西洋妖怪
第12話「新たな敵」
雪菜がまなぴょんと約束していた日曜日。
まなぴょんが雪菜の家に遊びに来た。
「こんにちはー!」
「いらっしゃい!上がって上がって!」
雪菜がまなぴょんを家に招き入れる。
「おおー!まなぴょん殿、久しぶりでござるな!」
「小十郎さんおひさ〜」
小十郎もまなぴょんを迎える。
小十郎とも言葉を交わすまなぴょん。
雪菜と小十郎はまなぴょんを小十郎の部屋に通す。
「へぇ〜ゆきぴょんのお兄ちゃんの部屋を借りたんだ〜」
「そうでござる!ゆきぴょん殿には世話になってるでござる」
その頃、酒呑童子を失った妖怪達は……。
「クソッ……酒呑童子……」
九尾が悲しんでいた?
「なぁんて……馬鹿な奴だ……」
いや、違った……。
鬼童丸に呼ばれ九尾と雪女が集まる。
「鬼童丸様、お呼びで?」
「来たか、九尾、雪女……」
「酒呑童子の件……でしょうか?」
雪女が尋ねる。
「いや……奴の事はもういい……それより只ならぬ妖気を感じる……」
「妖気?我々以外にですか?」
九尾が聞き返すと……。
「ああ……この妖気は……奴らの物だな……」
鬼童丸の言う奴らとは……?
小十郎、雪菜、まなぴょんの3人は外へ出掛ける事にした。
小十郎はとにかく雪菜とまなぴょんに付いて行く。
「どこに行くでござるか?」
「ん〜?じゃあ今日は小十郎がまだ知らないJKの必須アイテムを買いに行くよ!」
「じぇいけーの必須あいてむ?何ぞそれは?」
「良いから良いから!」
そして雪菜達が小十郎を連れて行ったのは……。
雪菜の家の最寄り駅の所にあるキッチンカーで販売しているクレープ屋だった。
「ん〜……甘い良き香りがするのぉ……」
「これがJKの必須アイテムのクレープよ!超美味しいから!」
雪菜とまなぴょんが小十郎の分も買ってくる。
「ほぉ……これがくれーぷなるものか……」
「まぁ、食べてみな!」
「では頂く……」
「あっ!ちょっと待った!」
雪菜がストップを掛ける。
「何じゃ?」
「ごめんごめん、小十郎の初クレープだもんね、写メっとこ!」
「あー!あの便利な板でござるな!」
(スマホの事かな……?)
まなぴょんがそう思いながら2人を見守る。
雪菜がスマホを取り出し3人がフレームに入る様に位置を合わせる。
「じゃあ、せーので食べるポーズね!せーの!」
雪菜の合図で3人が同時にクレープを食べる写メが撮れた。
「めっちゃいいじゃん!インスタに上げよ」
そう言って雪菜はスマホを操作し始める。
「何じゃ?そのいんすたとは?」
「ん〜……なんて説明したらいいかな〜……」
「ゆきぴょん殿!拙者もその板欲しいでござる!」
「え?スマホ?」
「そうでござる!」
「ん〜……まぁ、あった方が便利だしね。バイト代入ったら考えよう」
「うむ!」
「侍がスマホ……んなアホな……」
まなぴょんはちょっと驚いていた。
雪菜は撮った写真をインスタにアップした。
「よ〜し……これ結構いいね来るんじゃね?」
「そういえば最初に小十郎さんに会った時もウチらこんな事してたっけ!」
「あ〜!そうだったねぇ〜懐かしい〜」
雪菜が共感していると……。
「ついこの前ではないか……」
「まっ、いいじゃん!小十郎、どう?クレープは?」
「うむ!とても甘いのぉ……美味なり!」
小十郎は初めて食べたクレープを気に入った様だ。
その時!
