第4話「小十郎の新生活」

この日ゆきぴょん……いや、雪菜は真剣な顔で両親に話をしていた。

「パパ、ママ、話があるんだけど」

「何だ急に改まって」

笑いながら聞く父。門倉 敏也(かどくら としや)(51歳)

「好きな人でも出来たの?」

おっとりとした口調で尋ねる母。門倉 恵子(かどくら けいこ)(48歳)

「ちょっ!?母さん何をバカな事を!?」

分かりやすく動揺する父。

「はぁ?そんなんじゃねーし……でも一緒に住みたい人が居るの!」

この衝撃の発言に飲んでいたコーヒーを吹き出し咽る敏也。

「ちょっとパパ!何してんの!?」

雪菜が動揺する父にツッコミを入れるがそりゃそうだろう……。

「雪菜、どうゆう事?詳しく話して」

母恵子は至って冷静だ。

雪菜は行く宛の無い小十郎の事を両親に話した。

「ん〜……なるほどな……話は分かった。つまり彼氏では無いんだな?」

「違うって……てかそこ?」

「ウチで一緒に暮らすって言ってもそんな簡単な事じゃないのよ?」

「そんな事無いでしょ?お兄ちゃんの部屋空いてるじゃん!」

「それはそうだけど、引っ越しとなると荷物もあるだろうしお金を掛かるのよ」

「荷物って言っても刀一本とウチらが買ってあげた服だけだけど……」

「刀ぁ!?ダメだダメだ!そんな危ない奴!!父さんは許さんぞ!!」

だから言い方……。

雪菜は小十郎の誤解を解く為に一度両親と会わせる事にした。


早速その日の内に雪菜は小十郎を探して連れて来る事に。

落ち着かず家の中をウロウロする敏也……。

「お父さん、少し落ち着いて。別に彼氏が来る訳じゃ無いんだから」

「そりゃそうだが、雪菜が男を連れて来るなんて……」

恵子が淹れたお茶を飲む敏也。

「あちぃっ!?」

だから落ち着け。


雪菜は小十郎を見つけて家に連れて来る。


「ほう、ここがゆきぴょん殿のご実家でござるか!」

「うん、パパとママの許可さえ取れれば家で暮らして良いんだから上手くやってよ?」

「うむ、心得た」


雪菜がドアを開けると玄関に敏也と恵子がやって来た。

「よ、よ、ようこそ我が家へ……」

ド緊張している敏也。

「パパ、だから落ち着いて。さぁ、どうぞ」

客間に通され机を挟んで座る小十郎と雪菜、そして敏也と恵子。

「雪菜から話は聞いてます……まずは娘を助けて頂いて本当にありがとう」

敏也は深々と頭を下げた。

「とんでもござらん!拙者は当然の事をしたまでで……妖怪を倒すのは拙者の使命でござる」

「え?妖怪?」

「ちょっと……妖怪の話は無しだって……」

雪菜は小声で小十郎に言う。

「おっと、そうであった」

「あの……妖怪って?」

「よ……妖怪みたいなキモい男から助けてくれたって事よ」

必死に取り繕う雪菜。

(どうやら、真面目で誠実な男のようだな)

