第3話「小十郎、四苦八苦」
行く宛の無い小十郎は一先ずゆきぴょんに連れられネットカフェにやって来た。
「小十郎、行く所ないならとりあえずここじゃね?」
「ほぉ……なんかハイカラな建物じゃの……」
江戸時代を生きた小十郎にとっては全てが新鮮。
ネットカフェの看板の明るさにすら驚く。
早速中に入るゆきぴょんと小十郎。
「な……なんと……まるで昼間の様に明るい!!」
「ちょっ……恥ずいって……」
小十郎は中の明るさに驚いていたが店の人や他の客は小十郎の出で立ちと発言に驚いていた。
手続きを済ませ個室に案内される小十郎とゆきぴょん。
「それじゃ、今夜はとりあえずここに居てよね。少しお金も置いてってあげるからお腹空いたら何か買って食べて」
「ゆきぴょん殿、かたじけない」
小十郎は1000円を受け取った。
「じゃあ、ウチは帰るからくれぐれも目立たない様にしてよね。んじゃ」
ゆきぴょんは帰って行く。
「ゆきぴょん殿、感謝するでござる!!」
(はぁ〜……恥ず……てかバイト代入ったばっかりで良かった〜……)
1人になった小十郎……。
「退屈でござる……よし、素振りでもするか!」
小十郎は個室を出て『星影丸』を手に素振りを始める。
「お客様お辞め下さい!!」
勿論直ぐに店員に止められた。
またしばらくして……。
小十郎は受け付けに行った。
「腹が減った。何か食い物はござらんか?」
「それでしたらあちらにカップ麺やパン等がございますのでご利用下さい」
店員の指す方向には食品コーナーがあった。
「これは……どうやって食べるのだ?」
(なんなんだこの人……)
店員は心の中でそう思いながらもカップ麺にお湯を入れ3分にセットしたタイマーを渡してくれた。
ゆきぴょんから渡された1000円でお金を払う事は出来た小十郎だったが、お釣りを忘れ店員が追い掛けてきた。
「いや〜かたじけない。お世話をお掛けした」
「いえいえ……(ホントなんなんだこの人……)」
そして、3分が達タイマーがなると小十郎はビックリ!!
「うわっ!?な……何だこれは!?」
「しまった止め方も分からなかったのか……」
また店員が小十郎の元に急ぐ……。
そんな散々な思いをしながらも小十郎はようやくカップラーメンを食べ始める。
「ん〜良き香りじゃ、では頂こう」
小十郎は一口ラーメンを食べると……。
「旨い!!何だこの食べ物は!?旨い!旨い!!」
小十郎はカップラーメンが大壮気に入った様子。
四苦八苦しながらも小十郎は眠りに着いた。
小十郎は『星影丸』を抱えたまま、横にはならず座って寝る。
翌朝、ゆきぴょんが小十郎を起こしにネットカフェにやってくる。
だが、小十郎のいや、侍の朝は早い。
既に起きていた。
「小十郎、ここはもう出るよ支度して!って言っても刀以外持ってないか……」
「ゆきぴょん殿、おはようでござる」
ネットカフェの支払いを済ませ外に出る小十郎とゆきぴょん。
今日は土曜日、ゆきぴょんは学校が休みだった。
「ゆきぴょん殿何処に行くでござる?」
「とりあえず着いて来て……その格好じゃ目立つから服買うよ……」
ゆきぴょんは行きつけのショップに小十郎を連れて行く。
「ん〜?どれがいいかな〜?」
ゆきぴょんが服選びに迷っているとそこに友達のまなぴょんとりりぴょんが合流。
ゆきぴょんは小十郎の誤解を解くために改めて小十郎とまなぴょん、りりぴょんを会わせたのだった。
小十郎の事を現在分かってる分だけは、まなぴょんとりりぴょんに話して誤解を解く事が出来た。
「な〜んだ、そうだったんだ。ウチらもごめんね。ウチはまな。まなぴょんで良いよ」
「ウチは莉々菜。りりぴょんで良いよ」
「拙者は小十郎でござる。まなぴょん殿、りりぴょん殿、宜しくでござる!」
「さて、じゃあ誤解も解けた事だし、2人には小十郎のコーデを手伝って欲しいのよ」
「あ〜なるほどね、ゆきぴょんコーデセンス無いもんね」
「うるせーし」
3人による小十郎の服選びが始まる。
まるで着せ替え人形の様に次々に服をチェンジさせられる小十郎。
そして……。
「うん、まぁ良いんじゃない!」
「そうね、結局シンプルなのが一番よ」
小十郎の服装は……。
正面に大きく「侍」と書かれたTシャツに薄手の水色のジャケット。
そして、黒ジーンズ。
靴は白のスニーカーとなった。
「てか、侍って……」
