第14話「大侵略!西洋妖怪」
橘流忍者の里が大百足に襲われている頃、東京の街では西洋妖怪が手下のゴブリンを放ち暴れていた。
月丸と光姫を中心に橘流忍者達は大百足と戦うが、小十郎はまだ『星影丸』の修理が終わっておらず戦いに参加出来ないでいた。
「ん〜……ただ見てるだけと言うのも心苦しいのぉ……何か……せめて何か武器は……?」
小十郎が周りを見渡す。
「あっ!これでござる!」
小十郎は爆弾を手に取り火を点けて大百足に向かって投げる。
だが届かず手前で爆発。
「うわあああっ!?」
橘流忍者達が巻き込まれてしまった。
「小十郎!余計な事するな!!」
月丸が文句を叫ぶ。
「すっ……すまぬ……」
一方で東京のゴブリンは雪菜達のバイト先のコンビニも襲撃。
お客は一斉に逃げ出し大パニック。
まなぴょんが雪菜に電話する。
「ゆきぴょん〜小十郎さんは!?早く戻って来て〜」
慌てた様子で電話をして来たまなぴょんにただごとではないと感じた雪菜は……。
「どうしたの?何かあったの?」
「妖怪が店を襲って来てヤバいの〜!!」
「えぇっ!?分かった……ちょっと待ってて……」
雪菜は小十郎を探しに家を飛び出す。
「ああ、雪菜ちゃん危ないぞ!?」
「小十郎……どこ?」
雪菜は必死に小十郎を探す。
そして小十郎を見つけた。
「あっ、小十郎ー!」
「!ゆきぴょん殿危ないでござる!」
「それが、東京も大変なの……」
その時、大百足が毒液を吐いて攻撃して来た。
「危ない!!」
小十郎は雪菜を庇って覆いかぶさる。
だが、小十郎も毒液を浴びなかった。
「ん?」
振り向くと光姫が2人を庇って毒液を浴びていた。
「くっ……」
「美桜ちゃん!?」
「美桜殿!?」
「逃げ……て……」
光姫は倒れ変身解除。
「美桜ー!!」
月丸が慌てて駆け寄って来る。
「美桜!美桜!しっかりしろ!美桜ー!!」
月丸は美桜の名前を何度も何度も叫ぶ……。
だが……。
「兄……さん……後は……お願い……」
美桜は気を失った。
「美桜ー!!」
美桜を心配し激しく絶叫する月丸。
「美桜殿……すまぬ……」
「星影……貴様らのせいだぞ!!」
月丸は小十郎を激しく責立てる。
「美桜ちゃん……」
雪菜は泣き崩れる。
だが、悲しんでる時でも大百足の侵攻は止まらない。
「俺は戦いに戻る……美桜を……頼む……」
そう言って月丸は戦場に復帰。
「小十郎……どうしよう?」
雪菜が泣きそうになりながら小十郎に尋ねる。
そこに……。
「おい、小十郎!お前の刀直ったぞ!」
五郎が『星影丸』を持って出てきた。
「ゆきぴょん殿……美桜殿を頼むでござる……」
小十郎は立ち上がる。
「大百足は拙者が倒す!」
小十郎は五郎から『星影丸』を受け取る。
「星影-变化」
小十郎が星影に変身する。
「星影……参る!」
星影は大百足に挑み掛かる。
「フンッ……ようやく出てきたな星影……」
九尾がそう呟き大百足に星影を攻撃させる。
大百足は星影を目掛けて突進。
星影はそれを避け大百足の脚を斬り落とす。
星影は高くジャンプし空中で体勢を変える。
『奥義・神風斬』
空中で体を回転させその勢いで大百足の体を斬り裂く。
大百足は倒された。
「その大百足の体には毒の血清があるはずだ!急いで回収しろ!!」
月丸が仲間達に声を掛け橘流忍者達が血清を回収し始める。
「くっ……奴らを利用したかったが仕方ないか……」
九尾は姿を消す。
「小十郎!東京が危ないの!」
雪菜が駆け寄って来た。
「何?江戸の町が!?」
「どうしよう……ここから東京まではかなりあるし……」
「だったらバイクを使え。少しは早く着けるだろう」
そう提案したのは月丸。
「バイク!?あるの?」
「何じゃ?そのばいくとは?」
「あっ、ほら前に小十郎が乗った鉄の馬よ!」
「ああ!あれでござるか!なら!」
「バイクならある。今用意するよ」
そう言って来たのは里の若い1人の忍者だった。
星影は祠に眠る星武の馬具を呼び寄せる。
飛んで来た星武の馬具は里の忍者が用意してくれたバイクに装着される。