敏也は少しホッとした様子だった。

「しかし……行く宛が無いと言うのはどうして?」

「あー……それは……」

雪菜は説明に詰まった。

「拙者はどうやら300年もの間眠っていたようだ。気が付いたらこの様な知らない場所に居た……」

「え?何言って……!」

突然話出した小十郎の言葉に驚く両親。


「あちゃ〜……それ信じて貰えるかな〜」

「まぁ、良く分からんが困ってる事は分かった。だが、まだ私達は君を家に受け入れる事は出来ない……少し様子を見させてくれ」

「勿論でござる。無理を申して申し訳ない」

「それじゃあせめて今日はお夕飯を食べて行って。私ご馳走作るから!」

「ママ……ありがとう!」

「じゃあ、それまで軽く1杯やるか。小十郎君イケる口なんだろ?」

「パパ!調子に乗らないの!昼間からお酒なんてダメよ!ほら、買い物行って来て!」

「はい……」

「てゆーか小十郎ウチと同い年だからお酒ダメだよ」

「えー!?18歳だと!?」

やはりそこに驚かれる小十郎。


敏也、雪菜、小十郎の3人で買い物に出掛ける事に。

敏也の車に乗り出発する。

「ゆきぴょん殿、この箱はなんじゃ?」

「これは車。まぁ乗って」

小十郎を後部座席に乗せ雪菜も乗り込もうとする。

「雪菜は助手席に来なさい!」

慌てて阻止する敏也。

「えー……」


敏也の運転でしばらく車を走らせる。

「うっ……気持ち悪いでござる……」

「ああ!パパ!小十郎が酔った!!」

「吐くなよ!?まだ吐くなよ!?」


途中のコンビニによる3人。

「はぁ〜……」

うなだれる小十郎。

「大丈夫?」

背中を擦ってやる雪菜。

「おーい、薬買ってきたぞー」

敏也は醉い止めの薬を買ってきた。

「かたじけない……」

小十郎は薬を飲んでしばらくすると気分が楽になってきた。


再び車を走らせショッピングモールへとやって来た。

「小十郎、気分はどう?」

「うむ!もうすっかり大丈夫じゃ!この薬は良く効くのぉ!」

「さてと……何を買うんだっけ?」

敏也は恵子から渡されたメモを確認しながら食品コーナーに向う。


その頃……。

妖怪軍団の幹部、雪女が鬼童丸の元へ。

「鬼童丸様……今回は私めが……」

「雪女……何か策はあるのか?」

「恐怖を多く集めるなら人間共が多く集まる場所を襲えばいい……」

「ほう……してどこじゃ?」

「私めが調べた所、現代の人間は日常生活の中に多くの娯楽を求めている模様……ならば日常生活と娯楽の両方を堪能出来る場所……ショッピングモールとやらに狙いを絞ります」

「しょっぴんぐもーる?何だそりゃ?」

酒呑童子が尋ねて来る。

「あんたみたいな力技だけの馬鹿には一生縁の無い所よ」

「何だとテメェ!!溶かすぞコラァ!!」

「まぁまぁ……酒呑童子、ここは雪女のお手並み拝見と行こうじゃないか」

九尾が酒呑童子をなだめる。

「フッ……面白い……やってみろ……」

鬼童丸は雪女の作戦を承諾し雪女を向かわせる。



−ショッピングモール−

雪菜達の買い物も終わる頃だった。

「よし、買い忘れはないな」

「小十郎、帰るよ!」

だが、小十郎の姿が無かった。

「あれ?小十郎……まさか迷子?」


その頃小十郎は……。

玩具コーナーにあった玩具の刀を見ていた。

「ふむ、変わった形だが中々良き刀じゃ……さて切れ味の方はどうかの?」

とふいに玩具の刀のボタンを押してしまう。

いきなり音がなり驚く小十郎。

「うわっ!?な……なんじゃ!?」

「あー!小十郎こんな所に居た!」

「ん?おお!ゆきぴょん殿!」

「勝手に居なくならないでよー!ん?何?玩具の刀?」

「この刀凄いのぉ!音が鳴ったぞ!」

「あー……でもそれは妖怪退治には使えないよ……玩具だし……」

「おもちゃ?」

「うん、子どもが遊ぶ偽の物って事」

「そうか……本物の刀ではないのか……」

なにやらしょんぼりする小十郎……。

「そっか……刀、警察に没収されちゃってるんだよね……」

「……!妖気……」

「え?」

「ゆきぴょん殿、近くに妖気を感じる……ここは危険ぞ」

「え?また妖怪!?」


ショッピングモールの屋上には雪女が……。

「フッフッフッ……恐怖で凍りつかせてあげるわ……行け、がしゃどくろ!」

妖怪がしゃどくろが現れショッピングモールをも包み込む程の巨大な姿を見せた。


そしてがしゃどくろはショッピングモール内の人々を襲い始めた。

小十郎は雪菜を連れて外へ出る。

「ちょっと!?何よあれ?今度の妖怪大き過ぎない!?」

「妖怪も様々な大きさの者がおるからなぁ」

「落ち着いてる場合じゃないっしょ!?超ヤバいじゃん!」

「助けてくれ〜!!」

助けを呼ぶ人々……。

それを見上げると敏也の姿も。

敏也はがしゃどくろに捕らわれていた。

「パパ!?」

「雪菜ー!逃げなさい!!」

「お父上殿!?」

「小十郎、お願い!パパを助けて!」

「うむ、心得た」

小十郎はがしゃどくろの元へ向う。

小十郎が屋上まで昇ると……。

「お父上殿!」

「こ……小十郎君!?」

「今お助けいたす!」

だが、がしゃどくろは小十郎に先制攻撃を仕掛けて来た。

「うわっ!?」

小十郎は攻撃をかわすが更にがしゃどくろは攻撃をしてくる。

がしゃどくろの攻撃はショッピングモールの屋上の床を破壊し1つ下の階の天井が抜け落ちる程の威力だった。

コンクリートの破片が飛び小十郎を襲う。

「くっ…」

更に土煙が舞い上がり小十郎の視界は奪われる。

敏也も土煙に目を開けていられない。


「星影-变化!」

小十郎は『変身』

星影が登場。

「星影……」

「現れたわね星影……」

雪女も星影の気配を察知した。

「星影……参る!」


星影とがしゃどくろの戦いが始まるー


続く……。

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