「まぁ、個性は大事にしたいじゃん!」
「あ〜うん……そのシャツ何処にあったの……」
「小十郎さんどう?」
「な……何か落ち着かないでござるな……このじーんずとやらも動き辛いし……」
「まぁ、ジーンズは最初はね……まぁ、その内慣れるって」
その頃、妖怪も新たに動き出していた。
「チッ……星影め……300年も我らを封じ込めた揚げ句またしても邪魔するとは……」
鬼童丸は苛立っていた。
「鬼童丸様、今回は私が……現代の人間共に打って付けの方法で恐怖を集めて参ります」
九尾が提案する。
「ほう……一刻も早く人間共の恐怖を集め百鬼夜行を始める必要がある。やってみろ」
「御意……」
恐怖を集めて行われる百鬼夜行とは一体……。
九尾は人間の姿に化け街に出る。
「現代の人間共の生活は調べ尽くした……現代の人間には闇が足りない……行け雷獣!」
妖怪、雷獣が現れた。
雷獣はその体に電気を吸収する事が出来る。
その能力で東京の街から電気を奪い始める。
小十郎達が居るショップの電気が突然消えた。
「ん?」
「あれ?停電?ちょっと〜ミカさーん?」
ショップ店員のミカが奥から出てきた。
「おかしいわね……どうしたのかしら?」
「!妖気……」
「小十郎?どうした?」
小十郎は店の外に飛び出す。
「あっ、ちょっと!泥棒!!」
「ああ、ミカさんお金はウチらが払いますから!」
ゆきぴょんは小十郎を泥棒扱いするミカを必死に止めた。
まなぴょんとりりぴょんは顔を見合わさて言う。
「ウチらが?」
小十郎の服の総額は1万5千円程……。
女子高生達にとってはイタい出費だ。
店を飛び出して行った小十郎は妖気を探る。
「……そこか!」
妖気を辿って雷獣を見つける。
「妖怪!貴様の仕業だな!!」
「ん?小十郎か……フッ何だその格好は?」
「ほっとけ!!それより貴様何者だ!!」
「私だよ……」
九尾は正体を現した。
「九尾!」
「やぁ、300年ぶりだね、小十郎……久しぶりに会ったのに残念だか……君には死んで貰うよ……行け、雷獣」
雷獣は小十郎に電撃攻撃。
「うわっ!?」
小十郎は雷獣の電撃受けて体が痺れる……。
「くっ……不覚……」
そこにゆきぴょん達がやって来る。
「小十郎!」
「ゆきぴょん殿……来るな!ここは……危ない!」
「うわっ、何アレ!?」
まなぴょんとりりぴょんは雷獣と九尾を見て驚く。
「くっ……ゆきぴょん殿達を巻き込む訳には……行かない……」
小十郎は痺れる体で必死に立ち上がる。
「来い!星影丸!」
ショップに置いてきてしまった『星影丸』が小十郎の元に飛んで行く。
それを見たミカは驚く。
「えっ!?何……!?」
『星影丸』が小十郎の手に……。
「星影−变化!」
小十郎は『星影丸』の鍔を回転させる。
小十郎は星影に『変身』した。
「えぇーっ!?なになになに!?超ヤバーい!!」
まなぴょんとりりぴょんは初めて見た星影に驚く。
そしてスマホで写真を撮りまくる。
「星影……いざ、参る!」
星影が雷獣に向かって斬掛かる。
だが、雷獣はジャンプでかわし再び電撃攻撃。
星影はその攻撃を『星影丸』で防ぐ。
だが、雷獣は次々に電撃攻撃を仕掛け星影は防戦一方。
「フッフッフ星影……いつまで耐えられるかな?」
「残念だが……雷獣の倒し方は300年も昔に修得済みだ!!」
星影の反撃。
星影の第二の必殺技が発動。
『奥義·封雷結界斬』
それは雷のエネルギーを封じ込める結界の中に敵を閉じ込めその結界ごと叩き斬ると言う雷獣の様な雷を操る妖怪用の必殺技だった。
「邪鬼……退散!」
雷獣は倒された。
「チッ……今日はここまでか……」
九尾は姿を消す。
星影は変身を解除。
「ゆきぴょん殿、まなぴょん殿、りりぴょん殿大丈夫でござるか?」
「うんウチらは大丈夫……財布以外はね……」
「は?」
買い物を終えて小十郎達は帰る。
「はぁ〜やっぱり着物の方が落ち着くでござる!」
結局いつもの着物に戻った小十郎……。
「何でウチらが買った服着てない訳……?」
「本人があれが良いって言うんだからしょうがないでしょ……でもあの服はあの服で貰ってくれるみたいよ」
小十郎の手にはゆきぴょん達が買った服を入れた袋がしっかりと握られていた。
続く……。
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