〇〇〇〇〇を×××る二見さん
授業を受けてる二見さんは、とても美しい。
すらっとしたスタイルをこれでもかと見せつけるように、背筋をしゃんと伸ばし、ノートを取っている。
そう思うのは私だけではないようで、男子たちもちょくちょく視線を投げたりしてた。
このクラスの学力低下が疑われるなとか考えたりしつつも、二見さんに視線を向ける。
と、そこで私は目を覆いたくなるような光景を目の当たりにしてしまった。
なんと、二見さんが持っていたシャーペンのヘッド部分を、唇で食んでいるのである。
あの柔らかそうなピンクの唇で、はむはむしてるのである。
二見さんは真面目に授業を受けてるらしく、特に気にしてる様子はない。無意識下の行動なのだろう。
他の人であれば癖なんだろうなぁ、で済む話だけど、相手が二見さんなら話は別だ。
だって! あんなのもう、男子の
あんな姿を男子たちに見られたら、
『おい、見ろよ。二見のやつ授業中にいやらしいことしてやがるぜ』
『ほんとだ。ヤバ、どんだけお盛んなんだよ』
『見た目に反して中身はとんでもねぇ女だったんだな。誘いかけたら乗ってくるかな』
『
――と、なるに違いない! 誤解を招いて、二見さんが襲われてしまうかもしれない! 大変だ!
幸いなことに今のところ誰も二見さんを見てない。でも、時間の問題であることに変わりはない。
先生が板書のために背中を向ければ、否応なしに視線が彼女へ降り注がれるだろう。
私が……私がなんとかしなければ。
そうこうしてる間にもタイムリミットである、先生がこっちに背中を向けてしまった。
「っ!」
戸惑ってる場合じゃない、二見さんは私が守るんだ。
窓際から飛び交う視線。それらを自分の身体をめいっぱい伸ばして、遮ってやった。
どうだ! はたからみたら目が悪くて、黒板を凝視してるようにしか見えないだろう。
とはいえ隣の男子からは変なやつを見る目で見られてる。恥ずかしい。そんなにじろじろ見ないでほしい……。
「おっ、薄陰やる気満々だな! じゃあこの問題を答えてもらえるか」
「??」
いったいなんの話でしょう。
先生にお呼ばれしたことで、ハッとさせられた。
隠すことに夢中になってたせいか、どうやら手を上げる形を取ってたらしい。
ど、どうしよう……ぜんぜん聞いてなかった。
「……わ、分かり、ましぇん……」
「そうか。授業はちゃんと聞こうな?」
私は頷くことしかできなかった。チラと二見さんに視線をやれば、なんか微笑まれてる。でも、シャーペンは離してくれてたので一安心。
私は真っ赤になった顔を見られたくなくて、机に突っ伏した。このまま消え去りたい……。
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