第8話「忍者兄妹」

新たに妖怪退治に参戦した橘流忍者の兄妹、来人と美桜。

この2人の登場により何が起こるのか……?


そんな2人が現れた戦いの翌日、雪菜は普段通り学校に来ていた。

雪菜はまなぴょん、りりぴょんと共にいつもの様に談笑する。


チャイムが鳴り席に着くと担任の先生が入って来てホームルームが始まった。

「皆、おはよう。今日からこのクラスに新しい仲間が加わる事になった。仲良くしてやってくれ」

そう言って先生が転校生を教室に招き入れる。


その転校生とは……。

「初めまして。橘美桜です!宜しくお願いします」

美桜だった。

ニッコリと笑った彼女に拍手が巻き起こり直ぐにクラスに受け入れられた様だ。


特に美桜は可愛く男子生徒には大人気となった。

休み時間になるとクラス中が美桜を囲んで質問攻めを始めた。

美桜の噂を聞き、別のクラスからも生徒が見に来ていた。


その頃、小十郎はバイト初日。

バイト先のコンビニに到着していた。

「それじゃあ、今日から宜しくね巽君」

店長の鈴木が軽く声を掛ける。

「こちらこそ宜しくお頼み申すでござる」

「巽君……その喋り方だけは何とかした方がいいな……」

「何故でござるか?」

「今時そんな喋り方をしてるとふざけてると思われてしまうからね」

「そんな!?拙者はふざけてなどおらぬ!」

「うん……分かるんだけど……お客様はそうは思わないかも知れないし……」

「う〜ん……分かったでござる!拙者も武士、鍛錬するでござる!」

(うん……全然分かってない……)

鈴木はそう思いながらもとりあえず様子を見る事にした。


その頃、学校では……。

授業が始まって居た。

数学の授業だ。

「じゃあ、この問題を……門倉!解いてみなさい」

「えーっ!?ウチ!?……分かりません……」

「はぁ……もういい……座りなさい……じゃあ……橘」

「はい!」

美桜は前に出て黒板にすらすらと答えを書く。

「おおー!正解だ」

美桜は勉強も出来た。

更に……。

続いて体育の時間。


女子は体育館でバスケットボール。

美桜は華麗なドリブルで雪菜達のディフェンスをかわし見事ダンクシュートを決める!

