第9話「酒呑童子の大逆襲」

鵺を倒す為に星影と橘兄妹は協力して戦う事に。

「月丸殿、光姫殿、行くでござる!」

「おう!」

「了解!」

3人は散り散りになり各方面から攻撃し鵺の気を逸らす。

鵺が星影に攻撃を仕掛けて来た。

「今だ!」

月丸は鵺に一気に接近し『月光丸』を突き刺す。

『雷遁・雷落とし』

月丸は忍術で『月光丸』に雷を落とし鵺に電撃を浴びせる。

更に光姫がクナイを投げ攻撃。

今度は鵺にダメージを与えられている様子。

星影は必殺技を発動。

『奥義・星影一閃』

星影が鵺を斬り裂く。

遂に鵺は倒された。

「チッ……鵺程の妖怪でもダメなのか……」

酒呑童子は姿を消す。


「よし!」

戦いを終え星影、月丸、光姫の3人が集まる。

「やったね!」

光姫が嬉しそうに言う。

「うむ!お主達のお陰でござる!」

「ったく……ヒヤヒヤさせやがる……」

「でも最後は見事なコンビネーションだったんじゃない?」

「こんびねーしょん?……なんだか分からんがとりあえず良かったでござる!」

「フッ……帰るぞ美桜」

月丸は変身を解除して帰って行く。

「あっ、待ってよ兄さん〜」

光姫も変身を解除して兄を追い掛ける。


「さて、拙者も戻るでござる」


バイト先のコンビニに戻ると雪菜が待っていた。

「あっ、小十郎大丈夫?どんな感じ?」

「うむ、橘の忍者のお陰で妖怪は倒せたでござる」

「そっか、ウチももうすぐ上がりだならもうちょい待ってて」

「うむ、心得た」


その頃、酒呑童子は……。

「この愚か者!!」

「お……お許し下さい……鬼童丸様……」

「黙れ!!この役立たずが!!鵺程の強力な妖怪を連れて奴らに勝てなかっただと!?ふざけた事を吐かすな!!」

「どうかお許しを……」

「貴様の顔など見とうない……さっさとこの場から立ち去れ!!」

鬼童丸の逆鱗に触れ叱責されていた。

(ぐっ……星影め……橘の忍め……奴らの……奴らのせいだ……)