「!……妖気……」
「え?また?」
「また妖怪って事?」
「いつもとは違う気配……こっちでござる!」
小十郎は急に走り出す。
「あっ!小十郎、待ってよ〜!」
雪菜とまなぴょんも小十郎を追い掛ける。
小十郎が走った先に居たのは……。
豚の様な頭の鬼が人々を襲い暴れていた。
「何アイツ!?」
「アレは……西洋妖怪か!」
暴れていたのは西洋妖怪のオークだった。
「西洋妖怪?」
雪菜が尋ねると……。
「ああ……日の国には存在しないはずの妖怪が何故……」
「とにかく止めないと!」
「あっ!そうであった!」
小十郎は『星影丸』を取り出す。
「星影-变化」
星影が登場。
オークの前に現れる。
「何だお前は?」
「拙者は星影!貴様は西洋妖怪だな!」
「え?ってか日本語?」
「フンッ……俺様は西洋妖怪のオークだ!邪魔する奴はぶっ殺すぜぇ……」
「星影……参る!」
星影はオークに斬り掛かる。
だが、オークは手に持っていた斧で反撃。
「ぐあっ!?」
星影は弾き飛ばされる。
オークは星影に近付き斧を振り上げる。
そして力いっぱい振り下ろす。
星影は『星影丸』で受け止める。
だが、オークのパワーで振り下ろされた斧の強い衝撃で星影はダメージを受ける。
「ぐあっ!?」
「ハッハッハッ!何時まで保つかなぁ?」
オークは何度も何度も斧を振り下ろし続けた。
「ぐっ……このままでは……」
次第に『星影丸』にヒビが入り始める。
「おのれ……」
「ちょっと……小十郎ヤバいんじゃない……」
雪菜達が心配そうに見守る。
「オラッ!!オラッ!!日本のサムライってやつも大した事ねぇなぁ!!サムライスピリッツって奴を見せてみろよ!!」
オークは攻撃を続けながら星影を煽る。
「くっ……貴様……」
その時、クナイが飛んで来てオークを攻撃した。
「誰だ?」
オークが振り返った先に立って居たのは月丸と光姫だった。
「橘流忍者、月丸」
「同じく光姫」
「ニンジャ?ほぉ……お前らがニンジャか!戦ってみたいと思ってたんだ……」
「行くぞ!」
月丸がオークに攻撃を仕掛ける。
背中の『月光丸』を抜いて斬りかかった。
だが、オークは斧で攻撃を受け止める。
「フンッ!そんな物か……」
その隙に光姫が後ろに回り込み『火遁・火炎舞の術』
「豚の丸焼きにしてやれ!」
「ぐわぁぁぁぁっ!?」
オークは炎を振り払った。
「ハァ……ハァ……くっ……」
「チッ……倒せなかったか……」
「テメェら……調子に乗るんじゃねぇ!!」
オークが斧を振り回し再び暴れ始めた。
斧で月丸を攻撃。
しかし、月丸は『変わり身の術』で回避。
星影も体勢を立て直す。
「星影さん大丈夫?」
光姫が尋ねる。
「ああ……だが、星影丸が……」
星影はヒビの入った星影丸を見て言った。
「おい!ボサッとしてないでこっち手伝え!!」
月丸の声が響く。
「あっ!ごめん兄さん!」
光姫が戦線復帰。
橘兄妹が連携してオークと戦う。
「オーク……拙者の星影丸を……許さん!」
星影は『獄炎丸』を取り出す。
『獄炎武装』
星影は地獄の炎の甲冑を身に纏った。
そしてゆっくりとオークに近付いて行く。
「出た!小十郎の新しい力!あっ!そうだ!写メ写メ……」
雪菜はスマホを取り出す。
「え?何?どうしたの?」
まなぴょんは訳が分からず戸惑う。
オークは橘兄妹を弾き飛ばす。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「ん?……何だサムライ?まだやる気か?」
オークが星影の方を向く。
「西洋妖怪……貴様の悪事もここまでだ……」
「あん?」
『奥義・業火一閃』
星影の必殺技がオークを斬り裂いた。
「ぐあっ!?」
「邪鬼……退散!」
「おのれ……日本のサムライめ……だが……西洋妖怪軍団が既にこの国に上陸している……貴様らに……勝ち目は……無い……」
オークは倒された。
「西洋妖怪は……奴だけでは無いと言う事か……」
戦いの後、小十郎はヒビの入った星影丸を見つめる。
「星影丸……ゆきぴょん殿、この時代に腕の良い刀鍛冶はおらんか?」
「え?いや、知らない知らない!」
「そうか……」
「刀鍛冶なら俺達橘流忍者の刀の手入れをしてくれてる鍛冶屋を紹介してやるよ」
そう言ってきたのは来人だった。
「本当でござるか!頼むでござる!」
「あの〜……状況が良く飲み込めないんですけど……」
そうまなぴょんが手を上げて言った。
「あ……ごめんまなぴょん……ん〜どっから説明すれば良いのかな〜?」
「てかさ、橘美桜ちゃんだよね?」
「ええ……」
「何でこんな所に居るの?しかも忍者ってどういう事??マジで意味不なんですけど!?」
混乱するまなぴょんに順を追って説明。
「へぇ〜そうだったんだ〜小十郎さんが妖怪と戦う侍って事は知ってたけど、ウチの知らない間にそんな事になってたなんて……」
「ごめんね、まなぴょん……」
雪菜がまなぴょんに謝る。
「良いって良いって!てかウチが居ても別に役に立つこと無いしさ」
「そんな事無いでござるよ」
「え?」
「拙者の事、一人でも理解して頂ける者がおって嬉しいでござる。まなぴょん殿、これからも宜しくお頼み申す」
「小十郎さん……うん!」
この日、小十郎とまなぴょんも絆が深まった気がした。
「ところで美桜ぴょんって呼んでいい?」
まなぴょんが尋ねる。
「美桜ぴょん……まぁいいけど」
「やった!じゃあ決まり!宜しくね!美桜ぴょん!」
「フッ……友達が出来て良かったな美桜」
「兄さんうるさい!」
「宜しくでござる美桜ぴょん殿!」
「貴様は調子に乗るな!!」
「何ででござる!?」
小十郎はここに出来た仲間達と共に新たに現れた敵、西洋妖怪との戦いに挑む。
その頃、鬼童丸達は……。
「西洋妖怪……奴らの好きにさせる訳に行かないな……」
鬼童丸達も何やら動き出す様だ……。
続く……。
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