇ……お前達だけ戦わせる訳にも……」

「ならば私が行きましょう」

九尾が声を上げた。

「私の新たな術なら西洋妖怪であろうとも」

「なるほどな……だが、無理はするなよ……お前にはまだ役目が残ってるからな……」

「御意!」


九尾が出撃。


小十郎が現場の近くまで来るとゴブリンも再び現れ暴れていた。

「西洋妖怪……これ以上好きにはさせん!!」

小十郎は『星影丸』を構える。

「星影-变化」

小十郎は星影に変身。

「星影……参る!」

星影は次々にゴブリンを斬り倒して行く。


「来たようだな……サムライ……」

ディボルグは星影が現れた事を察した。

「ドラキュラ、サムライが現れたぞ。遊んでやれ!」

「はっ!ディボルグ様!」

星影に空からドラキュラが襲い掛かる。

「うわっ!?」

ゴブリンに気を取られていた星影はドラキュラの攻撃を喰らってしまった。

「くっ……貴様は……ドラキュラ!」

「そうだ……サムライ……この国は我々西洋妖怪の物だ……さっさと消えろ」

ドラキュラが星影に襲い掛かる。

星影も応戦。


その頃……。


「何の用だ?日本妖怪……」

「貴様の命を貰いに来たのさ……ディボルグ」

ディボルグの背後に九尾が立っていた。

「お前達のボスは来ないのか?」

「貴様など、私の新たな術で十分だ」

「ほぉ……なら、見せてみろ!!」

ディボルグは悪魔、サタンの姿に変身して襲い掛かって来た。

『融合術·魔獣变化の術』

九尾は巨大な狐の形態となりスサノオと合体。

サタンに反撃する。


「くっ……九尾も現れたか……」

「隙きありー!!」

星影が九尾の出現に気を取られた瞬間、ドラキュラは星影に接近し羽交い締めにする。

「しまった!?」

「貴様の血を一滴残らず吸い尽くしてやる!」

ドラキュラが星影の首筋に噛み付く。

「ぐあっ!?」

ドラキュラの鋭い牙が星影に喰い込む。


だが、ドラキュラに向かって手裏剣が飛んで来た。

「誰だ!?」

「影と共に闇を討つ……」

「光となり悪を討つ……」

「我ら橘流忍者……月丸」

「同じく光姫」

「なるほど……ニンジャか……」

月丸と光姫はドラキュラに更に攻撃を仕掛ける。

ドラキュラは星影を放す。

「月丸殿、光姫殿、助かったでござる!」

「小十郎さん大丈夫?」

「フンッ、別にお前を助けに来た訳じゃねぇよ!」

「もう、兄さん素直じゃ無いんだから……」

「ここは俺達に任せろ……お前はあの怪獣大決戦状態の奴らを止めてくれ」

「かいじゅう……だいけっせん?」

「とにかく九尾達を止めてって事!」

「心得た!」

星影は九尾達の方に向う。


「さぁて……ドラキュラか……新しい術のお試しには丁度いいか……」

「お試しだと!?貴様、この誇り高きドラキュラ一族の末裔である私を愚弄するか!」

「まぁ、そう言うなよ……新しい術見せてやっからさ!」

月丸は両手で印を組んだ。

『忍法·雷神变化の術』

月丸の新しい術、それは月丸を新しい姿に变化させる術だった。

それは雷の力を纏った雷神の如く凄まじい姿。

月丸は『雷神武装』した。

この姿になると月丸にも新たな刀『雷神刀』が現れた。

ドラキュラが月丸に襲い掛かる。

「行くぞ……」

月丸はゆっくりと歩き出す。

月丸の必殺技『轟雷両断斬(ごうらいりょうだんざん)』が炸裂。

稲妻の一撃と共にドラキュラを斬り裂く。

「ぐわあぁぁぁっ!?」

ドラキュラは一瞬で消滅。


「凄い兄さん!」

「ああ……だが、この術はまだ未完成……長く持たないのが難点だな……」

月丸は元の姿に戻った。


ドラキュラは倒されたがゴブリン達が橘兄妹の周りに集まって来た。

「くっ……新手か……」

「兄さん、ここは私が!」

「無理するなよ……」

「大丈夫、任せて!」


そして、星影は九尾とサタンが戦う場所へ急ぐ。


だが、この2人の戦いは激しく周りにも既にかなりの被害が出ていた。

「ほぉ……やるなぁ狐」

「当然ですよ……この力は無敵だ……」


「2人共、そこまででござる!!」

星影が到着。

「星影!」

「サムライか……」

「これ以上貴様らに暴れさせはせん!」


西洋妖怪との戦いはいよいよ最終局面へと突入する。


続く……。

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