第2話「星影、いざ参る!」

妖怪大将軍鬼童丸は小十郎の持つ刀『星影丸』を破壊し、小十郎を殺す為に動きだした。


その頃、小十郎は警察署で取り調べを受けていた。

しかし、パニックに陥った小十郎は訳の分からない状況に置かれていた。

江戸時代を生きた小十郎にとって現代は分からない事だらけで名前以外何1つ答える事が出来なかった。

「ん〜……お前、そろそろ話す気にならんか?」

「そう言われても拙者は真面目に答えておる」

「はぁ……しゃあーないな……少し頭を冷やしてろ」

そう言うと刑事は取調室を出ていく行った。

刑事はそのまま喫煙室に向かいタバコを吸い始めた。

(あの男……何者なんだ……?住所も分からないと言うし、身分証も持ってない……被害に遭った女子高生達の話によると突然怒り出し刀を振り回したと言っていたが、それなら計画的な無差別殺傷事件を起こそうとしていたとは思えん……)

そんな事を考えながらタバコを吹かす。


雪菜は警察署に戻り受付で小十郎に会わせて貰える様に頼んでいたが、それが通るはずも無かった。


そして、この警察署に不穏な影が……。

「あそこだ……あそこに星影丸はある!来い土蜘蛛!」

酒呑童子は配下の妖怪土蜘蛛を呼び出した。

「あの建物にある星影丸を破壊して来い、邪魔な人間共は殺して構わん!」

酒呑童子の命令で土蜘蛛が動く。

土蜘蛛は口から糸を吐き警察署の壁に付ける。

すると、その糸を伝って警察署に向う。


警察署の前で見張りをしていた警官がそれを見つける。

「なんだ?アレは?」

そして段々と近付いて来る巨大な蜘蛛に驚く。

「うっうわぁー!?」

土蜘蛛は警察官を襲った。

そしてそのまま警察署に侵入して来た。

受付に居た雪菜もそれに巻き込まれた。

「きゃっ!?何!?虫!?超キモいんだけど!?」

雪菜は虫が苦手な様だ。

いや、目の前に巨大な蜘蛛が現れたら誰でもそうなるか。


取調室に居た小十郎は土蜘蛛の妖気を感じた。

「コレは!?」

小十郎が突然立ち上がると同席していた刑事が声を掛ける。

「おい、どうした急に?」

「この建物にいる人々を直ぐに避難させろ!」

そう言って小十郎は取調室を飛び出して行った。

「あっ!コラ!待て!!」


土蜘蛛は次々に警察官を襲って行った。

そして、警察官も拳銃で土蜘蛛を攻撃するが、妖怪相手にそんな武器は通用しなかった。


押収されていた小十郎の所持品の中には普通の刀と一緒にもう1つ、『星影丸』があった。

その星影丸も土蜘蛛の妖気を感じて反応していた。


小十郎が土蜘蛛をようやく発見。

「やはり……奴らの封印も解けておったか……」


そこには腰が抜けて動けない雪菜が居た。

土蜘蛛は雪菜に迫る。

「危ない!!」

小十郎は雪菜と土蜘蛛の前に飛び出す。

「え?おじさん?」

「娘……こやつは危険だ……直ぐに逃げろ」

「で……でも……」

「早くせい!」

「う……うん……」

雪菜は何とか立ち上がりその場を離れる。


「妖怪め……今一度封印してくれる!」

小十郎が右腕を横に伸ばすと小十郎の元へ『星影丸』が飛んで来た。

「ウソッ!?剣飛んで来た!?ヤバっ!?」


小十郎が『星影丸』を掴み構える。

「星影−变化!!」

小十郎が『星影丸』の鍔を回す事で『変身』。

星影が登場。

星影は白い着物の様なデザインのボディと袴の様なデザインの下半身。

そして、頭部に兜を被り額には星印のシンボルが付けられた侍の甲冑の様な姿をしていた。


「!この気配は……星影……」

外に居た酒呑童子も星影の登場を感じ取った様だ。


「ウソ……何あれ!?」

「星影……参る!」