バイトを終え帰路に着く小十郎と雪菜。

その道中、小十郎は橘兄妹の事を考えていた。

橘兄妹は自分が妖怪の封印を解かせてしまったせいで戦いに加わる事になってしまった。

橘兄妹はそのせいでこの先の人生を自由に選べないかも知れないと……。

そんな事を考えていると雪菜が声を掛けて来た。

「ねぇ、小十郎聞いてる?」

「え?な……なんじゃ?」

雪菜は何度も声を掛けていた様だ。

「だから……今度の連休バイトの休み取って家族で出掛けようって話になってるの!だから小十郎も休み取ってよね」

「あ?ああ……良く分からんが……分かった……」

「まったくもぉ……」

そんな会話をしながら家に到着。

雪菜は今度のゴールデンウィークに家族旅行の計画を立てていた。

そして、小十郎もそれに誘うつもりでいた。

それは雪菜なりの家族として迎え入れる心遣いなのかも知れない。

小十郎はそれが凄く嬉しかった。


-翌日-

雪菜はいつも通り学校へ行き、小十郎もバイトに出掛ける。

雪菜は学校で朝からまなぴょん、りりぴょんと談笑している。

「でね、昨日小十郎がさ〜」

「雪菜、最近小十郎さんの話ばっかりしてるよ?」

「好き過ぎかって」

「え?そ……そうかな〜?そんな事ないよ〜」

まなぴょんとりりぴょんにからかわれる雪菜。

「あっ、でもウチらも最近小十郎さんに会ってないし、今度の日曜日、雪菜ん家行っていい?」

そうまなぴょんが言い出す。

「そっかしばらく会ってないっけ?いいよ!小十郎も大分生活に慣れて来たみたいだし」

「オッケーじゃあ決まり!りりぴょんも行くでしょ?」

「あっ、ごめ〜ん……日曜日はウチ彼氏とデートなんだ〜」

「あ〜……出た〜りりぴょんの彼氏自慢……しゃーない……じゃああんたは彼氏君とイチャイチャしてなさい」

「も〜何その言い方〜」

そんな話をしながらもまなぴょんが日曜日に遊びに来る事が決まった。


その頃小十郎は、バイトを小田に色々教わりながら少しずつこなしていた。

「お疲れ、巽君バイト慣れた?」

「小田殿、お疲れ様でござる!いや〜まだまだでござる」

「そっか、まぁ焦らなくていいから少しずつ覚えて行きな。コンビニのバイトなんてある程度適当でいいからさ」

「小田君、今のどういう事かな?」

「うわっ!?店長!?聞いてたんすか!?」

「小田君ももう少し巽君を見習って真面目になってくれると嬉しいんだけどな〜」

「いや……新人にはこれ位気楽に思ってもらった方が緊張しなくていいかと……」

必死に弁解する小田。

「まっ、いいけど……小田君、表を掃いて来てくれるかな?」

「はい!」

小田は急いで箒とチリトリを持って表の掃除に行く。

「巽君、昨日門倉さんから聞いたけど、ゴールデンウィークの休み君はどうする?一緒に住んでるならやっぱり休み合わせた方がいいよね?」

「その……ごーるでんういーくと言うのは分からぬが……ゆきぴょん殿が休みを取ってくれと言ってたでござる」

「ゴールデンウィーク知らないの!?まっ、いいやそれなら門倉さんと合わせておくよ」

「かたじけない」

小十郎は何だか分からない内に休みが取れそうだ。


小十郎がバイトをしている頃、酒呑童子は新たな動きをしていた。

「星影め……橘の忍め……こうなったらこの術で……」

そう言って酒呑童子は何やら巻物を手に取る。

「酒呑童子……何をしている?」

そこにやって来たのは九尾。

「九尾か……鬼童丸様のご機嫌を戻すには星影達を倒すしかない……」

「!その巻物はまさか!?」

「ああ……奥の手だ……」

「しかし、それは禁術……それを使ってしまえばお前の命は!?」

「構わん!奴らを倒せるなら……」

酒呑童子は命を掛ける覚悟で妖怪達の世界に伝わる禁術の奥義を使おうとしていた。


その日の夜も、バイトを終え小十郎と雪菜は一緒に帰っていた。

「店長ウチらの休み合わせてくれるって!良かったね!」

「うむ、そうでござるな……ところで……ごーるでんういーくとは何じゃ?」

「あ、そっか小十郎まだゴールデンウィーク知らないんだ……」

雪菜は小十郎にゴールデンウィークの説明をする。

その時、小十郎は妖気を感じた。

「!妖気……それもとてつもなく強い……」

「どうした?」

「見つけたぞ星影!!」

酒呑童子がいきなり現れた。

「妖怪!?」

「酒呑童子!?貴様か……しかし……拙者が感じた妖気はお前の物でもない……」

「それは恐らくコレだろう……」

酒呑童子は禁術の巻物を見せた。

「何だそれは!?」

「300年前は使わなかったからな……お前も知らないだろう……まっ、これは後のお楽しみだ……橘の忍が来てからのな……」

「どういう事だ?」

「まぁ……とりあえず……戦おうぜ!!」

酒呑童子は襲い掛かって来た。

「ゆきぴょん殿逃げろ!」

小十郎は咄嗟に雪菜を突き飛ばす。

「きゃっ!?」

小十郎もジャンプで酒呑童子の攻撃をかわす。

酒呑童子は小十郎に向けて火を吐く。

「星影-变化!」

小十郎は星影に変身し反撃。

だが、その攻撃は酒呑童子に受け止められる。

「フンッ……」

「今日は手下の妖怪が居ない様だが?」

「必要ねぇのさ!お前達を倒すにはなぁ!!」

酒呑童子は更に怒涛の攻撃を仕掛けて来る。

「小十郎大丈夫?」

雪菜が心配し声を掛けて来る。

「ゆきぴょん殿……逃げろ!早く……逃げるでござる!」

酒呑童子の止まない攻撃に星影は追い詰められる。

そこへ酒呑童子に向かって手裏剣が投げられる。

「ぐっ……来たか……」

酒呑童子が振り向くとそこには月丸と光姫がいた。

「酒呑童子……幹部クラスか……ここで潰しておくと後が楽だな……」

「もう!兄さん楽観的過ぎ!油断しないで!」

光姫が文句を言う。

「分かってるって……行くぞ!」

月丸と光姫はそれぞれ『月光丸』と『日光丸』を手に酒呑童子に斬り掛かる。

だが、酒呑童子はそれをかわす。

「フンッ!ようやく3人揃ったな……纏めて地獄に送ってやる!!」

酒呑童子は禁術の巻物を広げた。

「何だ?」

「これは妖術の中でも強力過ぎて禁術になっている術だ……これを食らって生きて帰った者など居ない!!」

『禁術・地獄落とし』

巻物から穴が発生し星影達を吸い込もうとする。

「うわぁぁぁぁっ!?な……何だ!?」

その強烈な風に耐え切れず星影、雪菜、月丸、光姫の4人は巻物の中へ吸い込まれてしまった。

そして酒呑童子も……。

「うっ……うわぁぁぁぁっ!?」


「酒呑童子め……あの禁術を……」

鬼童丸も酒呑童子が禁術を使った事を感じ取った。

「酒呑童子は星影達を倒す為、命を掛けたのです……」

「九尾……知っていたのか……」

「ええ……」

「フンッ……まぁいい……見せて貰おうじゃないか……酒呑童子の覚悟ってやつを……」


続く……。

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