第5話「刀を求めて」

ショッピングモールに現れたがしゃどくろと星影が対峙。

「星影……参る!」

星影は『星影丸』を構えがしゃどくろに挑む。

だが、がしゃどくろは妖怪の中でも巨大な妖怪……。

星影はどう戦うのか……。

星影は高くジャンプし、がしゃどくろに斬り掛かる。

がしゃどくろも星影に攻撃。

お互いの攻撃がぶつかり星影はその衝撃で弾き飛ばされる。

「ぐわっ!?」

「フッフッフッ……星影……300年の恨み晴らしてやる!やれ、がしゃどくろ!」

雪女はがしゃどくろに指示を出す。

がしゃどくろは星影にトドメを刺そうと攻撃。

だが、星影は一瞬早く反応し攻撃をかわす。

そして再び高くジャンプ。

「チッ……だが、空中では身動き取れまい……格好の的だ!」

がしゃどくろが星影に攻撃。

「身動きの取れない空中でも使える技がある……お前はそれを知るまい!」

「何っ!?」

星影は空中で構えを変える。

必殺技が発動。

『奥義·疾風大車輪』

星影は風の力を利用し縦回転を始める。

するとその勢いのままがしゃどくろに斬り込む。

風車の様に回転する刃ががしゃどくろの骨を砕いて行く。

星影は地面に着地。

「邪鬼……退散!」

がしゃどくろは倒された。

「くっ……おのれ星影〜」

「雪女!次は貴様だ!」

「くっ……勝負はまた今度だ」

雪女は姿を消した。

「逃げおったか……」

星影は变化を解除し小十郎の姿に戻った。

がしゃどくろが消滅した事により捕まっていた人々は解放された。

もちろん敏也も。

「雪菜!」

「パパ!」

無事に雪菜と再会出来た敏也。

「小十郎君、ありがとう。君のお蔭で助かったよ」

「いや、拙者は何もしてござらん……」

「あの星影って人にも感謝しないとな」

「え?」

(あれ?パパもしかして気づいてない?)

雪菜な心の中で思ったが口には出さないでおいた。


そして……それから3日後……。

雪菜の家にて……。

「さぁ、小十郎君、今日からこの部屋を使ってくれ」

「かたじけない。世話になるでござる」

なんと敏也は小十郎の居候を承諾していた。

そして、小十郎の引っ越しの日……

と言っても荷物は『星影丸』と雪菜達がプレゼントした服だけだが。

「ここはお兄ちゃんの部屋なんだけど、お兄ちゃん今居ないし連絡したら使って良いって言ってくれたからさ遠慮なく使ってよ!」

「なんと!ゆきぴょん殿の兄上の!それは本当にかたじけない、大事に使わせて頂く。所で兄上はどちらに?」

「お兄ちゃんは大学生で大学の近くで一人暮らし始めたから」

「ほぉ……そのだいがく?とはなんじゃ?」

「ん〜まぁ、勉強する所ね」

「なるほど!寺子屋か!」

「ちょっと違うけど……まぁ、いいか……」

そして、ここから小十郎の新生活が始まる。

「さて、それじゃあ生活に必要な物を揃えないとね」

「そうだな。また買い物に行かないとな明日行って来なさい。パパは仕事で行けないがママが車出してくれるだろう」

「うん!何が必要かな〜?」

「ゆきぴょん殿……拙者は……刀が欲しい」

「え?あっ……そっか警察に没収されたままだもんね……でも難しいかも……」

翌日、小十郎は雪菜の学校が終わるのを待って一緒に警察署に向かった。

しかし、現代の日本には勿論法律があり正式な手続きをしなければ刀を持つのは難しい。

ましてや一度刀を振り回した事のある小十郎にその許可が降りるのは尚難しいだろう。


小十郎と雪菜は必死に頼み込んだがやはり取り合っては貰えなかった。

署長が土蜘蛛の時の一件の活躍で小十郎の事を許しており逮捕までは再びされる事はないが刀を返して貰う事までは出来なかった。

すっかり落ち込む小十郎……。

無意識にため息が出る。

「ねぇ、小十郎あの刀そんなに大切なの?」

「当然でござる!刀は武士の魂!」

「星影丸があるじゃない」

「それはそれこれはこれじゃ!」

(なんなのその謎のこだわり……)