星影は『星影丸』を構えて土蜘蛛に戦いを挑む。


土蜘蛛は糸を吐いて星影を捕えようとする。

しかし星影はその糸を『星影丸』で切断し徐々に土蜘蛛に近付いて行く。

星影が距離を詰めて行くと土蜘蛛は後一歩の所で高くジャンプし天井に貼り付く。

「逃さん!」

星影もジャンプし天井の土蜘蛛に星影丸を振るう。

すると今度は土蜘蛛は床に降り即座に糸を吐く。

「うわっ!?」

その糸が星影を絡め獲った。

「くっ……ならば……」

星影はそのまま出口の方へ走り出した。

土蜘蛛も出口の方へ引っ張られる。


警察署の外に出た星影は星影丸で体に絡みつく糸を切った。

だが、目の前に土蜘蛛の姿は無かった。

「どこだ?」

すると地面に土蜘蛛の影が見えた。

「上か!」

星影が上を見上げると空から土蜘蛛が襲い掛かって来る。

星影はそれを素早い動きでかわす。

「くっ……」

土蜘蛛はまた糸を吐く。

星影は土蜘蛛の糸に絡め取られる。

「しまった!?」

土蜘蛛は更に糸を吐き星影の動きを封じる。


「それで勝ったつもりか?」

星影は糸を切り裂き出てくる。

「見せてやろう……悪鬼滅殺の奥義を……」

星影は『星影丸』の星型の鍔を回転させる。

すると、『星影丸』にエネルギーが集まる。

星影の必殺技が発動。

『奥義·星影閃光斬』

星影丸の刀身が眩く光り一閃の光が土蜘蛛を一刀両断した。

「邪鬼……退散!」

土蜘蛛が消滅した。


雪菜や周りの警察官達は啞然とする。

星影は变化を解除し小十郎の姿に戻る。


「一体……何者なんだ?アイツは……?」

1人の警察官が呟く。



すると小十郎は去って行く。

「あっ、待て!!」

「追わなくていい……」

1人の警察官が小十郎を追うのを止めた。

この警察署の署長だった。

「署長?何故です?奴は……」

「子どもの頃、爺さんに聞いた事があってな。かつて江戸の町を妖怪から守った伝説の侍の話を……その伝説の侍の祠に取材に行っていたテレビクルー達が行方不明になった事件を聞いているか?」

「あっ……はい、先程入電があって……逃げて来たモリハヤシと言うお笑い芸人から通報があったって……」

「私もその事件を聞いてもしやと思ってな……」

「そんなバカな……江戸時代の侍が蘇ったとでも言うんですか?」

「世の中には不思議な事が起こる物だ……」

そう言って署長は戻って行った。


小十郎の後を雪菜だけが追ってきた。

「おじさん待って!」

「ん?おぬしは……さっきの娘か!」

「うん……あの……ごめんなさい……迷惑掛けちゃって……」

雪菜な小十郎に頭を下げて謝った。

「いや、拙者の方こそ無礼仕った」

小十郎も頭を下げる。


「ねぇ、教えて……おじさんは何者なの?それに……あの化け物は何?」

雪菜は顔を上げて小十郎に尋ねた。

「!……お千代……」

小十郎には雪菜がお千代と重なって見えた。

「はぁ?おちよじゃねーし……ウチ雪菜。ゆきぴょんでいいよ」

「拙者は巽小十郎でござる。ゆきぴょん殿、宜しく仕る」

小十郎はまた頭を下げた。

「所でおじさんいつまでそのキャラやってんの?ってかいくつ?」

「拙者の歳か?拙者は十八でござる」

「18!?ウソッ!?ウチらとタメじゃん!そのフケ顔でタメとか超ウケるんだけど!」

「ん?ウケるとはなんじゃ?」

この雪菜との出会いは小十郎の運命を大きく変えて行く事になるだろう。

しかし、小十郎の現代での戦いはまだ始まったばかりだ。

さてさて、この先どうなる事やら。

これにて閉幕、次回に乞うご期待。


続く……。

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