流石に運動神経は抜群だ。


「おおー!」

男子達も応援している。

「コラァ!!男子!サボってないでこっちこーい!!」

男子の先生も怒鳴り声が聞こえる。


一方、コンビニでバイトをする小十郎は……。

「え〜っと……確か……ここを押して……」

レジに苦戦し行列が出来てしまっていた。

「巽君、ここは私がやるから君は品出ししといて……」

鈴木がレジを代わる。


しかし、品出しに出た小十郎にもお客は容赦なく問合せをする。

商品の事やコピー機の使い方など……。

その度に店長に助けを呼ぶ小十郎。

「店長〜」

「はぁ……助けて欲しいのは私の方だよ……」


お昼が過ぎた頃、ようやく忙しさのピークを抜け休憩に入る小十郎。

「店長、色々ご迷惑をお掛けしたでござる」

小十郎は店長に頭を下げた。

「いやいや、最初は皆そんなもんだよ」


そこへアルバイトの小田が入って来る。

「店長〜またあの島田っておばさんが店長ご指名でーす」

「あ〜はいはい。小田君、そんな言い方しないの。あっ、そうだ!小田君、今日から入った巽君なんだけど、色々教えてあげてくれる?」

「へーい」

そう言って鈴木は店の方に出ていく。


「俺、小田ってんだ。宜しく」

「巽小十郎でござる!宜しくお願い申する」

「何それっ!?巽さんウケるね。え?いくつ?」

「拙者は十八でござる!」

「え?マジ!?年下かよ……まぁ、いいや。分かんない事あったら聞いて」

「では早速でござるが……」

小十郎と小田は話始めた。


その頃、妖怪達は……。


「橘の忍びか……奴らと現代でも一戦交わる事になるとはな……」

「鬼童丸様、次は俺が行きます!橘の忍びも星影も纏めて叩き潰してやる!」

そう言って酒呑童子が意気込む。


「そうだな……やってみろ……」

「御意……」



そして夕方、学校が終わった雪菜はバイトに向う。

「小十郎大丈夫かな〜……小十郎の尻拭いさせられたりして……」

雪菜がバイト先のコンビニに到着すると……。


「ここをこうやって……」

「ふむふむ!」

「おっ!そうそういいじゃん!」

「小田殿のお陰でござる!」

「んなこと無いって!小十郎超覚えるの早いじゃん!」

小十郎と小田はめちゃくちゃ仲良くなっていた。


「なんか……大丈夫そうね……」

「あっ!門倉さんお疲れ様」

「あっ、小田さんお疲れ様でーす」

「ゆきぴょん殿!お帰りでござる!」

「あ……うん……ただいま……」


そして、雪菜も準備をして小田と交代する。

「じゃ、俺上がるから」

「小田殿、ご指導感謝するでござる!」

「あーいいからいいから……また何かあったら聞いて〜」

そう言って小田は帰って行く。


「さて、小十郎ももうちょっとで上がりだね。先帰ってる?」

「いや、ゆきぴょん殿を待ってるでござるよ」

「そう?でもウチ今入ったばっかりだから時間掛かるよ?」

「大丈夫でござる!」


その頃、街で酒呑童子が動いていた。

「さて……まずは星影と橘の忍と誘き出すか……」

酒呑童子は妖怪鵺(ぬえ)を街で暴れさせ始めた。

鵺は猿の頭にたぬきの胴体、トラの手足にヘビの尻尾をもつ異形の姿をした妖怪だ。

そして鵺はとても凶暴で目に付く物を片っ端から破壊し始めた。

その巨体で車を踏み潰し逃げ惑う人々に襲い掛かる。


「!妖気……」

小十郎は妖気を感じ取った。

「小十郎……もしかして妖怪?」

「うむ……」

「分かった……店長にはウチが上手いこと言っておくから行って」

「ゆきぴょん殿かたじけない」

小十郎は店を飛び出して行った。


「ハッハッハッハッ!暴れろ暴れろ!人間共に存分に恐怖を与えてやれ!!」

酒呑童子は鵺を煽る。


その頃、橘兄妹も妖怪の出現を察知し現場に向かっていた。


「兄さん、かなり強い妖気を感じる……」

「ああ……中々強力な奴がお出ましみたいだ……」


橘兄妹が先に現場に到着。

「うわっ……デケェな……」

「あれは確か……鵺……」

「やっぱりかなりの大物だったな……行くぞ!美桜」

「了解!」

橘兄妹は印を組み『忍装(にんそう)』これは橘流忍者の変身の合図だった。

橘兄妹は月丸と光姫に変身した。

「行くぞ!」

「了解!」

月丸が鵺に攻撃を仕掛ける。


「ほぉ……橘の忍か……面白い……」

酒呑童子は月丸達と鵺の戦いを高みの見物。


月丸は背中に背負った刀を抜いた。

月丸の刀は『月光丸』。

月丸は鵺に斬り付ける。

だが、鵺には通じず払い除けられる。

「くっ……」

光姫が『手裏剣』を投げ援護する。

だが、その『手裏剣』も鵺には弾かれる。


鵺の反撃。

光姫に向かって突進してくる。

「美桜ー!?」

月丸が叫ぶ。

鵺は光姫に容赦なく突進。

だが、光姫は『変わり身の術』で攻撃をかわす。

「ふぅ……ったく……ヒヤヒヤさせやがる……」

月丸は一安心。


そして光姫の反撃。

光姫は背中の刀『日光丸』を抜いて斬り掛かる。

だが、その攻撃も鵺は弾き返す。

「くっ……兄さん、アイツ攻撃を全然寄せ付けないよ……」

「どうするか……」


そこへ小十郎が到着。

「橘の忍……もう来ておったか……」

小十郎も『星影丸』を構える。

「星影-变化」

星影登場。

「星影……参る!」

星影も戦いに加わり鵺に攻撃する。

「星影も現れたか……」

酒呑童子は相変わらず高みの見物をしている。


「星影!やっと来やがったか……ったく遅ぇんだよ!!」

月丸は相変わらずの態度だ。

「すまぬ、バイトに行っていたものでござるから」

「バイトぉ!?侍がバイトしてんのか!?」

月丸は驚きを隠せない様子。


「しかし……鵺か……手強い相手が現れたものだな……」

「ええ、私達も苦戦してるの……」

「バカっ!苦戦なんてしてねぇて!!これから本気出す所だよ!」

「うむ!では行くぞ!!」

「お前が仕切んな!!」

3人はそれぞれ攻撃を仕掛ける。


しかし、3人の連続攻撃にも鵺は怯まず反撃して来る。

鵺の怒涛の攻撃を受け3人は大苦戦する。

光姫の『火遁・火炎舞の術』

鵺は口から炎を吐き光姫の術と相殺。

「ダメだ……俺達の攻撃が全く通用しねぇ……」

そう言う月丸に対して星影は……。

「個々で戦っていてはダメだ……我ら3人の力を合わせるでござる!」

「はぁ?テメェと協力だと?ふざけんな!」

「兄さん!」

「チッ……しゃあねぇーな……今回は協力してやるぜ!」

月丸も力を合わせる気になり3人で鵺と戦う事を決意。


しかし、この強敵鵺に勝つ事は出来るのだろうか?


続く……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る