「助かったでござる」
そう言うと星影はバイクに跨がる。
「忍者の里でバイクに乗る侍って……なんか変な光景ね……」
雪菜はこの奇妙な光景を見て思わず呟いた。
「では参るでござる!頼むぞ星武」
星武の魂が宿ったバイクは自然に走り出す。
そこに月丸が戻って来た。
「奴は行ったのか?」
「あっ、うん……」
「そうか……これで血清が作れるはずだ。医者に持って行ってくれ」
月丸は大百足の体の一部を里の忍者に渡した。
「雪菜ちゃん、俺は奴と共に東京の西洋妖怪を倒しに行く。妹を頼めるか?」
「うん……私に何が出来るかは分かんないけど……」
「妹の側に居てやってくれ」
そう言って月丸は星影を追い掛けて東京に向かった。
「2人共……気を付けてよ……」
その頃、東京ではあちこちでゴブリンが破壊活動をしていた。
「チッ……西洋妖怪め……好き勝手に暴れやがって……」
鬼童丸と雪女がその様子を見ていた。
「鬼童丸様、九尾は橘流忍者の里の襲撃に失敗した様です」
「そうか……奴が戻って来るまで待っては居られねぇ……先に戦闘を始めるぞ……日本妖怪の底力を見せてやる!!」
鬼童丸は雪女を引き連れてゴブリンに攻撃を開始した。
「オラァァァ!!西洋妖怪覚悟しやがれ!!」
鬼童丸がゴブリン達を襲撃。
雪女も口から冷気を吐き出しゴブリン達を凍らせる。
「やれやれ……日本妖怪め……また懲りずに……」
「面白い……ゴーレム、遊んでやれ」
ディボルグの命令でゴーレムが戦いに参加。
「フンッ、出やがったな……図体がでけぇのはおめぇだけじゃねーんだよ!!」
鬼童丸は見上げ入道を呼び出した。
見上げ入道は日本妖怪の中でも巨大な姿をした妖怪、巨人ゴーレムと互角に戦う。
「チッ……」
ディボルグは思わぬ見上げ入道の出現に舌打ち。
妖怪同士が激しい戦いを繰り広げているとようやく星影が到着。
「そこまででござる!!」
「星影!」
「ん?お前は鬼童丸!?何故お前自ら……」
「星影?奴がオークを倒したサムライと言う訳か……」
ディボルグは星影を見て呟く。
「星影、丁度良い……今日ばかりは手伝え!西洋妖怪をぶちのめすぞ!」
「何っ!?貴様らと手を組めと申すか!?」
「馬鹿野郎!こっちだって願い下げだ!だがな……これ以上西洋妖怪の好きにさせる訳には行かねぇだろう……」
「仕方ない……今回だけでござるよ」
星影と鬼童丸は今回だけは手を組んで西洋妖怪と戦う事に……。
「フンッ……面白い……日本の妖怪は敵とも手を組むか……それ程我らを脅威と捉えてる様だな……それなら……我々も本気を出すとするか……」
ディボルグは真の姿に変身。
ディボルグの正体、それは西洋妖怪を纏め上げる程の強大な闇の力を持つ悪魔、サタンだった。
「これが……奴の本当の姿か……」
星影もサタンの姿を見て驚愕する。
そして、サタンが右腕を空に掲げると空が闇に覆われた。
「フッフッフッ……闇の中でこそ西洋妖怪は力を発揮する……」
タキシード姿の男は日傘を閉じ前に出る。
「ありがとうございますディボルグ様……闇の中なら私も戦えます」
そう言うとタキシードの男も本来の姿に変身。
その正体はドラキュラだった。
そして筋肉質の男も……。
「ディボルグ様、俺も!」
「ああ……」
サタンが懐から取り出したのは金色に輝く球体。
それを空に放り投げる。
アウォーン!!
筋肉質の男は遠吠えを発し本来の姿、狼男に変身。
そう、サタンが放った球体は擬似の満月だった。
「さぁ……狂乱の宴を始めようか」
いよいよ西洋妖怪達が本領を発揮する。
「フンッ……闇を好むのは日本の妖怪だって同じだ……行くぞ!!」
鬼童丸と雪女も戦闘体勢に入る。
「星影……参る!」
星影も『星影丸』を構える。
いよいよ星影と日本妖怪、そして西洋妖怪が激突する!
果たして日本はどうなってしまうのか!?
続く……。
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