一度家に帰り恵子と共に買い物に出掛ける小十郎と雪菜。

「二人共準備はいい?」

「小十郎、酔い止めの薬飲んだ?」

「うむ、大丈夫じゃ!」

「うんオッケー!」

「じゃあ出発するわね」

恵子の運転で出発。

この前のショッピングモールはがしゃどくろの襲撃で被害が出てしまった為、3人は少し離れたデパートに行き小十郎の物を買い揃える。

「とりあえず生活必需品は買ったから……後は着替の服を買わないとね」

「そうね……着物って訳には行かないけど、ある程度は必要よね……」

小十郎は恵子と雪菜にただただ着いていく。

「ねぇ、小十郎服を見に行こっ!」

「え?いや……拙者は……」

「遠慮しなくて良いから!」

雪菜は小十郎を引っ張って行く。

「あの2人仲良いわね……」


その頃、妖怪達は……。

「まったく、期待外れも良いところだ!」

「も……申し訳ありません鬼童丸様……」

前回のがしゃどくろを使った作戦で星影を倒せず逃げ帰って来た雪女に鬼童丸はご立腹の様だ。

「一刻も早く恐怖を集めたいと言うのに貴様ら揃いも揃って!!」

「き……鬼童丸様、次は俺が行きます!今度こそ星影を倒し人間共に恐怖を与えて参ります!」

酒呑童子が進言する。

「酒呑童子……何か策はあるのか?」

「俺の戦い方は力あるのみ!圧倒的な力で星影を倒してご覧に入れます!」

「はぁ……それは策とは言えんだろう……」

九尾は横で少々呆れている。

「フンッ……一度の敗北で滅気ないのがお前の良い所だ……面白いやってみろ」

「御意!」

酒呑童子が出撃する。


その頃、デパートでは小十郎はファッションショー……

いや、着せ替え人形状態だった。

「ゆきぴょん殿もう良いのではないか?」

「何言ってんの!まだまだ!」

ゆきぴょんは妙に張り切っていた。


「フンッ……人間共の町など……燃やし尽くしてやるわ!行け!火車!」

火車(かしゃ)それは水車の炎バージョンの様な妖怪。

その中央には顔があり顔の周りの車は炎が燃え盛っている。

「お任せ下さい酒呑童子様!さぁ、暴れるぜー!!」

火車は自身を回転させ走り出した。

火車の走った跡は炎が燃え残る……。

街はあっと言う間に火の海となった。


「!妖気……」

小十郎は妖気を感じた。

「え?また妖怪?」

「ああ……ゆきぴょん殿、行って来るでござる!」

小十郎は店を飛び出して行った。

「あっ!お客様お会計を!?」

店員が引き止める。

「あ〜またか……すみません私が払いますから……」

雪菜は小十郎が着て行った服の代金を支払う。

が……。

「ヤバい……お金足りない……」

こちらもピンチ……。


小十郎はTシャツに袴姿のおかしな格好のまま現場に急ぐ。

「くっ……おのれ……」

小十郎は燃える街を見て怒りを覚えた。

それは遥か昔、江戸時代に戦っていた頃の小十郎の記憶を呼び覚ました。

当時、小十郎は妖怪軍団との最終決戦間近だった。

酒呑童子の攻撃により江戸の町は今の東京と同じ様に火の海と化していた。


江戸の火消し達が必死に消火活動をする中、小十郎はお千代を必死に探していた。

何度も何度もお千代の名を呼び探し回った。


そんな事を思い出しながらもふと我に帰った小十郎。

「おのれ妖怪……許さん!」

小十郎は『星影丸』を抜いた。

「星影……变化!」小十郎は『変身』

星影が登場し妖気を追う。

「くっ……妖気の動きが早い……」


そう、火車のスピードは自身が燃え上がる度に加速していた。

星影と言えどそのスピードに追い付くのは厳しかった。

その時、小十郎が眠っていた祠から何かが輝きを発した。

それはかつて星影の相棒として共に戦った愛馬の馬具。

小十郎に添えられていたのだ。

その馬具は輝きを放ちながら星影の元に飛んで行く。

「ん?なんじゃ?あれは?」

その馬具は星影の近くまで来ると近くに停めてあったバイクに装着された。

「おおー!コレは……星武(ほしたけ)の馬具!拙者にまた力を貸してくれるのか!」


星影の愛馬、星武の馬具が装着されたバイクに股がった。

すると、バイクは自然に走り出した。

「うわっ!?な……なんじゃ!?この鉄の馬には……星武の魂が宿っておるのか?」


そう、この馬具には星武の魂が宿っていた。

そしてそれを装着したバイクにも……。

星影は新たに相棒星武の魂が宿ったバイクと共に火車を追う!


所で……。

「もう、何で買えもしない物を小十郎君に試着させるのよ〜」

「だって〜」

服の支払いは恵子がして雪菜は怒られていた……。


続く……。

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